今月の柴田悦子画廊



 

 

4月8日0時に発令される緊急事態宣言により今月の展覧会を以下のように変更し、5月8日まで臨時休廊いたします。

※4月4日から開催中の
線と余白の間ーそれぞれの結界
は7月13日(月)〜18(土)

※4月13日から開催予定しておりました
渡辺薫展は
6月15日(月)〜21日(日)

※4月20日から開催予定しておりました
越畑喜代美展は
8月3日(月)〜10日(月)

以上、会期の延期変更のお知らせまで

尚、次回は
5月11日から17日の
會田佳惠子日本画展を開催いたします。

皆様のご健康を祈りつつ。。
では次は5月の晴れた日に!

線と余白の間-それぞれの結界-

2020.4.4(土)〜11(土)
12:00〜19:00  日祝〜18:00
最終日〜17:00

新型コロナウィルス禍の只中ではありますが、今週来週の柴田悦子画廊は換気・消毒を徹底しつつ開けております。

かねてから「線」に卓抜な才を示している画家に「余白」の意識を問う展覧会をしてもらうべく準備してきたものです。
選んだ画家は三人。

足立正平
立尾美寿紀
佛淵静子

独自に活躍する画家たちが、自分の結界をどこにどう結んでいくのか、比べてみることで更にそれぞれが際立つ事を企図しました。

以下、案内状に寄稿して下さった早稲田大学准教授・立尾真士氏の一文を添えます。

絵画の「はじまり」とはいかなるものか。あるいは、はじめられた絵画に「おわり」はあるのか。
ともあれ、まずは線が刻まれなければならないだろう。原初が空白だとするならば、そこに線が引かれたとき、絵画は開始(はじまり)を迎える。点と点を結ぶ線がひと筆、ふた筆と延ばされ、交わり、ときに消され、重なり合う。幾多の線の複層が、界域を生む。
しかし、かたちづくられた界域が線に
充たされることは、ついにない。線を描き、界域をつくりだす筆はまた、余白を生み出す。空白に対峙し、作品の完成(おわり)へと至るために開始(はじまり)の線を刻む画家は、ひと筆ごとに、原初の余白を縁取るのだ。とすれば、絵画を眼差すときに私たちもまた、界域をかたちづくる線と余白のあいだの、そのたびごとの「はじまり」に邂逅しているのである。
三人の画家がいる。画家によってひとまずのところ完成(おわり)とみなされた作品たちは、それぞれが線と余白によってかたちづくられた界域である。と同時に、それぞれの界域が交叉し、結ばれ、或いは分け散じるとき、そこにまた線と余白があらわれる。それらの線と余白のあいだへと誘われた私たちは、新たな原初(はじまり)の痕跡に触れるであろう。
絵画の界域が、空け開かれる。

立尾 真士 TACHIO Makoto  /   文学研究者

第4回 Le Vant de La Villeルヴァンドラヴィル展

2020.3.22(日)〜28(日)
12:00〜19:00 最終日〜17:00

多摩美大日本画科を1976年卒業のメンバー4人によるグループ展。
金井ノリオ
クリバヤシツネオ
斎藤弥
平岡栄二

多摩美大が上野毛校舎から八王子に移転しての二期生である。この頃は本館一棟に寮があるくらいであったらしい。
また上級生がいないため、学生数が圧倒的に少なく各科入り乱れて濃密な関係だったと聞く。

そして何より日本画科には荒井(松任谷)由美がいた。

その後、それぞれの道を歩んだのち、4年前に結成した会の序文にはこのような記載があった。

荒井由美の『あの日に帰りたい』がヒットした頃、同じ青春時代を私たちは過ごした。歌の中の「光る風 草の波間を駆け抜ける…」がフランス語版では「Le Vant de La Ville」(都会の風)と唄われている。私たちは再び都会の波間を駆け抜けようとしているのか

大山奈々子展「寄る辺のない」

2020.3.15(日)〜21(土)
12:00〜19:00 最終日〜17:00

この春、東京藝術大学日本画専攻大学院を修了した大山奈々子の修了記念とも言える展覧会が今日から始まった。
在学中から美少年を主題に数多くのグループ展で発表を続けてきた大山による初個展となる。

話題となった修了制作展の縮小版となる作品のほか、新作の数々を発表する。

織田梓展 〜山だより〜里だより〜

会期:2020 3.2(月)〜8(日)
時間:12:00〜19:00 最終日〜17:00

1986年多摩美大・院日本画専攻修了後、個展グループ展などで発表している織田梓の久々の個展。

長野県諏訪出身の織田は、故郷の山野や草花をテーマに野生味溢れる日本画を描いているが、今展ではその原点とも言えるドローイングをメインに19点を。

人生の荒波に揉まれつつ、筆は握って離さなかった画家の真骨頂を、これら野山の生き物たちの間に見る。

八幡幸子展「みどりの牧場」

2020.2.24(月)〜3.1(日)
12:00〜19:00   最終日〜17:00

身近な動物たちの眼差し、四季の草花、登山したことのある思い出の山等をモチーフに日本画の絵の具を使って心象風景を制作しています。     八幡幸子

八幡幸子は2004年多摩美大・大学院日本画修了後、恩師平松礼二先生の元、「吾の会」「飛の会」や中之条ビエンナーレなど、大作中心のグループ展を中心に発表してきた画家である。

今展は、満を持しての初個展。
150号の作品をはじめ、愛らしい動物たちの力作が並んでいる。
聞けば、多摩美大の前に東京農業大学で家畜の飼料等を研究していたのだとか。
取材は近くの動物園らしいが、虎やライオンではなく豚や山羊、猫やアルパカなど人間に寄り添って役に立ってきたものたちだ。
さらに驚くべきは、東農大時代は山岳部で7000m級の世界の山々に挑戦してきたのだとか。描かれた動物たちがまったり寛いでいる場所は、実は5000mくらいにあるベースキャンプという。

崑崙山脈や、パキスタンのナンガパルパット、フランスのシャモ二ー針峰群などを登りながら目に焼き付けてきた風景と、愛すべき小動物を巧みに画面上に同居させ、なんともほのぼのとした情感の作品に仕上げた作品群。

一巡して、画家の過ごしてきた人生と向き合い、共に旅をしてきたような感慨につつまれるのは私だけではあるまい。

つぬけの会 vol.5

2020.2.17(月)〜23(日)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

東京藝術大学出身の釣り好きメンバーによる展覧会。
「つぬけ」とは釣り用語で、釣果を数えるのに1〜9までは「ひとつ」〜「ここのつ」と「つ」がつくが、10になると「つ」がつかなくなる事から10匹めを「つ」抜けた、という。

年齢も専攻した科も違うメンバーによるユニークなこの会も5回目を迎えた。

小山松(おやまつ)隆  洋画
川畑 毅  日本画
小林正誠  デザイン
鈴木よしひろ デザイン
宮地 睦明  デザイン

デパートリウボウ7階美術サロン 武井好之日本画展 「沖縄百景」vol.8

2020.2.11(火)〜17(月)
10:00〜20:30  最終日〜17:00

デパートリウボウ7階美術サロン
那覇市久茂地1-1-1
098-867-1291(直通)

「沖縄百景」と題して出会った人々や風景・花々を描いている武井好之の同シリーズ8度目の展覧会。

本島だけで、もう百景は描き終わり、次の百景を目指した宮古・八重山シリーズ
は端緒についたばかりだ。

今回は取材で何度も訪れ、作品にも度々描いてきた首里城の復興再建の一助になればと、ささやかなチャリティイベントを企画した。

沖縄の人を描くー似顔絵イベント
明日12日から17日最終日まで
午後13:00から17:00

1956年生まれ
東京藝術大学大学院日本画専攻修了

池田美弥子展ー月暦図ー

2020.1.27(月)〜2.2(日)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

案内状に添えられた画家の言葉から

ー花と花、家と家、海と、空と、言葉と言葉、あれもこれもつなげて暦を作ったら、どんな一年になるだろうか、、。

武蔵野美術大学日本画科卒後も、一貫して鳥瞰図、俯瞰図にこだわって製作してきた池田美弥子の新作展。

今回は描く絵をイメージするとともに言葉が浮かんできた、という。絵と言葉を等価に考え、並列して展示する構想もこの度初めての挑戦だ。絵と言葉の間を行き来しながら、創造の泉に触れてみるのも楽しい。

冒頭の言葉にあるように、メインの屏風は花と花、家と家が切れ目なく連続し、いつの間にか季節が変わり、町も変わっていく趣向である。

学習院大学•佐野みどり先生の教室を聴講し絵巻物についての研究から、雲間の景色を「覗く」ように見る、事にとても興味を持ったとの事。

在住する茅ヶ崎と近隣の鎌倉の、見知った風景と人々の暮らしのありようが、今様(湘南)洛中洛外図として描かれている屏風を眺め、いや「覗いて」見てほしいと作者は切に願っている。

平野俊一展 In The Garden-Roses-

近年 In the Garden.シリーズを展開する平野俊一が描いた究極の薔薇の園。

寺院本堂を荘厳するための屏風絵制作は今回で二点目となるが、前回の「杏の園」二曲一双を上回るスケールの作品となった。

大小の薔薇の花々の乱舞する中を逍遥するかのような目眩く世界が画廊内に展開している。

屏風の屈曲が醸し出すずれと絵の内部の遠近のずれが濃密に絡み合い、秘密の花園内に閉じ込められている気分、というわけだ。(もちろん、さりげなく薔薇のコロンを振りまいているが)

初日の今日は、その秘密の薔薇園で差し入れの沖縄泡盛の宴。島では時を経た泡盛をその芳しい香りから「花酒」と称するが、まさしく少し早い花見酒となった次第。

1984年多摩美大日本画科卒

多摩美大日本画科 第14回 堀文子教室同窓展

2020.1.12(日)〜18日(日)12:00〜19:00
日祭日は18:00  最終日は17:00

昨年2月に永遠の旅路につかれた堀文子先生を偲びつつ、多摩美大日本画科・堀文子教室の同窓5期による展覧会をいたします。先生の遺された言葉や思い出を胸に刻み、それぞれが一層の研鑽につとめる場といたしたいと思います。

新年恒例となった堀文子教室同窓展も早いもので14回目を迎えました。
100歳まで現役の画家として、数々の展覧会を開催されていた先生の足元にも及びませんが、一期生は古希を迎え五期生も50歳の坂を越しながら年々歳々賑やかに制作を続けています。

先生から受け取った折々の言葉を皆で共有し、それを遺産としてこれからも各々の画業に反映していくつもりです。

銀座MOGA 2019年最後を飾る超絶美人画展 Modern Artプロデュース

2019.12.23(月)〜27(土)
12:00〜19:00 最終日〜17:00

今年最後の展覧会は三度目となる「銀座MOGA展」。
メンバーも少し入れ替えながらmodern Artさんに選抜された若手画家たちが本日銀座に登場した。

赤崎りおの
坂倉 冴
沖 綾乃
加藤弓絵
白谷愛理沙
高久梓
竹田涼乃
寺野 葉
中島華映
袴田真子
むらまつちひろ
山下千里

2000年生まれの美大在学中メンバーも含め、今回は北海道や尾道からも作品が届きなんとも賑やかなこと。
やはり暮はこうでなければね。

ー旅する着物展ー

2019.12.16(月)〜21(土)12:00〜19:00
最終日〜17:00

作者からのこんなメッセージから

うららかな春は厳しい冬の後から来る!
可愛い蕗のとうは霜の下で用意された〜心はいつも蝶のように
十日町紬のコートジャケットで軽やかに!

着物地で洋服をつくるこの作家さんに出会ったのはもう十数年前になる。フェルト帽子作家・黒羽よしゑさんの展覧会の折に来廊ー聞けば秋田大学教育学部美術専攻で絵を学び、最近まで美術教師だったの事。

在任中から、日本の染織の魅力に取り憑かれ全国から生地を集めては一人パリコレをしてるのよと宣う。

着てみると、和服の折には味わえない風をはらむ絹地の軽やかさがある。一枚仕立てのコートドレスを羽織って銀座を闊歩すると気分はパリジェンヌかニューヨーカー!

大島紬、琉球紬、結城紬、十日町紬、黄八丈、上田紬、米沢紬など紬(絹)ものが主体で久留米絣や越後上布、壁上布、能登上布など木綿や苧麻を素材としたものまで全国の伝統染織の逸品をコレクションし、惜みつつもハサミを入れて新しい世界へ誘う。

日本の染織は世界に冠するもの故に、その素材を自由に楽しんで身にまとうことから、また着物の美しさに目覚める循環もあるかもしれない。

裏地に凝るように、今年はリバーシブルで着られるコートも沢山!
是非、生地に触って着たおしてこれらを染め織った人々に思い至って欲しい。

Xmas Art Festa 2019 木村浩之個展 RIKISHI MEN

2019.12.6(金)〜14(土)12:00〜19:00
日曜〜18:00   最終日〜17:00

初日18:00〜21:00銀座の夜会パーティ

19:00から木村浩之のライブペインディングに合わせて
アコーディオン奏者・丸茂睦さんの演奏があります。
https://mutsumimarumo.wixsite.com/accordion

相撲をテーマにした作品で知られる木村浩之は1975年東京生まれ。
2003年に多摩美大日本画科を卒業後は、朝稽古から本場所まで丹念に相撲部屋を取材して唯一無二の相撲を描く画家として活躍しています。
2017年にはNHK大相撲中継の解説などを務めるまでとなり、関係者からも一目置かれる存在となりました。
今展では東西の力士面がそろい踏みする展示です。力士の面を前にした相撲談義を楽しみに是非お越し下さい。

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小林正誠展

2019.11.25(月)〜12.1(日)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

昨年、ロートレアモンの「マルドロールの歌」1974年栗田勇訳で手がけた装丁画と挿絵を披露した小林正誠。
今展では、その中の第四の歌から画想を得た作品を含め、主に女性たちを描いた作品をチョイスして1983年から今年までを展望する。

1944年生まれの小林は、東京藝術大学デザイン科(当時は工芸科)を卒業後、一時は高島屋デザイン部に就職するが、学生時代から藝大美大予備校で手腕を発揮していたため、請われて新宿美術学院の立ち上げに関わり、デザイン科の合格率をトップクラスに押し上げた。

当時のいわゆる新美の勢いは凄まじく、現在、内外で活躍する画家、デザイナーの多くは彼の指導により受験に成功した
と言っても過言ではあるまい。
自分でも性に合っていた、という小林はその後お茶の水美術学院でも受験指導のカリスマとして後進を育てつつ、並行して「精彩展」など様々なグループ展を主催、制作にも余念がなく活動してきたが、今後は個展を中心に発表していきたいと、先年から自己の初心を振り返る展覧を続けている。

国際展などではシュールでカラフルな瓢箪を主に制作していた小林の、初期から現在に至る女性像の初々しさは、カリスマの含羞を言うべきか。
和紙に岩絵具とアクリルで描いたミニ回顧展、一覧の価値あり。と思うが如何。

板東里佳展覧会ー共鳴する墨色

2019.11.18(月)〜24(日)

ニューヨークと帯広のアトリエを行き来しつつ、リトグラフと絹本の制作をする板東里佳の2年ぶりの個展。

彫刻家の夫君・板東優氏の住むN.Yに移住し、Art student leagueで石版リトグラフを学んでからはや30余年。リト制作を続けながらの子育ても一段落し、夫君の故郷•帯広に滞在する事が多くなってきた頃、絹本水墨の魅力に取り憑かれた。

もちろん、大理石の版もプレス機もない帯広でのリト制作が難しかったこともあるが、絹地にしなやかに走る墨の美しさに出会いが大きな転換点になったのだろう。

石版にクレヨンで丹念に描き込む技量を持つ里佳さんが、今度は筆を取って墨を磨る。中国の古い茶墨で、白黒が共鳴し合う呼吸を見計らいながら静かに筆を進めるのだという。

今回は襖に少し足りないくらいのサイズを3枚つなげた大作を描いた。仕上がって天井の高い広いスタジオに置いてみたら、絵から龍が立ち上がってきて驚いたのだとか。水や雲を描いていると知らず龍の形に成るのかと、白と黒の魔法を思わずにはいられない。

その大作を含め、野の花やドットを描いた清廉で思索的な作品が画廊を満たしている。見る人その人を映す鏡のような空間になった。静かに湛えられた水をのぞいて自分に会いにいらしたらいかが?かな。

あゆみの会

2019.11.11(月)〜17(日)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

あゆみの会とは故・松尾敏男先生の門下生による日本画の研究発表展である。

鈴木ちか子
辻村和美
中野昌子
柳田晃代
山中隆成

メンバーのなかで中野昌子は女子美大日本画科卒後、他の4人は多摩美大日本画科在学中から松尾敏男先生の薫陶を受けてきた。

所属する院展出品をメインに、本展では主に小品制作の勉強の場としてそれぞれが技量を磨くことを目標としている。

松尾敏男先生の揮毫による「あゆみの会」の額を中心に、大作とはまた違う難しさにチャレンジしたと思われるメンバーの作品が並んでいる。

院展出品の大作のみならず、馥郁とした香りの漂う掌の作品も多く残した松尾先生にならい、今年も5人の挑戦は続く。

夢みる帽子展 ー被る帽子は飾る帽子

2019.11.4(月・祝)〜10日(日)

黒羽よしゑさんの三年ぶりの個展。
在住する岩手・盛岡はホームスパンの産地。その材料となる羊毛と手紡ぎ・染めのスキルを持つ方々との出会いがフェルトの帽子作家になるきっかけとなったそうだ。

家業の舞台美術制作の激務と子育ての合間、寝る間を惜しんでの制作だったが夢は広がる一方だったという。

今、黒羽さんは色々な軛から解き放たれて、ますます色彩は奔放に、形は自在に、身につける人をも変容させるようなパワーに満ちた作品たちとともに画廊にいる。

北国の人が半年を無彩色の中で過ごすから、色彩感をもたないかといえばそうではない。真っ白に埋め尽くされた大地の中で色を希求し夢想する。
その「夢みる力」ともいうべき黒羽さんのたぐい稀な能力が色とりどりの羊毛に命を吹き込んで、なんとも楽しいワンダーランドを形作っているのだ。

帽子をかぶった人の魅力を引き出し、またまだ知らない自分と出会わせてくれるーそんな黒羽さんの世界に遊びに来ませんか。

LABO 31st 日本画の不自由展 ー私達は不器用なだけー

2019.10.28(月)〜11月3(日)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

越畑喜代美・麒麟・平野俊一

多摩美堀文子教室1984年卒同窓3人によるLABO展は回を重ねる事、31回。
1989年、ベルリンの壁が壊された年に、銀座7丁目のギャラリー篁で旗揚げしたグループ展である。
その後、8丁目のギャラリーいせよしに会場を移し、当画廊とは1998年から今まで20数年の付き合いとなった。

LABOというネーミングの通り、laboratory実験・研究の場として必ず次の仕事へつながるステップを各自が目指してきた事は疑いない。
それぞれ今は百貨店や他画廊でも個展やグループ展を開催するが、まだ未完成なアイデアや構想を自由に発露する場とし、その後錬成を加えて画風を発展させてきたように思う。

日本画の画材や技法は奥深く、自身のテーマに沿って自在に繰るにはなかなか不自由で、だからこそ面白い。
拳を上げることより、まず筆を取って描き続けることを選んできた面々の、31年目の挑戦を是非ご覧いただきたい。

恵 芳子展 / 2019

2019.10.21(月)〜27(日)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

1983東京藝術大学工芸科鋳金専攻卒
1985同大学院中退
その後
1990松原工房にて陶芸をはじめ、グループ展個展などを重ねながら陶芸家としてのキャリアを積み上げてきた方である。

恵 芳子(めぐみ よしこ)が専攻した鋳金といえば金工である。鋳型に溶かした金属を流し込み、研磨して仕上げる技法を大学で学びながら、何故陶芸の道を選んだのか。この間の事情はともかく、彼女の作り出すものは伝統陶芸系の重苦しさがなく、さりとてクラフト系の軽さもない。
極めて自然な筆使いで、その辺の道端に咲いてる草などを軽妙なタッチで描いているのだが、それが実に上質なのだ。

しかも、丹念に皿の裏まで(表以上に!)描き込んであったり、掘り込んであるものだから一枚一枚の存在感が半端ではない。さらに持ってみると土の感触というよりは金属的な軽さに驚く。

このような魅力に加え、お値段もちっとも偉そうではないから人気のほどがわかるというもの。来てくださる皆様が、一つ一つの作品の間を逍遥し自分の手のひらに合うものを選んでいく様はお供する身としてもうれしい限り。

誰のようでもない恵 芳子の陶に是非触れてみて下さいね。


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