個展抽象画

直野恵子展ー八回目の個展

LABO展の20回目には及ばないとはいえ、29歳からスタートした個展も今年で八度目。独特の詩情に満ちたその作風をモダニズムの純文学と例えた方が今年いらしたが、まさに超絶写実とアニメが席巻している昨今の画界のなかにあっては孤軍奮闘の様相。
とはいえ頑固なまでに自分の描きたい世界に拘る直野恵子に迷いはない。年に一度個展をすると決めて以来、生活の中心を絵の制作におき常にそれが第一のくらしぶりだ。今年は「かざぐるま」の回る姿を写生したものをモチーフに200号の大作にチャレンジした。
広い草原のなかで一斉にカザグルマが回るその画面からは、キラキラした空気が拡散し画廊中に光が満ちた印象となった。自分の心のなかに入ってその心象を絵にするという行為を繰り返して絵を描く直野に、なにか他のものとの出会いによって化学変化をおこしたらどうかと進言したことがあったが、彼女なりの挑戦がこの大画面だったのかもしれない。十数センチのエスキースの宇宙から発想して野原のような壮大さを表現しようとする意欲にはやはり頭がさがる。これをもっと熟成させるには、まだまだ努力しなくてはいけないだろうが、彼女には彼女の努力の仕方がある。一歩一歩確認しながら手探りで歩んでいるということなのだ。わかる時まで物事はわからない。時期がくれば自明なことも歩んでいる最中は無我夢中で存外気がつかない。我が道を極めようとしている人にだけに降る、これだったんだ!という神様のプレゼントに直野が預かれますように、私は柱の陰からそっと祈るばかりだ。

きっと堀文子先生がいうように自分の毒を吐き出しきってその運命を生きる時、直野が本当に目指すこの一枚が出来るのであろう。

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