東アジア絵画のなかへ ー収斂と拡散 vol.4 小林明日香展

投稿日: 23件のコメントカテゴリー: 個展

2021.12.1(水)〜6(月)
12:00〜19:00  日曜〜18:00  最終日〜17:00

9月から毎月の第一週に連続展「東アジア絵画の中へ」展を開催している。多摩美大日本画科で同期だった日本•中国•台湾•韓国4カ国の有志たちで結成された研究会である。
12月は4人目の小林明日香ーこの春には日経日本画大賞にも入賞し注目されている。今展ではドローイングや作品を印刷してコラージュ、その上にまたドローイングやペインティングを施した作品の他、パネルの四角い枠を飛び出したいと不定形の布を縫い繋ぎ、スケッチを貼り付けたり直にペイントした意欲作も登場。持ち味のスピード感とセンスが生かされた見応えのある空間となった。

本画の画像を取り込んで印刷、あるいは取り込んだ画像の上にiPadのドローイング機能で描き込んむという二重三重の転写とそのイメージの展開は、ややもすると下図の構成作業のように思われるが
、小林の仕事はその思考過程の推移までも作品化したいという意思によって成り立っている。
どこまでも変化を遂げていく(しかもデジタル処理で)作品の様相が、それでいてどこか東洋画の「枯淡」を思わせるところが興味深い。
いまはこの若い感性がどこまで自分の触覚を広げられるか楽しみなばかりだ。
是非、ご声援を!

第5回 ルヴァンドラヴィル展     Le Vent de La Ville

投稿日: 59件のコメントカテゴリー: 個展

2021.11.21(日)〜27(土)
12:00〜19:00     最終日〜17:00

今展メンバーによるコメントを冒頭に。

同期だった荒井由実(松任谷由実)の「あの日に帰りたい」がヒットした頃、私たちは同じ青春時代を過ごした。歌の中の「光る風 草の波間をかけぬける私がみえる‥」が、フランス語では「Le Vent de La Ville」(都会の風)と唄われている。「光る風」に包まれながら私たちは「ひとつのやさしさ」を見つけていったのだろう。

金井ノリオ
クリバヤシツネオ
斎藤弥
平岡栄二

1978年多摩美大・日本画院修(上野泰郎クラス)の3名に一年下の堀クラス齊藤が加わって多摩美大八王子キャンパス草創期の雰囲気を伝えるグループが5年前に結成された。同級生•荒井由実のデビュー盤限定200枚を分け持っている方々である。

恩師•上野先生のご葬儀の折に久々の再会を果たし、このグループ結成の機縁としたという。
多彩な才能であらゆる表現にチャレンジした金井ノリオは教育長までやり遂げ今は大学で教鞭をとる。
クリバヤシツネオは多摩美大修了後、東京藝大の壁画科でフレスコ画を学び、今回は連作に挑んだ。
斎藤弥は堀文子と中野嘉之コンビ時代の申し子で、一貫して東京近郊に生息する野鳥を描いている。
平岡栄二は創画会時代に独特の人物表現で知られた他、山本丘人研究家としても稀有な足跡を残してきた。

以上のメンバーの濃密な人生を絵の中で振り返りながら、あの時代の「光る風」に吹かれてみるのも一興!

LABO33rd

投稿日: 1件のコメントカテゴリー: 個展

2021.11.15(月)〜20(土)
12:00〜19:00   最終日〜17:00

越畑喜代美・麒麟・平野俊一による3人展が、今年で33回目という。20回の時も驚いたが、30回の時はもっと驚いた。33回というのはもはや驚異というしかない。

身の回りのあれこれや世相がどんどん変わっていく中、淡々と弛まず力まず歩を進めて来た彼ら。

ホームの変わらぬ物差しの中で、変わっていく次作を試す。LABO展の真骨頂だろう。
変化のタネが画廊という畑に蒔かれている。気まぐれなタネなのでどこで芽吹くかわからないけれど、その気配をぜひ感じ取っていただきたい。

猫百態展vol.2

投稿日: 2件のコメントカテゴリー: 個展

2021.11.8(月)〜14(日)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

11.14(日)中央区まるごとミュージアム参加

古今東西、猫の神秘的可愛さに振り回されてきた人類。
画家のアトリエの孤独を慰め、時に鼓舞しまた邪魔をするー。
参加画家の自画像のように思えてきた猫百態を皆さまと楽しみたいと存じます。

張静雯個展|Chang Ching-wen solo exhibition

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【東アジア絵画のなかへー収斂と拡散 |East Asian Painting ーConvergence and Diffusion】

張静雯個展|Chang Ching-wen solo exhibition
2021年11月1日—11月6日

12:00〜19:00  最終日〜17:00

東アジアの中へ展も張さんで3回目。国立台湾芸術大学美術学科水墨画専攻を経て東海大学(台中)大学院美術科で膠彩画を学ぶ。
当時、夏期講座に招聘されて日本画技法を教えに行っていた中野嘉之先生との繋がりで多摩美大を知った張さんは迷わず大学院美術科日本画専攻領域に留学を決意。現在、博士後期課程に在籍して研究と発表を続けている。

日本の団地やマンションの外観や窓の連なりをクールな筆致で描き、都市のリアルタイムを独特な目線で捉えてる。同じ窓が同じように並んでいる抽象的なまでの景観と生活感を失った都会の暮らしに、現代の乾いた孤独を見るようだ。

大坪奈古展 満月村・九尾薬局開店記念

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2021.10.18(月)〜.24(日)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

以下は案内状の文面ー

大坪奈古さんの住む満月村に九尾薬局が開店するという。そもそも九尾薬局の歴史は古く、辛亥の年751年創業ー五色龍歯は正倉院展宝物の薬。秘薬明鏡止水は不老不死薬なのだとか。
この度、この秘薬の殿堂が満月村に新たに加わりお披露目の段となった事を寿ぎ、満月村全商店をあげて歓迎の展覧会を開催することとなった。

満月村までは一本道なので迷わないはず。。。

今回は全商店勢揃いの特別展なので、個展展示。それぞれの商店に添えるペン画も勢揃いした。ペンライトを持って探索にいらしてください。

稀人まれびと展 VOL.2

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稀人まれびと展 VOL.2
2021.9.27(月)〜10.2(土)

奥津直道 勝連義也 木村浩之 佐々木英俊

まれびととは来訪神の事であるが、転じて旅人や異なる力を有するものを総称する。
2回目となる本展では奥津の祭り人、勝連の物忌み人、木村の力士、佐々木の神仏など日常を超えたものたちに象徴される。

今回は沖縄芸大デザイン科出身で主に沖縄で発表する勝連義也に参加出品を依頼して、まれびとたちの層が厚くなった。

これら非日常の稀人たちに、コロナ禍の逼塞した状況を吹き飛ばして欲しいもの。

初日、長野からの山の幸が到着。近日中ならもれなくお味見できますよ。あけびとポポー食べたことがない方はご観覧方々どうぞ。

言絵絵言Ⅳ ことええこと ー詩(ことば)に絵を、絵に詩を書(描)き継ぐ試み

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2021.9.20(月)〜26(日)

12:00〜19:00   祭日〜18:00
最終日〜17:00

4度目となる今展は、あらたに画家の有坂ゆかり・赤木仁、芸術哲学を中心とした論客・藤井雅実、谷川健一の全集出版の立役者・名編集者にして文章家の川島健二氏を加え、さらに充実の布陣。

さて、その組み合わせである。

言         絵
川島健二   ×        黒須信雄
そらしといろ ×        赤木 仁
中村高明   ×        有坂ゆかり
藤井雅実   ×        前本彰子

画家は相手の詩や言葉に反応して描き、詩人もしくは言葉の人は絵から次の着想を得るーそれぞれ組合せの往還が、一つの壁面をつくりあげるという試みだ。

4年目の今回は、相応に広がりのある空間に落ち着いたが、その静けさのなかに一歩足を踏み入れると、格闘の残滓が渦巻いて思わず引き込まれる。

何をどう受け入れ、どこから触発されたのか、作品や言葉に記されたその旅路はミステリアスであり、読み取る側の体力知力も試されているようだ。

四組それぞれのアプローチの違いも含めて、見どころ満載につき是非ご高覧を!

斎藤隆×加藤委 狂作展 vol.2

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2021.9.8(水)〜18(土)
柴田悦子画廊

案内状に添えた文章は以下の通り

昨年10月にギャラリーこうけつで開催された「狂作展」に準じ、作品を多少入れ替えつつ巡回展を開催いたします。

斎藤隆と加藤委は岐阜県立美術館で開催された円空大賞展で出会い、絵画と陶芸というジャンルの違いを乗り越えて協働する道に挑戦しました。
あえて「狂作」と名付けた個性のぶつかり合いは面構えシリーズとして結実し、今展ではさらにスリリングにその風貌を変えていきます。
東京での巡回を是非お楽しみ下さいますようご案内いたします。

企画協力
ギャラリーこうけつ
岐阜市金宝町1ー15 CUT4F

昨年、佐川美術館で楽吉左衛門氏との二人展を開催、コロナ禍の中で約半年間に渡ってその画業を俯瞰する展示を行ったことは記憶に新しい。
近年は美術館での展示が多い画伯は多治見の陶芸家•加藤委氏とのコラボ展を熱望され、ゆかりの深いギャラリーこうけつの纐纈君平氏のお力で実現した経緯を踏まえ、さらに久々となる東京での巡回展示に多大なご協力をいただいた各位にまず御礼を。

斎藤隆画伯の作品展示は開廊10周年記念展以来となるから15年ぶり。まして多治見の雄•加藤委氏の力強い作品群を得て画廊内のエネルギー密度は驚くばかりだ。

また、今展に際して詩人であり足利市立美術館の学芸員の江尻潔氏より素晴らしい一文を寄せていただいた。合わせてご紹介する次第である。

東アジア絵画のなかへ ──収斂と拡散 East Asian Painting ──Convergence and Diffusion VOL.1 田澤 苑実展

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2021.8.30(mon.)〜9.4(sat.)

今回スタートの田澤苑実展を第一回として以後毎月第一週に7名の画家の連続個展を開催する。最終回には東アジア4ヵ国の共通ツールである墨の競作展を予定ー

この連続展の挨拶文をご紹介する

私達が出会った多摩美術大学日本画専攻では、近年東アジアからの留学生が増えています。彼・彼女らと交流を深め、共に制作する中で世界の各地域から学生たちが学びに来る「日本画」とは一体何なのだろうかという疑問が生まれ、多様な論議を重ねながら東アジア絵画研究会を結成しました。
本展覧会は昨年東京都美術館で開催された、都美セレクション2020「東アジア絵画のなかへートランスする「日本画」の可能性」に続く、第2回目の展示となります。
韓国、台湾、中国、日本それぞれにルーツを持つ7人の作家が個展をリレー形式で繋ぎ、最後には技法を墨と紙に限定したグループ展を開催いたします。

出展者会期
9月 田澤苑実 8月30日〜9月4日
10月 オウ ギョウユウ10月4日〜9日
11月 張静雯 11月1日〜6日
12月 小林明日香 12月1日〜6日
1月 呉逸萱 1月17日〜22日
2月 森田舞   2月7日〜12日
3月 宮本京香  3月7日〜12日
4月 グループ展 4月1日〜9日

さて、初回の田澤苑実は1992年埼玉に生まれ、2019年多摩美大大学院日本画専攻修了、2021年4月から日本画研究室の副手として勤めている。
今展では得意の草花図のラインナップで画廊に爽やかな風を呼び込んでくれている。特に葉の重なりの繊細さは見事。一見柔らかに見える色相の細部に極小のミラクルが隠されている。小さい頃兄上と夢中で探したという昆虫の目線で絵を描いているのかもしれない。
まずは実見をオススメ!

アカンサスの会  meets OKINAWA vol.2

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2021.8.23(月)〜28(土)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

今展に先立って那覇・リウボウ美術サロンで開催されたアカンサスの会。
残念ながらコロナ感染予防のための休日休業要請となり、これまた感染拡大の東京展と相成った。

沖縄ー広島ー東京と続いた旅興業の最中に何があってもいけないので先々でPCR検査。昨日の検査も陰性だったのでひとまず安心して初日を迎えた。

卒業年度順に
武井  好之(日本画
押元  一敏(デザイン
金木  正子(デザイン
岩谷 駿(日本画
神戸   勝史(日本画
加藤   千奈(日本画
平良   志季(デザイン

見事に60代から20代までのラインナップ
となった人選は日本画の多様性を沖縄の方々にアピールしたかったため。
アカンサスは藝大のシンボルだけに烏滸がましい事だったが、あまり藝大OBのお仕事を見る機会がない場所だけに敢えて使わせてもらった次第。

一昨年の開催時にはまだコロナの足跡もなく、出展者の皆様と那覇の街を楽しんだものだった。今年は厳しかったが前日の搬入時から楽しみに待ち構えてくれていた方や、沖縄県立芸大の学生さんなどとの出会いもあり、また先が楽しみな事に。

広いデパートの会場から、半分のサイズの画廊に並べ替えられた作品たちー長旅にもかかわらずまた新鮮な輝きを取り戻したかのように並んだのが嬉しい。

是非、夏興業の締めくくりの旅にお付き合いください。

 

瀬戸内界隈展@因島

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2021.8.8.(日)〜15日(日)

9日までの沖縄リウボウ美術サロンでの「 アカンサスの会」は沖縄県の大規模店舗・土日休業要請を受けて会期途中で終了、23日からの東京巡回展に繋ぐこととなった。

次の巡業先・因島では、3月に銀座に集結した仲間達が8日に初日を開けて待ってくれている。もちろん再度PCR検査を済ませ一路広島空港へ。

昨年のコロナ順延を経て二年ぶりの因島。思うように郷里にも帰れないなか、
ギャラリー政吉オーナー岡野陽一氏の今展にかける意気込みに賛同して万全の対策をしてきた仲間たち。

一便しかない那覇-広島便で次々と現れる島影を辿りながら島から島への夏巡業がとても得難い体験のように思えてきた。
薄氷を踏むような日々のなかで、繋ぐ手がある事の有り難さを今しみじみと味わっているところだ。

東京藝術大学OB アカンサスの会 日本画俊英サミットvol.2

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2021.8.3(火)〜9(月)
10:00〜20:00   最終日〜17:00

那覇リウボウ7F美術サロン

コロナもワクチンもPCRも踏み越えてやってきました那覇リウボウ!
世はまさに祭りと疫禍の混合ミックスの状況ながら、20年来毎年お世話になっているリウボウさんでの出張展を取りやめたら女がすたるー

一昨年、産声をあげたアカンサスの会。東京藝術大学出身の各世代から選抜したご縁の画家7人による日本画展である。

戦後、沖縄で馴染みの薄くなった日本画を知ってもらう機会として、60代から20代までの幅広い表現を楽しんでもらう事を主眼とし、一方で日本画で沖縄の風光を描くチャレンジも企図している。

一年以上続くコロナ禍による移動制限でなかなか来沖も叶わないなか、初心を胸に刻み今回も確かな一歩を踏み出した。

なお、この展覧会は夏休みを挟んで8月23日から銀座・柴田悦子画廊で巡回される。

武井好之展 島紀行 vol.11

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7月26(月)〜8月1日(日)
12:00〜19:00   最終日〜17:00

沖縄への旅もかれこれ20年ー来週、那覇で予定している展覧会にも参加する武井好之の島紀行展が2年ぶりに。

島への旅は人と出会う旅でもあった。今春、旅の初めに肖像を描かせていただいた大城美佐子先生が幽明境を異にされ、遺された歌声を聴くたびに受けた恩義の深さを思い起こす。
今展では、生前お目にかかった最後の面差しを描いた一枚が皆様をお迎えする。

ずいぶん島を歩いた。本島では「沖縄百景」というテーマで百を超える景を描くためあらゆる地を訪ね、そこから宮古島、石垣島、西表島。コロナ前の一昨年は念願の最南端•波照間島までたどり着いたのだった。

武井好之の島紀行ー懐かしい人々から受けた恩顧を偲びつつ歩けば、一層その海の色は深く青くなっていく。これからも続く島への旅路からまだまだ目が離せない。

銀座MOGA 2021 真夏の美人画•美少女画展 モダンアートプロデュース

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2021.7.19(月)〜24(土)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

出品作家
いの上さや香
川村千紘
後藤まどか
高久梓
中島華映
細川成美
三成カナ
むらまつちひろ
山下千里
吉森百子

3年前から毎年開催の美人画「真夏の夜の夢」編。メンバーを多少入れ替えつつ夏•冬2回の恒例展となった。20代前半の女性画家が描く等身大の美人画は最近の世相を映し、軽やかでキッチュな面持ち。

画家にはその年齢の時にしか描けないものがある。全力疾走で駆ける美少女たちの艶姿を是非ご覧あれ!

西村亨展

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2021.7.12(月)〜18(日)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

雷とともに夏がやってきた。そして画廊には西村亨が夏を運んでくる。
恒例の「はだかまつり」の季節。おしゃれでポップで70年代なおねえさんたちが待ち構える画廊内。

西村亨は85年多摩美油画卒。
あの有名な(!)日本デザインセンターでイラストレーターとして活躍後、作家活動を始めた。初期作品も今展で1体展示しているが、子供の頃から慣れ親しんだアメリカングラフティ的世界を多少の皮肉を込めた視点から制作、その後肉感度を加えつつ多彩な美女たちを生み出してきた。
緊急事態宣言下となってしまった今夏も変わらず淡々とクールに美女たちを従えて西村亨は画廊に鎮座まします。

線と余白とその間vol.2 -それぞれの結界

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2021.7.5(月)〜11(日)  12:00〜19:00
最終日は17:00

初日18:30よりトークセッション
椎野晃史✖️田野倉康一

足立正平
立尾美寿紀
直野恵子
佛淵静子

「線と余白」だけでなく「その間」までタイトルにした上、それぞれの結界という副題をつけた悦子画廊史上最長の展覧会名。

昨年の立ち上げの折には、ちょうどコロナ緊急事態宣言が施行となり途中で延期の措置となった。挫けずに7月再展示し
この年に事情で参加出来なかった直野恵子を加えてこの度はフルメンバーでの2回展である。
予告編でお伝えした各作家のコメントのうち、立尾美寿紀がコメントを書き替えてきたので、こちらに再録する。

薔薇は散りぎわ香る」ということを床に落ちたおしべや花弁を見て思い出した。
そういえば朝から良い匂いがしていた。
花殻を捨て花器を洗い終え部屋に戻ると、さっきより濃く薔薇の残香が漂っていた。
この匂いは不在の中に存在を強く意識させ可視化された。
それは黒薔薇が白薔薇へと色が抜けてと浄化する姿だった。

菊花は花弁に見えるひとつひとつが花でそれらが集まって大輪の菊になっている。
この構造からひとつの花は個人や家族のようであり、集合体はエスニーとなる。
「菊」という字がお米を掬う動作から出来ていることも、
花のうねりが群衆の伸ばした手に見えることも掬うが救うにつながった。
エスニーとエスニーは複雑に絡み合い中身の無い中空構造を造っている。

紙の裏から描く空間と表から描く空間があり、幾度となく捲り返しながら描いていると、
表と裏のその間にもう一つ空間が存在する気がしてくる。
裏から染み込んだ表から見る景色、更に表から合わせて描き加える景色の関係が出来てくることで
この第三のアモルフな空間が生まれ育つ気がする。
造形を深めるほど描けば描くほど引き込まれて中空へつながっていくのではないか。

母の郷里の富山県に「あわさい」という方言があり、間や関係という意味だけではなく、
入りにくい狭間、分かち難い境界、微妙な人間関係などの含みがこの柔らかい発音にある。

「花が生きている」とは何処までか。
そのひと花ひと花に合わせて考え、思考の末に行き着く空間を描きたい。
表と裏のあわさいに見えなかったものの存在の手触りを空間を解きほぐしながら確かめたいのだと思う。
(立尾美寿紀)

こだわり抜いた展覧会名を裏切らぬよう、各自が「線と余白とその間」に攻め入って考え、自分の結界を示した作品は、初日に学芸員・椎野晃史氏と詩人•田野倉康一氏によって新たな解釈と言葉を与えられ客体化された。

同世代の切磋琢磨が、さらに豊かな表現を生んでいくよう願ってやまない。

 

征矢剛展 コンナユメヲミタ

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2021.6.28(月)〜7.4(日)
12:00〜19:00 最終日〜17:00

金属造形作家の征矢剛展が今日から。
92年多摩美大彫刻科出身の征矢は、金属の昆虫をモチーフにランプやスピーカーアンプを数多く制作してきた。
今展のタイミングで月刊美術最新号「ムシとアートの相似系2」に取り上げてもらっているので是非ご覧を。

さて、ーコンナユメヲミターである。近年の個展で一点ずつお披露目していた少年とムシの物語が一気に膨らんだようで個展前一か月で5点制作という加速ぶり。

蛍の甲羅を背負った蛍少年、望遠鏡で空を見る瑠璃星天牛(ルリボシカミキリ)少年、ゾウムシを供に旅に出る少年、蟷螂と共に狩りにいく少年、菖蒲華(あやめはなさく)と題した揚羽少女などなど、メルヘンというにはリアリティに富んだ作品が並んだ。

昆虫達はその多様性と精緻さで人智を遥かに超える存在だが、征矢はさらに少年達のロマンと幻想をカタチにして進化させていく。

合わせておしりにブルートゥースレシーバーのついたヴァイオリン虫が奏でる美しい音色を堪能されたい。

7-5より 線と余白とその間 ーそれぞれの結界

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線と余白とその間 ーそれぞれの結界

2021.7.5(月)〜7.11(日)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

足立正平
立尾美寿紀
直野恵子
佛淵静子

C.jpeg足立正平
「謝肉祭・象(太乙による)」34×34cm

余白について問われる機会が増えた。
やれ空間だ、奥行きだ、いや元々余白などない等々、どれも「そうだよな」と思う意見で考える程に分からなくなる。
確かにそうなのではあるが、自分の意識はどうも余白よりは、そこに書かれる線自体が先行しているようだ。同じ線であっても質の違いによって周りの余白の見え方が変わってくる。それは同じ面積の白が柔らかく広い空間に見えたり緊張感の張り詰めた空間に見えたり。。何も手を加えていない同じ紙の地であるにも関わらず、、してみると、どういう意識を持って書かれたかが、余白への影響を及ぼしているのは間違いない。
意先筆後、しっかりした「意」を持って制作を続けたい。

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立尾美寿紀
「浄化する薔薇」 53.0×33.3cm

ーー第三のアモルフな空間
裏彩色の技法で筆を入れていると、紙の裏から描く仕事は山道を後ろ向きに登るような感覚だ。麓を見ながら大半進み、たまに振り返って道を確かめる。紙を表に返し裏の仕事に合わせていくと障害物なく頂上は見え爽快だけれどズレや違和感を覚える時がある。裏の効果がほんの少し行きすぎていたり、届いていなかったりする。この時、裏と表の間に第三の空間が存在がある気がしてくる。表裏が関係し合うことで空間がクロスオーバーして出来るようだ。これを失くすよう微調整して行くのが基本だけれど、逆説的に、強調して拡げて行けないだろうかという興味が湧いた。またこれも余白の概念につながるのではないか。他者や新しい考えのために空ける余地、余裕。余りがあるという考え方。
関係することで初めて見えてくるアモルフな空間。潜んでいた隠されていたものが在る空間。妄想を進めると底のないポケットのようで怖い。きっと遠心状に引き込まれたり弾き出されたりする中空があるのだろう。これは「あわさい」(入りにくい隙間、分かち難い境界、微妙な関係を表す方言)の感覚を表象したい考えとも一致した。
技法と精神がつながった気がする。

ーー薔薇の変容
同じ頃「薔薇」という課題を頂いた。
仏教の十牛図と錬金術の薔薇園について考えはじめた折、薔薇が散り際に強く薫ることを目の当たりにした。この経験が黒薔薇が白薔薇へと浄化する変容の状況の可視化へつながっている。
見えるけれど無いものと見えないけれど在るもの。実在と不在。現実とイメージ、そのあわさい。花という現し身、依代の写生を繰り返しながら詩歌や文学、植物学等と深く結びつけて思考して行きたい。

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直野恵子
「顔彩によるドローイング 2021 NO.1」 32.1×22㎝

私にとっての理想の余白とは、見る人が心を遊ばせられる空間である。

楽に呼吸をする様に、余白と描いてある線や形との間を行き来し、会話をする様に、作品を楽しめる事が理想であり、見る人の心の置き所が、余白にある事が理想と言える。

また、余白の持つ空間としては、奥行きのある空間を好ましく思う。

私にとって線とは、思いを乗せて描くもので、特に水墨画の線は、熱量と冷静さを持って、迷いなく描いてゆきたいと思っている。

今回の『風に踊る』は、「人生には色々あるが、それでも美しい」という思いを込めて描いた作品である。

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佛淵静子
「花と少女の間」 53.0×33.3cm

顕微鏡でどれだけ拡大してみても、線と余白の間には、線の分子と余白の分子が隣接しているだけだと思っていたけれど、最近はそうでもないのかなと思うようになりました。

お風呂に入った時に、最初の内は自分の周りにはお湯だけなのだけれど、しばらくすると体がふやけて、自分とお湯の間にもう一層、自分なのかお湯なのかわからないゾーンが生まれます。100%自分とは言えない、100%お湯とも言えないこの層は、線と余白の間かも知れないなと思いました。

人物画の人物の周り、線のすぐ外側には、その人が空気にふやけた、あるいは空気がその人を浸食した層があって、人物と空気の分子が混ざり合っているこの「間」を部分を、いつか上手に描けるようになったら、生きて動いている人の現象をそのまま形にできるのかも知れないです。

薫風献上ー文人画の風 Ⅲ

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2021.6.14(月)〜20(日)
12:00〜19:00
最終日は17:00まで

今回、一連の文人画の研究を指導して下さった先生から寄せられた一文から。

<文人画の風Ⅲ
中国の唐宋元の文人画に倣うことから始めた「文人画の風―薫風献上」のシーズン3。今回は「日本の文人画」をお手本に各作家が趣向をこらした扇が勢ぞろい。池大雅、与謝蕪村はもちろん、初期文人画の祇園南海、彭城百川あり、さらには江戸後期個性派の浦上玉堂、田能村竹田まで。中国文人への激しい憧れのゆえに熱い個性的筆墨表現を創り上げた江戸文人画に倣った現代の扇面の中に吹く風は、きっと豊潤な芳せを多く含んでいるに違いない。筆墨の妙、ここに極まれり!
(不忍しのぶ/アートディレクター)

宋元•明清からいよいよ江戸の文人画へ研究の旅はいよいよ大詰めの会となった。

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