いささか前の事になるが、「松露事件」とでも名付けたいいきさつがあった。まず、松露だが、海辺の松の地中に発生するキノコのこと。春彦氏ご幼少の頃には茅ヶ崎でもよく食べたらしく、よくご存じだった。今は珍味中の珍味となってしまったこのキノコの話題をふったのは、中野の路傍ご主人・いもちゃん。ご存じ牧ねえが摘んできた山菜のてんぷらを御馳走になった時のこと、ご一緒した春彦さんと中尾さんが茅ヶ崎在住と知ると、珍味に詳しいいもちゃん早速話題に。
その日から春彦氏、松露探しに奔走し、めでたく入手するも、足が早い松露をその日のうちに渡す手立てがない。すわっとばかりに、たまたま出会った池田美弥子画伯にリレー。東海道をひた走って画伯が悦子にバトンタッチ。そして深夜の最終受け渡しまで何本の電話が行き交ったことか。奇跡的に翌日、茶碗蒸しとなった松露をいただきながら、春彦さんの情熱にひたすら感謝!珍味道は一日にしてならず。いや、一日おいてはならず、か?
その春彦さんが今日は文化財研究所の塩谷氏を同道の上ご来廊。菊池容斎の研究をするという塩谷氏、練馬守野地氏の元同僚とか。居合わせた渡辺薫画伯とも意気投合、なんだかとても盛り上がる。実はこの後、松露のお礼にと豚の丸焼きの店に。もちろん談論風発のまま、おいちくいただいた。
十大弟子の皆様、ごめんなさい!!食欲に負けちゃいました。