個展

松崎和実展ー箔画ーの魅力

誰もが一見して驚く、迫力の作品が今年も画廊を彩った。作者は去年デビューの松崎和実画伯。その折は会期中結婚式という趣向で、夫人となった小林米子画伯との二人展。今度は満を持してのソロデビューとなった。昨年の仕事が林田画廊さんの目にとまり、東京美術倶楽部「正札会」への出品とつながって、多くのプロたちの間で話題に。
箔の上に着彩、丹念にカットした作品をアクリルにはさんで額装と、簡単にいえばこうだが、薄い箔扱いは入念な用意と集中力が必要で誰にでも出来る訳ではない。かつては水墨画の世界で気を吐いていた松崎画伯ならではの気合いが、この仕事上に見事に結実した。
難しければ難しいほど彼の闘争心を刺激するのか、今展ではアロワナの群れの大作に挑戦、見事な造形美をみせてくれた。鱗の肌合いが自然な迫力を生み出し、額の底のマットに映る影と相まって水面の中に見る人を引きずりこむ。
見えない苦労もずいぶんしたと思うが、細部に神が宿るがごとく行き届いてしかもりきみが見えない。一年の間にずいぶん腕をあげたようだ。軽井沢のフレンチの名店エルミタージュ・ドゥ・タムラのオーナーシェフ田村氏の店で絵を展示させてもらったり、多くの方の前に作品をさらすことで自身も発見することがあったに違いない。
随分魚河岸にも通いつめ卸のお兄さんたちにも可愛がってもらったようで、画面の魚はまことにいい姿のものばかり。しかも新鮮で美味しそうだ。見るたびにおなかのすく絵というものも初めてだが、画伯がいかにこの魚たちを愛しているか伝わろうというもの。
絵を切り取るという、なかなか勇気のいる仕事をここまで大胆に、それも細心の注意を払いつつやり遂げた画伯の展覧会は13日まで。是非実見をお薦めする。

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