不埒だけど、倉地がどうしてもフラチと聞こえてしょうがない時があった。本人はいたって真面目な好男子なのに…。
倉地画伯は愛知芸大の官舎に住んでいるので、大学は目と鼻の先。朝早くから夜中まで研究室で制作に励んでいる。お酒も嫌いではないというから、たまには羽目を外したりもするのだろうが、どう想像をたくましくしても、不埒とは縁遠い性格。その落差に受けてしまったのかもと、今にして思う。
だがしかし、この作品世界を見よ。倉地画伯がいかに真面目で、温厚で、おおらかな美男子だとしても、それだけではこれら幻視のビジョンは出てこないはず。
生きていれば必ずついて回る表面の嘘臭さがはぎとられて、化石のようにさらされたものへと変容する存在ーその幻想の無気味なまでの確かさは他に類をみないもの。あるものとないものの逆転。昼と夜、白と黒、もまたその意味を変える。
ーなどと考えながら、つい草深い大学の研究室で、日がな実験に明け暮れている錬金術師フラチ博士を思わず想像する。いやいや、そんな倉地な…。
画像は、銀行でお会いして、拉致するようにお連れした本江邦夫氏と画家の依藤奈奈さん、版画家の石原誠氏。本江氏とは初対面の倉地画伯、誌面ではもっとハンサムだったと突っ込まれ、目が白黒。もちろん深遠な絵のお話も。あ~拉致して良かった!
ところで、夜の部は茅ヶ崎ハスキーズギャラリーで個展中の池田美弥子画伯の絵を拝見に。ジャズのライブ演奏も折々に、という広いギャラリーなか、ねじれた俯瞰図ともいうべき美弥子画伯の大作が並ぶ。小さな作品にもチャレンジした今回の個展、余白の美しさが印象的だった。
その後、いつものメンバープラス春彦氏中尾氏という豪華さで、美弥子画伯を囲む熱い夜に突入。皆様、大変お世話になりました。伏して感謝を。