2024.4.22(月)〜28(日)
12:00〜19:00 最終日〜17:00
前週の谷口正樹展最終日と武井好之展の搬入日だった昨日21日は、画廊開廊28年目の記念日だった。
開廊にあたって画廊の看板の揮毫は、ご縁の深かった故工藤甲人先生にお願いした。東京藝術大学日本画科教授時代の教え子の一人だった武井好之の個展で28年目のスタートを切ることも感慨深い。
その工藤先生が退官後、新設なった沖縄県立芸術大学の名誉教授に着任、沖縄の海に触発されたと聞く「北海のアフロディーテ」(1990)を描いた時には驚いたものだ。
2004年、武井好之をはじめ画廊の主だった画家達を引き連れ、当時の沖縄三越で初めて「沖縄を描く日本画展」を開催した折には、琉球新報紙に工藤先生の激励の文章を寄せていただいた。
以後、毎年沖縄で日本画の展覧会を開催してきたが、そのメインステージには武井好之が必ず登場してきた。
会場をデパートリウボウにあらためたのち、東京での島紀行展、那覇での「沖縄百景展」とほぼ毎年開催し、20年にわたって関わり続けてきた事を工藤先生は泉下で喜んで下さってるに違いない。
特に武井が気にしたのは、海の色である。
日本画の岩絵具には、沖縄の海の色を出せる色味が少ない。最初の頃は、地元の方から「曇った日の色だね」と群青系の絵具を酷評された。
晴れた日の、珊瑚礁が透けて見えるエメラルドグリーン、コバルト系の素晴らしい発色のグラデーションをなんとか描きたいという一念で相談した画材店の社長が、化粧品の素材から絵具にした色を探してくださり、試行錯誤の末に「武井ブルー」と地元の方も感嘆してくれる海を手に入れた。
今展では、本島から宮古・八重山まで取材した海シリーズを中心に、具象と抽象のあわいを思索した作品を紹介する。
今、画廊は珊瑚礁の海のしじまのなかに。