イグナシオ・ブルゴス展初日


恒例の京橋界隈展に、悦子画廊ではスペインの画家、イグナシオ・ブルゴス氏を御紹介。これはニューヨークのM.Y.Art Prospects との交換展でもあり、来日したオーナーの吉永美也子女史を画廊に迎えてにぎやかな初日となった。
通称ナッチョと呼ばれるイグナシオ画伯は1968年マドリッド生まれ。スペインの美大を終えたあと、ドイツのベルリン芸術大学へ留学、95年から98年までニューヨークに滞在しロングアイランドのロフトで制作した。現在はマドリッドをはじめマヨルカ島、カサブランカなどのアトリエで制作、ヨーロッパ各地とニューヨークで個展を開催する。また日本では、今展が初めての御紹介となる。
吉永女史は画廊を立ち上げる以前から、彼の仕事に注目し、開廊第一回展を彼の紹介とした。いかにもラテンの人らしく明るいきさくな人柄との事だが、それとうらはらに、作品は孤独な色合いも内包する極めて深遠な印象。ドリッピングで画布にしみ込ませた色は、東洋画のたらし込みにちかい効果で、激しいがしつこさのない独特の調子を醸している。
日本の留学生はスペインの超細密画を学んでくるが、プラド美術館のお膝元で育った彼は、ゴヤやベラスケスをこよなく愛しながら、その骨格を奪回して現代を生きる自分の表現にしようとしている。古典的な要素と抽象性、西洋の表現と東洋の表現を身の内に矛盾なく持つ彼の作品には、明確な意志あるいは魂といったものが感じられ、しばし時間を止めてくれるようだ。
ご協力いただいた吉永女史のお姉様ご夫妻はじめ、ご友人,同級生の方々、また今年文化庁の派遣でニューヨークに行く画家さんたちなどたくさんの人でにぎわいを見せる画廊の画像と、芦屋の小野嬢の見目麗しい挑発につい素地を出してしまった久々ハズカシ画像を。

堀文子先生御誕生日の集い

かぞえでいえば米寿のお祝いー大正七年生まれの堀先生のお誕生会を、多摩美堀クラスの各世代が集まって。
数年前には酸素ボンベを背負ってヒマラヤに登山、幻の花・ブルーポピーを描くという念願を果たされた先生。今はほとんどが五十代四十代となった各世代の卓を回りながら、流動食を楽しげに痛飲なさる。
今日のために、軽井沢の別荘を降りてきて下さった堀先生と、箱根の山から降りて来て下さった中野嘉之先生を囲んで、宴はたけなわ。「そんな下品な事、今までしたことはございません!」という先生にして初挑戦となったバースディケーキろうそく吹き消しの顛末は以下の通り。またお祝いに送ったレースの卓布を、うちのは卓袱台だからとショール代わりに肩に羽織るなど、お茶目心全開の細かいお心遣いに生徒たちも大受け。次は白寿のお祝いと約した事だった。

水無月尽ーデビュー戦とともに

 

あ~ん、月日は百代の過客にしてもう最終日?あっという間に悦部屋の砂時計はヒックリ返るのね。千晴画伯と過ごした時間のういういした感じをお伝えしようと思ううち、今日を迎えた無念ー同じB型の哀感を語り尽くせぬまま水無月は果てゆく、、。
まあ色々ありまして、悦画廊初個展の怒濤に巻き込まれた画伯、さぞやお疲れだったろう。一家中が画家という恵まれたような恵まれないような環境のなかで、絵を描いてきた画伯のこし方はいずれまた語るとして、一人画家として立っていく決意は今展を待つまでもなく定まっていたと思う。いろんな迷いはいつも付き物にせよ、30代の頃は画家としても正念場。迷う時には迷うがよろしいーといつも迷ってばかりの悦子に説得力はないが、その末の決断は無謀に近いほど早いB型の特徴を千晴画伯も発揮して、ぐずぐず、めらめら、の道を繰り返しているらしい。

何が夢?ときいたら幸せになりたい!と。何度も絵をやめて好きな手芸をやったり絵本作家になろうとした事があったというが、結局絵に戻ってしまうのも運命か。いまのところ千晴画伯のお幸せは、猫のコウちゃんと過ごす時間に尽きる。その宝物のような時間を絵に描いて見せてくれた今展、身近にいる人にしか観察できない猫の色々な姿態に、そうそうこれよ!と頬をゆるめた人も多かったに違いない。

だが、それで終わらないのが画家の道。ていうか、それを許さないのが画商の道。もっと大きなお幸せのためにパンドラの箱を開けろーなど口走る我が身が恐い。

いずれ千晴画伯の成長と出会う人々との御縁が、今の境遇から歩を進めさせていくのだろうが、定石ではなく、大きな展望を睨んだ次の一手となるように前途を祈るものである。
今展でも日展の土屋先生、どんどんやりたいことをやれと激励のひとこと。お父様の能島和明画伯や叔父様の千秋画伯、お姉様の浜江画伯などお身内もそれぞれご来廊下さった。また、最終日には、同級生にして仲良しの高木麻里ちゃんがいらして、ひとしきり青春編。画廊回りが板に付いてきた多聞くんを連れた野地氏や本江氏、梶美術店梶氏などプロの見者も、丹念に見て下さってありがたし。多くの方に励まされ、千晴画伯にとっては大きな一歩となった個展だったと思う。さらなる健闘を!!

 

能島千晴展 はじまる

悦子画廊では初めての個展となる画家である。1971年、神奈川は大和市生まれ。89年に多摩美大日本画科に入学。学部在籍中に臥龍桜日本画大賞展、上野の森美術館大賞展、日春展などに入賞。大学院に入った96年にはこの他日展入選、同和火災ギャラリーにて初個展など、早い時期からその才能に注目されてきた若手である。
その後、コンクール出品や個展などを経て、才を磨いてきた。ただ、一筋縄ではいかないこの道。自立は険しく今もその渦中にある。
初めて会った時はまだ生まれたばかりの子猫ちゃんのような、デリケートな印象を受けたが、なかなかどうして、若いながらに曲折の日々を過ごしただけあって自分をしっかりもっている。というか、自分があるだけ、苦節を招いているというべきか。
拾って子猫から飼っている愛猫を描くことが多いという。出品作は自分の脚もからめた「脚シリーズ」。俯瞰する床に脚と猫が作る幸せな時間がある。「love thang」と名付けたタイトルには、いとしいものとの一体化を希求する想いがこめられているのだろう。丹念に描かれた猫の像とうらはらに、自らの脚は実体を失い、わずかに線描と部分的に着彩されたストロークで表現する。脚シリーズの延長に「靴シリーズ」がある。華やかに装飾された靴や七五三のぽっくりは、精緻な描法で現実以上の魅力を伝える。ふと、シンデレラと靴の関係を思ってしまったが、この脚たちと靴はまだまだ出会うことのない運命である。今、画廊の壁の対面に飾られ、透明化していく脚と、これでもかとばかりに実在化を迫られている靴との関係を眺めながら、この「虚」と「実」が握手する時まで千晴画伯のの旅は続くのだろうと思う。
今日はアートトップの金田一氏が新人の方と、早速ご挨拶に。展覧会で一時帰国の依田万実画伯と、日展の先輩・川崎麻児画伯、加藤晋画伯などを迎えた他、多摩美同級生の大野麻子画伯も久々のご対面。二日に渡った搬入に倒れそうだった画伯も皆様の激励に疲れも吹き飛んだ模様。まずはやれやれ、、

安住画伯最終日

ご近所の藤屋画廊さんで「渺渺展」が開かれていることもあって、日展関係のお客さまが多く見て下さった今展。それに寄与してくれた功労者はなんといっても画伯同級生の加藤晋画伯。加山先生の資料研究にも携わっているので、現役の学生から日展の先生方まで幅広い人脈を誇る。
子育ての間しばらく休んでいた日展に一昨年から復活をはたした安住画伯、ライフワークともいえる人物像を描き注目を集めたことも記憶に新しい。先日も書いたが、故郷宮城の芸術選奨新人賞などを受けいよいよ大海に漕ぎだすか、というところ。
そんな画伯の活躍をわが事のように喜び、忙しい頃になると栄養ドリンクの差し入れ等、柱の陰からそっと応援して下さっているのがいもきん小黒夫妻。ご自分たち去年は新潟の災害の支援で大変だったのに、こよなく美術を愛するお二人はなにかと画伯たちを気づかってくれて有り難いこと。また、安住画伯もそれに応えて、奥深い作品を描いた。久々にゆっくり来廊の昨日は、作品をじっくり鑑賞。心を入れて見ている後ろ姿はいいものだ。感謝!
最終日最後の時間近くなると、万難を排して駆け付けてくれる人々が。先日来三度目のご来廊になる英利子さんはお嬢さんの万葵ちゃんを伴って。同じく加山先生クラスだった山田りえ画伯は、お孫さんにあたる万葵ちゃんに感慨深げ。今、多摩美の芸術学科に在籍しながら、加山又造研究室の重要なメンバーとなっているという。今後の研究が實られることを祈るものである。
また、絵画教室での教え子さんたちもたくさん来てくれ、優秀な教師としての実直な画伯の一面を伺わせてくれた。2001年から数えると5回目になる今展では、精神的にも体力的にも充実したエネルギーを感じた。今、静かな深みをたたえる安住画伯の黒が、奥の方でうねりさざ波を立ち起こすかもという予感も含めて、次の仕事が待たれる事である。

典雅なきもの競演

15日から日本橋高島屋八階ホールで開催中の「加山又造全版画展」のため、会場に詰めていらっしゃる哲也夫人英利子さんが、涼しげな夏の着物でご登場。六月のこの時期しか着られない紗合わせという、紗と絽を合わせた粋な着物には水紋が織り出してあり、金箔仕立ての絽に蝶を刺繍した典雅な帯と合わせて、水辺を飛ぶ蝶という趣向で。すっきりと細面の英利子さんならではの華やかで品のよい着こなしに、加山家の美意識を見る思いが。
また、コレクターの久保田氏夫妻も着物好きな方がた。夫人は画廊回りの際には必ず季節の着物を吟味してご登場、お好みは銀座もとじのテイスト。今日は琉球絣の藍の濃淡が美しい一重にうこんの織り帯という、これまた今の季節ならではの爽やかな組み合わせ。久保田夫人のおっとりとしたお人柄そのものの着こなしもまた素敵。
ご幼少の頃からお母様についてお茶お花全般の心得を学ばれた安住画伯、お着物も板についた堂々の夫人ぶりだが、今展中はマダム系で。
また、知的な雰囲気のシャンソン歌手・若林さんも交えて画廊内はまさに百花撩乱。さしもの日展大御所土屋禮一画伯、加藤晋画伯、武大人など男性群もやや照れ気味?
昨日は、画伯の郷里の母校・古川女子高の東京支部の方々が後輩のためにわざわざ。会期の一日前が、宮城県の芸術選奨新人賞の受賞式だった画伯。見事故郷に錦を飾ってご立派。お父様が同郷の能島浜江画伯も、かねて懇意の間柄。今日はその画像も合わせて。

 

 

安住ファミリーの御紹介

一日の睡眠時間がほぼニ、三時間というハードな日々をクリアしながら絵を描き、主婦業をこなし、お絵描き教室で教え、そして時々はお酒まで呑む画伯はある意味スーパーレディだが、その画伯を支えるご家族を御紹介。
まずはダーリン林茂夫氏こそその筆頭。自らも武蔵美出身の画家であり。手広く絵画教室を経営するナイスガイ。画伯の画業をよく理解し、二人三脚でこれまでの日々を一緒に戦ってこられた。寡黙にやさしく微笑む姿は、画家の夫の鏡。まだまだラブラブ感ただようお二人には学生時代から育んだ信頼の絆が強く結ばれている。
また、そのお二人のご長女・沙綾ちゃんは去年芸大の音楽科に合格。そのご学友と一緒に楽しそうに今日は来廊。はつらつとした彼女の様子に、はるか彼方の青春を思い起こす悦子。ちょうど揃って来て下さっていた、画伯のお姉様たちと久々の一族集合の図。
前日には林氏のお姉様ご夫婦が南アルプス市からわざわざ。毎回来てくれて激励してくれるご兄弟もまたありがたし。この力強い応援団こそ画伯の頑張りの泉であろう。

安住小百合展始まる

DMのブルーポピーさながら、青のスーツを召した初日の安住小百合画伯。その華やかな様子を早速!
円窓のシリーズも14作目となった今展。令嬢紫苑ちゃんを描いた一作目から牡丹、桜、椿、ハイビスカス、紫陽花、芥子などを描き継ぎ、今年はブルーポピー、百合、鉄線、野バラの四点の円窓20号Sを描き上げた。いづれ一堂に展観する時にはまばゆいばかりの空間になるだろうが、今はまだその途上。作品たちが格天井に出世する日を夢みつつ、機を織り続けているといったところか。
また、また前回に引き続き、風炉先屏風も。扇面散らしの桜尽くしという豪華さ。あでやかな金と漆黒が背景というだけで充分ゴージャスだが、色んな種類の桜、さくら、サクラである。覗き込んだらもう帰れない闇にも似て妖艶このうえない。
黒が一段と深みを増したことによってその上に描かれた花の密度も濃く感じるのか、花の艶麗さによって、背後の空間に奥行きを思うのか。絵空事ではない、実在感をずしりと感じさせつつ安住画伯の「花」は匂い立つ。
その香に誘われたか、京都の生駒画伯の御登場。折り佳くニューヨークの吉永さんのお姉様ご夫妻が、イタリア人のアーティスト・マリオ氏をご案内して来てくれていたので、英語・イタリア語・スペイン語が飛び交う花園に。ちなみにマリオ氏は写真家であるが、お父様はローマ近郊にお城を持つという。五部屋は泊まれるそうなので、ゆっくりお城に滞在したいかたは是非。また花園にいっそうの華やぎを添えてくれたのが財部りこちゃんと、可愛らしいお友達。
夕方には恒例のいとこ会のメンバーが集まって下さりにぎやかに初日を寿いだ。画伯ご主人の林氏は山梨生まれ、仲良しのお身内に囲まれ銀座の夜を楽しまれたよう。一連隊お見送りしたあとは、画伯の多摩美ーズ同級生の皆様が揃ってご歓談。お料理の達人マダムのご用意下さった各種佳肴は絶品につき、ワインが進んだことはいうまでもない。

織田有紀子画伯最終日

旦那のドクターみっちゃんと愛犬アズキを富士見に残し、優雅なホテル暮らしの日々も今日でおしまい。生まれて初めて描いたという軸装作品とともに過ごした10日間は、いつもとはまた違う緊張感に包まれていたように思う。一筆一筆が効果的な運びになる様考え抜いてかいた作品群は、ヒギンズ教授の指導よろしきを得てレイディに生まれ変わったイライザのよう。かつての野生を奥に秘めつつマイフェアレディは華麗に舞う、、。
日展にも昨年から復帰、画伯世界が、多くの方の目に触れるよう色んな可能性に挑戦すると意欲を語る。
昨日は、泉屋博古館の川口氏のご来廊。山種美術館時代に御縁のあった春彦氏と久方ぶりに出会ったとあって、話が尽きないご様子。牧ちゃんは幼なじみの美恵子さんとご一緒に、また横尾画伯は織田画伯の予備校同期とあって、忙しい中駆け付けてくれた。
最終日の今日は、田沢女史がまつりちゃんとともに。テントウ虫の模様のシャツをきて花の下でハイ、ポーズ。また搬出の時間には、昔からのお馴染み・加藤晋画伯と池田真弓画伯が登場、数寄和の社員の方を手伝いかたがた、軸の巻き方講習なども。
もうこの勢いは誰も止められないー織田画伯の軸装作品への熱い思い入れは、今後更に多くの作品を生み出していくだろう。皆様、楽しみにお待ちあれ!

大きいちゃんチーム

身長168cmか、年々背が伸びている感の織田画伯。今年は体質改善の成果かさらにほっそりしたのでモデル体形に磨きがかかっている。
今日お越しの皆様も、それぞれ大きい。同級生の麒麟画伯と武大人は大きいちゃん仲間として、ギャラリーコク-ンの上沢女史も堂々の170cmコース。並ぶとほぼ一直線なのがすごい。このラインでブロックされたらさぞや鉄壁。
本江氏も現役草野球ピッチャーらしく、ほっそりした体ながら長身。右画像の数寄和・岸田氏にいたっては190cmは下らないだろう。
大きいちゃんチームが揃うと、画廊の天井が低く見えて困るが、よくしたもので大きいちゃんと小ちゃいちゃんは仲がいいらしく割とバランスがとれている。
久々揃ってお目見えのいもきん・れもん小黒夫妻もそんなお二人。仲良しのご夫妻、ネットで見た織田画伯の作品の変化に驚かれたとか、丹念に見て下さった。
その変化に大きく寄与してくれた方が岸田氏。表装の場合の紙や絵の具使いのアドバイスを細かくして下さったという。絵だけでは成り立たない掛け軸の場合、表具師さんとの意思疎通が大切。この関係は大観と寺内遊心堂との関わりを持ち出すまでもない。感謝!
左は銀子ちゃんのパリ時代のご友人・花井氏が初登場。いままで噂でしか知らない五つ星の友。さぞやおいしいもので出来ていると思われるお体。ぜひ今度はお食事でも。

青山画伯の入籍パーティ

青山浩之・美子両画伯が長い交際期間を経て、ついに入籍。いつも一緒の二人なので、取り立ててお祝い事はしないという。いわば今日は押し掛けパ-ティだったのだが、卓上イッパイに画伯たち手作りの御馳走を用意して待っていてくれた。
大先輩の仲山計介画伯が発起人、近所の仲良し湘南組の加藤・新恵画伯夫妻が世話役という万全の態勢のもと、青山家のアトリエに集合。近隣は静かな住宅地につき、さぞや蛮声が響きわたったことだろうが、計介さんの出動とあれば只ではすまない。案の定、白いズボンに赤ワインをたっぷりこぼした計介さんは、以後パンツ一丁の男々しい(?)姿で。昔なつかしいビデオを引っぱりだして10年前の若々しい画伯たちの姿にめくるめいた。
当然、終電など皆忘れあとはおぼろ。青山夫妻のお祝い押し掛け宴会は、夫妻の長~い歳月をたどるかのように延々と続くのであった。

画伯を囲む先生たち

日本では先生と呼ばれる便利な称号があるが、今日ご紹介する方たちは、由緒正しい先生。
まず、精神科のドクター山下先生。学生時代からの画伯のご友人にしてよき理解者である。今日は可愛いナースさんとご一緒に。
また、国文学者の島内景二教授は、源氏と伊勢物語と大吟醸をこよなく愛するお方。画伯のお父上の装幀によるご本を出されている。月刊美術の下川氏と同席され、花と文学について興味深い話をしていかれた。
もう一人の先生は画伯の煎茶道の先生。おめでた中のお嬢様をともなって。おり佳くこの夏出産予定のコバッチ身和子画伯も旦那様とご一緒にいらしているところだったので、おめでたの連鎖があるよう記念のショット。つつがなくご両方とも身二つになるようまずはご祈念。

閑話休題ーある日

突然、閑話休題というのもなんだが、捨てるには惜しい話題を少し。
文京区の水道にある高橋工房で開かれている手ぬぐい展に、山田りえ画伯が描いた樋口一葉女史の作品に因んだ千代紙の原画と手ぬぐいが一緒に展示された。
ギャラリーとなっているのは丹精して造作した長屋。高橋工房社長の高橋さんの愛と気合にはいつも敬服するが、今回の展示もまたさすが。ひゃあひゃあいいながら手ぬぐい巡りをしていたら、入り口に品の良い夫人が。なんと一葉女史・妹邦さんの孫に当たる方だという。このところ一葉世界に耽溺していた悦子、その面影を伝える方に唐突にお目にかかり感無量。日本橋葭町育ちの高橋さんと子供の頃のくらしのあれこれを話している夫人の佇まいに明治の薫りを聞いた。
また、夜は二胡と揚琴の夕べーヨーヨーマ率いる『シルクロードアンサンブル』にも参加している許可氏の二胡はモンゴルの草原にも蘇州の柳にも通う風のように。かんのん劇場と題したホールは実は禅堂。普門禅菴の見城和尚が支配人である。いつものように開け放したお堂でしばしシルクロードの夢を見た。
また、居酒屋研究家にして俳人の吉田類氏も登場。類氏が出演する「居酒屋放浪記」というテレビ番組の大ファンであるWEB大里氏と三巴で朝までコース。本当に路地裏が似合う方ではある。

織田有紀子展今日から

高原のお嬢様アズピ画伯が、いつの間にか華麗なマダム織田画伯に変身して、しなやかにご登場。悦子画廊八年連続個展歴の画家である。一年に二回個展した時には、もう一、二年しか命がないと思い込んでいたというからB型の集中力は恐ろしい。
その集中力が今展では作品の中に密度ある空気を生み出した。かつてやや荒っぽかった絵の具の粒が、しっとりと落ち着いて画面に奥行きを与えている。年ごとに一枚づづ脱皮して、さなぎが蝶になったような華麗な印象ーまさに臈長けたーというべき成長か。
なりふりかまわず、描きたいことやりたいことに挑戦してきた画伯の本格日本画への道は、力まかせといかなかっただけ、発見の日々だったという。麻紙から薄美濃紙へ、粗いタッチから繊細な線へ、膠まで変えて研鑽を積んだ画伯の努力は、日本画を一からはじめたに近いものが。
大人になるのは何時と決まった訳ではないが、わかる時になるば自然目も手も違って、女子(も)三日会わざれば刮目してみよー状態になる。素材との出会いが楽しかったと、初心に戻った状態の画伯。紙と話し、絵の具に具合を聞き、無心に描いたとのだろう。その仕事を終えて顔を上げた時、画伯の世界が確実に変容した、ように思う。
まぎれもない画伯の絵でありながら、見えてくる世界が違うという体験こそ、一人の画家の成長をものがたるものだろう。なにかを真摯に追求すればこそ、である。
見た目もエレガントになられた画伯の早変わり三点変化を今日は皆様に。七味展の矢島史織ちゃんは茅野で同郷。夕方にはお馴染み三人娘となって、WEB大里氏と久々のおしゃべり。う~ん、この時だけはマダムをかなぐり捨てて小娘だったかな?

樋口薫展ー最終日

最終日の駆け込みはいつもながら。とはいえ、今日は樋口画伯のお客様に加えて悦子の御縁のスペシャルな方々が遠方から。
年齢順でいくとまず、樋口画伯のおばあちゃまから。大正四年生まれ今年90歳というご高齢ながら現役で油絵を描かれているという。樋口画伯のお母様の妹に当たる叔母さまとご一緒に、横須賀より。父方の御祖父ちゃまは、伊東深水に弟子入り志願したほどの方で、画伯がもの心つくころは自作の絵をご飯粒で表装して楽しんでいたらしい。一人娘にして一人息子のお役も兼務する画伯ではあるが、ひそかにこういうお祖父様お祖母様から画家になるべく刷り込みを受けた可能性も?
式根島からは、島のおかあさんともいうべき民宿松原荘の藤井さんが妹さんと。20年も前から通い続けている画伯はもうほんとの娘のよう。鎌倉の本当のお母様の絵の先生・岡本半三画伯もいらして下さり有り難い事。
悦子関係では、な~んと御殿場の(元)父上が上野の展覧会に絵が入選したとかで、久々のご上京。悦子との縁から絵を描き始めた父上、樋口画伯のおばあちゃまではないが、85歳にして目出度く初入選!折よく秋田からご上京の友子女史と女優の真澄女史がいらしたので、寿命が10年伸びるよう美女が密着、にぎやかな一時を。辻が花作家のたかこ女史はまつりちゃんとご一緒に花を添えてくれた。西馬音内盆踊りが御縁で会った美女連合、場所を東京に変えてまた再会できたのもうれしい限り。早速たかこご一家は式根島の松原荘に行くらしい。ここで出会った方たちもまた御縁を広げていっていただければなにより。
樋口画伯は海と旅の中に、人間の幅を広げてきた。個展の度に大人度を増す彼女の作品は、今展を経てさらに密度の濃いものになるだろう。また楽しみなことではある。

小泉淳作先生と多摩美ーず

だいたい学生数が一学年30人前後と、少ない日本画科。一年生の面倒は四年生がよく見ていたので卒業後も比較的仲良しである。先日もご来廊の尾長画伯と同級の武田州左画伯、山田宴三画伯が、樋口画伯一年時の四年にあたる。当時からやんちゃだったと思われる画伯と遊んでくれた貴重な方々である。また造形大で講師を勤める左善氏もこの頃からのお付き合いという。大学院時代は彫刻の学生がよく画伯のアトリエに呑みにきていたというから、男(?)同士の友情も長い。
加藤・新恵夫妻はやや後輩、芸大出身の山崎画伯はグループ展でご一緒した仲とか。二年上の池田真弓画伯もひさびさにご登場。
また、夕方から画伯同級生の藤井美加子画伯、一年下の根本智雅子画伯などお迎えして、みんな結局先は一人になるよね~などと、老後一緒に住む話で盛り上がって(悦子が管理人らしい)いたら武蔵美ーずの岡野画伯も長尾画伯ものりのり。でも独身の日本画家ばかりいる老人ホームってあまり考えたくないなぁ。
こないだ、三線で歌ってくれた船橋氏は怒濤の出張の帰りに。また手作りおみその名人小清水氏も交えて、今日もまたあとは朧、、になるかと思いきや、突然鎌倉の巨匠・小泉淳作先生の御登場で目がさめる。建長寺の龍の天井画でしられる画伯の眼光は鋭く、さすがの存在感。一番星画廊の星社長とともに見ていただけたのは樋口画伯のお幸せ。どうぞ画伯にも襖絵の御縁がありますように、、、。

教授会?あれ?&浅草?あれ?

多摩美の理事にして歴史学教授の清田先生と、西洋美術史教授の本江先生が、画廊で鉢合わせ。あれ~なんでこんなとこで!?ってハモられたのが面白い。つい最近教授会でご一緒したばかりだという。それぞれによくいらして下さっているのだが、時々このような鉢合わせの現場に立ち会うと、「こんなとこ」の主としてはなんだかうれしい。 樋口画伯も教授陣に丁寧に仕事を見ていただいてうれしそう。
もう一つの鉢合わせは画伯お父上の弟二三男氏と、お父上の浅草精華小学校時代の同級生中野氏の遭遇。共によき浅草時代に幼き日々を過ごされたお二人、奇しくも浅草演芸場で真打ちの御披露目を観てきたばかりという。三社祭りと落語話でしきりに盛り上がり、当時の現場を知らない悦子や武大人をおおいに刺激してくれた。
また、鎌倉からは伯父さまといとこのいずみさんが親娘で仲良く。画伯の家ではお母上もおばあちゃまも揃って絵を描くが、この雨宮の伯父さまも定年後に描き始めたのだという。さすが鎌倉文化圏、樋口画伯の生まれる素地は、こんなところからも伺えるよう。

 

幼なじみ&旅の仲間

鎌倉ご在住の幼なじみの方たちや旅で知り合った方たちのご来廊。鎌倉・御成小から御成中、七里ケ浜高そして予備校の鎌研を経て、多摩美日本画科卒という絵に描いたような道を歩まれた画伯。さすが地元の御縁が多いが、各時代のご交遊をしのばせる様々な方がお見えになところはお人柄ゆえか。
今日は、小学校からの幼なじみの皆様ー自称ハイミス五人組というらしいーのうち三人の方が。ハイミスとはまた時代がかったいい方だが、見た目はまだまだミス鎌倉で通るお嬢様がた。
手前の方は多摩美の染職科ご出身とのこと。他の科に友人が多いのも画伯の特徴。真ん中の画像の大久保宏美ちゃんは池田画伯の武蔵美のご学友であり、二週続けての登場となった。
鎌倉の海を守る会で知り合った小倉嬢はデザイナー。市民活動の中で、画家の世界だけでは知り得ない色々な方達から薫陶を受けているに違いない。
また、スリランカへの旅の仲間の方々も。本間姉とタム姉と画伯に呼ばれる彼女たち、青年海外協力隊として現地で活動している時に、画伯のお世話をしてくれたのだという。気がつけば今日もいい女たちのエネルギー満載の一日だった。

イルカにのった青年とウルトラQ

海を愛する画伯、鎌倉湘南だけではなく島にもいろんなお友達が。御蔵島は八丈島と三宅島の間にあるイルカで有名な島。学生時代からイルカの研究に来ていて、博士課程修了後そのまま島の観光案内所http://www16.ocn.ne.jp/~mikura/に就職したというコーギーこと小木氏のご来廊。夜10時半発の船で帰るコーギー氏から、島の暮らしのあれこれとイルカのことを聞く。島に昔からあるイルカのコロニーを研究しつつ、保護の活動をしているという。潮風に洗われたさわやかな笑顔の好青年、早速お気に入りに登録する。
また、夕方からは中尾画伯・個展が終わったばかりの池田画伯・WEB大里氏をはじめ樋口画伯の地元のご友人たちをお迎えした。たまたま友人の制作したウルトラQの海賊版なるDVDがあったので、営業時間修了後ウルトラQフリークの中尾画伯の解説付きで鑑賞する。これは傑作!!また映画のおともは豪華和洋菓子。クール宅急便で到着のケーキは鵠沼ラシェットブランシェのもの。また京都鍵善良房の竹入水羊羹は、胸の谷間で暖めると取り出し易い、、(うそです)の図を。

樋口薫展初日

三日遅れぇえの便りをのぉせえてぇ~♪てなことで、無事初日アップ。昨年の悦子画廊デビューでは、初めての具象に挑戦した樋口薫画伯。今回もさらにバージョンアップして華麗に登場。
時々ハンサム樋口としてサイトにも御紹介しているが、いつの間にか四十路の道に。激しい造形意欲に燃えて抽象作品にチャレンジしていた時期を経て、自らの内面に目をむけるようになったとき、象徴として実在のものの形を借りたくなったのだという。
ふと、ある日気が付くと見なれた鎌倉八幡宮の蓮池に渡る風が心に沁みたーというような経験は言葉で説明できないものだろう。器に水が溢れるように、見える世界が変わってきた時に、画伯はためら

いなく今までの手法を捨てた。
蓮に雀といえば古典的な日本画のモチーフだが、果敢に挑戦、見事画伯らしいダイナミックな世界に。蓮を渡る風、雀の羽が起こす風、また椿に降り注ぐ光の陰影を実に注意深く描いている。
一瞬の羽ばたきに神経を集中し、その不思議に胸をわくわくさせて描いた事が画面から伝わってくるようだ。また古画の、画面の奥からにじみでてくるような風趣と、抽象時代に培った造形意識が共存している画面は、今後腕を磨くに従ってさらに光を増してくるだろう。
根っからの鎌倉育ち。「鎌倉の海を守る会」で市民活動もする画伯は、海外青年協力隊などのメンバーとともにアジアでボランティアもする行動派。出ていく先々で、色んな矛盾や人生の機微に触れてきたのだろうが、画伯の健康な精神は全てを貪欲に吸収してきたのだと思う。躊躇なく踏み込んでいく果敢さで、美の秘密に迫ろうとする今回のチャレンジは一見の価値あり。
今日は以外と料理自慢の腕を御披露。多摩美ーず時代の恩師・中野嘉之画伯や尾長画伯など学校関係の方々や画廊関係のお客さまをおもてなしした。絵に描いた雀になりきった画伯の画像とともに。悦子にはねずみ男にみえるけど、、まぁいいか。


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