コロナ禍で5月に予定していた会期を、9月まで待ってようやく開催する事に。
まだ予断を許さない状況とはいえ、4月5月の全面休廊の時期から比べると、ややお誘いしやすい雰囲気になった。
會田佳惠子にとっても厳しい数ヶ月を乗り越えての開催で感無量の面持ちの初日だった。
5月の開催日の直前での延期に、進めていた筆が止まりそれ以後同じ気持ちで描けなくなったという。創作の神様がふと他所に出かけてしまったかの状況に戸惑い悩んだあげく個展開催を諦めようか、という時もあったと聞く。
今展に出品している陶器の子供たちは、以前描けなくなった時に手を喜ばせたくて始めた粘土の仕事。準備を進めていた絵の他に、この子たちを展示に参加させる事で気持ちを引き立てたのだとか。
家庭用の電気窯をめぐる入手譚も面白いが(これは実際に聞いて欲しい)、會田佳惠子の描く世界は、どこにも存在しない記憶の街たち。あるようでない、確かな実在を探して心の旅を続けているのに違いない。