大野麻子展 風の族の饗宴

大野麻子画伯の個展が一年半ぶりに。前回は悦子画廊でのデビュー戦で、なんとも初々しいほのぼの感が心に残ったものだったが、その後百貨店での展覧会をはじめとして、つぎつぎに個展に挑戦。この間画家としても、人間としても目覚ましく成長をとげてきた。
仕事という大きな潮流が彼女の自覚を促したのか、長閑な中にも集中が感じられる今回の作品、特に色彩の明るさに目をひかれた。
「風の族(うから)」と題された、風の眷属のものたちが今回のテーマ。中国『詩経』成立時代からある「風」という漢字、古くは鳥と同義語。ともに神の領域に属し、霊をあの世からこの世へ橋渡しする役だったらしい。「うから」という言葉は万葉にみえるが、一族ともお仲間ともという位の意味。
大野画伯がこのんで描く、広々とした大地の上空には当然、この「風の族」たちが。「目にはさやかにみえねども」風はいつでも私達の隣にいる。単なる自然現象に止まらず、神からくる発信として先祖たちは風を読み、鳥を敬ってきた。その繊細な受信力を失ってから久しいけれども、知らず知らずに風の音、鳥の声に耳を澄まし慰めとしている…。
大野画伯の描く茫漠とした平原は、静かで明るい。時間がとまったまま光の祝福を受けているようだ。このところ描きはじめた海のシリーズも、光の反射する穏やかな波の揺らぎを。
この陽光に満ちた世界に、動きを与えるのが今回のうからたち。あひるや鴎、鴨などがまったりと寛ぐ。その空気に呼吸をあわせている内にこちらもまったり…。体内時計の進み方が変わってくるような心持ちになる。
初日の今日は、強力な茅ヶ崎のうから応援団が大挙して。今回の額も手掛けた多摩美ーズ・フレーマ-澤田氏をはじめ、武大人、酒呑亭西内氏、その同僚の茅ヶ崎美術館のプリンセスこと栗木嬢、青山博之・美子両画伯など。他、画伯の冠りものを被りたい一心の芸新うなぎだ君、久々御登場のウェッブ大里氏、もちろんイモキン小黒氏も。
この風のうからたち、時とともにさえずりが段々けたたましくなり、小鳥たちというよりも、猛禽類の姦しさに…。中に珍鳥もまぎれこみ彩りを添える光景も。誰が誰かは知る人ぞ知る…。
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