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高石久仁子展発進!

高石久仁子が一年ぶりに帰ってきた。三度目となる今展では、統一感のある構成で大人度をアップ。マチエールを重ねた渋い画面が印象的だ。
高石久仁子は1968年東京新宿生まれ。1999年に多摩美大大学院日本画科卒業すると、公募展やグループ展などで旺盛な制作を始める。2007年に柴田悦子画廊で個展以来2008年、2009年と連続で作品を世に問い続けている。
今展では特に花卉の表現に長足の進歩がみられた。町田の近郊にある古代蓮の池に通い、花が咲き、枯れるまで取材を繰り返したという。丹念に下地を施したうえに岩絵具を盛り上げ、箔を貼る。さらにサンドペーパーで磨き、足したり消したりしながら出てくる景色をみて、場合によっては箔に焼きをかけて高石ならではの絵肌を作り上げて行く。その絵肌を殺さないように、今度は絵具で花や実を描き起こしていく訳だが、この加減が作者の美意識の見せ所だ。
高石久仁子の仕事は、あからさまな描写を嫌い、見えるか見えないかの境界を探って行く。描きすぎず、複雑に重ね上げた絵肌に思いを託して任せるのだ。どこで筆を置くか、これもまた今その時の画家の美学を映す。今展ではいぶし銀のような基調のもとに、ほのかにみえる花や実の彩りが実に美しかった。ストイックなまでに絵肌と格闘し、ぎりぎりまで色と線の調整に神経を使った力作である。
金箔地の、抽象的な線を残す蓮の二連作も複雑なエッジを描きながら時間を経た古閑な表情をみせていたのが収穫。重厚な底びかりを湛えた画面から在るともなく立ち上がってくる世界が思いがけなく深い。男子三日あわざれば刮目(かつもく)して見よーというが、高石もまた一年見ざれば目を見開くような進化を遂げていたのであった。
会期前に新型インフルエンザにかかり、鼻血を出していたという苦境を乗り越え、見事復活して無事展覧会を迎えた高石久仁子とその応援団の画像とともに展覧会のご紹介とする。

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