中尾画伯の表具の師匠・宮坂直樹氏がご来廊。去年の今頃、表具材料店「マスミ」の横尾社長をお訪ねしたおりにここで表具の教室も開設していると知った中尾画伯、早速弟子入り。持ち前の熱心さで、たちまち一本仕上げる腕となった。 ここまで短期間に腕をあげた理由には、今日いらしたお二人が深く関係している。まずは、手に手を取って教えてくれた宮坂師匠の御紹介。武蔵美で講師も勤める傍ら書道家として活躍する熱いお人。今回はアメリカで講座があり、帰って来たばかりというのに駆け付けてくれた。書と表具について熱心に語る二人には35度の泡盛も水同然、まだまだ日本の男も捨てたもんじゃない、と認識を新たにした事だった。 もう一人は、まだうら若いお嬢さん。もう結婚していらっしゃるから奥様なのだが、中尾画伯とよく会っていた頃はほんの小学生だったとかで、その頃に戻ってのご対面。実は先日いらした羽黒洞の品子社長の娘さんの妙子さん。先代の東助社長は名物画商で売った人、その三代目になるのだという。東助社長のもとで厳しい修復の修業に励んでいた頃の思い出話など。 表具は熱い心と細心の手がないと出来るものではない。少しでもいいものを作ろうという色んな人の熱意が絵の周辺を支えているという事を改めて感じさせて頂いた一日だった。