個展沖縄

高石久仁子展発進!

高石久仁子展が今日から。多摩美大学院を卒業後、数々のグループ展を経て昨年悦子画廊デビュー。今回が個展二回目にあたる。まさに体当たりで絵にぶつかるような迫力が日本画離れしているが、細心に金箔や銀箔を施し、絵具を塗っては洗い落とす作業を繰り返して求めるマチエールを作り上げているのが特徴。
画家たちの作品と一週間ともにすごしていると、絵と画廊の空気がなじんできて、やはりその画家ならではの「色」と「匂い」がある、と気付かされる。その特有の空気をなんといえばいいのだろう。
一年間、画室で呻吟したたまものーその宝物たちは見事に画家たちの今を映し出す。前述の作画における大胆さと細心さは、高石本人のたたずまいと見事に重なって「ここがこう見えるんだ」と言葉より前に本人を語りだすのである。
今展には三浦海岸や沖縄・久高島の漁村を取材した大作の他、身辺の草花を描いて高石ワールドを展開してみせた。少し寂れた、しかも人の気配のする海辺を丹念に取材して、骨太の存在感を表現しつつ、その光景の残光のような余韻を繊細にとらえたいのだ、と語りかけてくる。
取材地の久高島では、泊まった民宿でおばぁにつかまり結局手伝いをして帰ることになったそうだ。観光地・沖縄ではない、どことなく生活の匂いのする島の陰影が作品として誕生するきっかけはこの一事に集約されるように思う。どこにいってもどこか寂しい鄙びた情景が彼女の供だ。明るい光線は影も濃いというではないか。人とかかわり人が好きで、それと同じくらい人と離れたいと願うのはそうおかしなことではない。
乱暴なまでに筆をふるいながら、その背景にせつないくらいの心くばりを忍ばせて、自分の描きたい絵を描く高石の旅はこれからがますます楽しみになりそうだ。また、旅の残滓を発酵させてわたしたちの前に広げてみせてくれるに違いない。

 

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