水無月尽ーデビュー戦とともに

 

あ~ん、月日は百代の過客にしてもう最終日?あっという間に悦部屋の砂時計はヒックリ返るのね。千晴画伯と過ごした時間のういういした感じをお伝えしようと思ううち、今日を迎えた無念ー同じB型の哀感を語り尽くせぬまま水無月は果てゆく、、。
まあ色々ありまして、悦画廊初個展の怒濤に巻き込まれた画伯、さぞやお疲れだったろう。一家中が画家という恵まれたような恵まれないような環境のなかで、絵を描いてきた画伯のこし方はいずれまた語るとして、一人画家として立っていく決意は今展を待つまでもなく定まっていたと思う。いろんな迷いはいつも付き物にせよ、30代の頃は画家としても正念場。迷う時には迷うがよろしいーといつも迷ってばかりの悦子に説得力はないが、その末の決断は無謀に近いほど早いB型の特徴を千晴画伯も発揮して、ぐずぐず、めらめら、の道を繰り返しているらしい。

何が夢?ときいたら幸せになりたい!と。何度も絵をやめて好きな手芸をやったり絵本作家になろうとした事があったというが、結局絵に戻ってしまうのも運命か。いまのところ千晴画伯のお幸せは、猫のコウちゃんと過ごす時間に尽きる。その宝物のような時間を絵に描いて見せてくれた今展、身近にいる人にしか観察できない猫の色々な姿態に、そうそうこれよ!と頬をゆるめた人も多かったに違いない。

だが、それで終わらないのが画家の道。ていうか、それを許さないのが画商の道。もっと大きなお幸せのためにパンドラの箱を開けろーなど口走る我が身が恐い。

いずれ千晴画伯の成長と出会う人々との御縁が、今の境遇から歩を進めさせていくのだろうが、定石ではなく、大きな展望を睨んだ次の一手となるように前途を祈るものである。
今展でも日展の土屋先生、どんどんやりたいことをやれと激励のひとこと。お父様の能島和明画伯や叔父様の千秋画伯、お姉様の浜江画伯などお身内もそれぞれご来廊下さった。また、最終日には、同級生にして仲良しの高木麻里ちゃんがいらして、ひとしきり青春編。画廊回りが板に付いてきた多聞くんを連れた野地氏や本江氏、梶美術店梶氏などプロの見者も、丹念に見て下さってありがたし。多くの方に励まされ、千晴画伯にとっては大きな一歩となった個展だったと思う。さらなる健闘を!!

 

能島千晴展 はじまる

悦子画廊では初めての個展となる画家である。1971年、神奈川は大和市生まれ。89年に多摩美大日本画科に入学。学部在籍中に臥龍桜日本画大賞展、上野の森美術館大賞展、日春展などに入賞。大学院に入った96年にはこの他日展入選、同和火災ギャラリーにて初個展など、早い時期からその才能に注目されてきた若手である。
その後、コンクール出品や個展などを経て、才を磨いてきた。ただ、一筋縄ではいかないこの道。自立は険しく今もその渦中にある。
初めて会った時はまだ生まれたばかりの子猫ちゃんのような、デリケートな印象を受けたが、なかなかどうして、若いながらに曲折の日々を過ごしただけあって自分をしっかりもっている。というか、自分があるだけ、苦節を招いているというべきか。
拾って子猫から飼っている愛猫を描くことが多いという。出品作は自分の脚もからめた「脚シリーズ」。俯瞰する床に脚と猫が作る幸せな時間がある。「love thang」と名付けたタイトルには、いとしいものとの一体化を希求する想いがこめられているのだろう。丹念に描かれた猫の像とうらはらに、自らの脚は実体を失い、わずかに線描と部分的に着彩されたストロークで表現する。脚シリーズの延長に「靴シリーズ」がある。華やかに装飾された靴や七五三のぽっくりは、精緻な描法で現実以上の魅力を伝える。ふと、シンデレラと靴の関係を思ってしまったが、この脚たちと靴はまだまだ出会うことのない運命である。今、画廊の壁の対面に飾られ、透明化していく脚と、これでもかとばかりに実在化を迫られている靴との関係を眺めながら、この「虚」と「実」が握手する時まで千晴画伯のの旅は続くのだろうと思う。
今日はアートトップの金田一氏が新人の方と、早速ご挨拶に。展覧会で一時帰国の依田万実画伯と、日展の先輩・川崎麻児画伯、加藤晋画伯などを迎えた他、多摩美同級生の大野麻子画伯も久々のご対面。二日に渡った搬入に倒れそうだった画伯も皆様の激励に疲れも吹き飛んだ模様。まずはやれやれ、、

安住画伯最終日

ご近所の藤屋画廊さんで「渺渺展」が開かれていることもあって、日展関係のお客さまが多く見て下さった今展。それに寄与してくれた功労者はなんといっても画伯同級生の加藤晋画伯。加山先生の資料研究にも携わっているので、現役の学生から日展の先生方まで幅広い人脈を誇る。
子育ての間しばらく休んでいた日展に一昨年から復活をはたした安住画伯、ライフワークともいえる人物像を描き注目を集めたことも記憶に新しい。先日も書いたが、故郷宮城の芸術選奨新人賞などを受けいよいよ大海に漕ぎだすか、というところ。
そんな画伯の活躍をわが事のように喜び、忙しい頃になると栄養ドリンクの差し入れ等、柱の陰からそっと応援して下さっているのがいもきん小黒夫妻。ご自分たち去年は新潟の災害の支援で大変だったのに、こよなく美術を愛するお二人はなにかと画伯たちを気づかってくれて有り難いこと。また、安住画伯もそれに応えて、奥深い作品を描いた。久々にゆっくり来廊の昨日は、作品をじっくり鑑賞。心を入れて見ている後ろ姿はいいものだ。感謝!
最終日最後の時間近くなると、万難を排して駆け付けてくれる人々が。先日来三度目のご来廊になる英利子さんはお嬢さんの万葵ちゃんを伴って。同じく加山先生クラスだった山田りえ画伯は、お孫さんにあたる万葵ちゃんに感慨深げ。今、多摩美の芸術学科に在籍しながら、加山又造研究室の重要なメンバーとなっているという。今後の研究が實られることを祈るものである。
また、絵画教室での教え子さんたちもたくさん来てくれ、優秀な教師としての実直な画伯の一面を伺わせてくれた。2001年から数えると5回目になる今展では、精神的にも体力的にも充実したエネルギーを感じた。今、静かな深みをたたえる安住画伯の黒が、奥の方でうねりさざ波を立ち起こすかもという予感も含めて、次の仕事が待たれる事である。

典雅なきもの競演

15日から日本橋高島屋八階ホールで開催中の「加山又造全版画展」のため、会場に詰めていらっしゃる哲也夫人英利子さんが、涼しげな夏の着物でご登場。六月のこの時期しか着られない紗合わせという、紗と絽を合わせた粋な着物には水紋が織り出してあり、金箔仕立ての絽に蝶を刺繍した典雅な帯と合わせて、水辺を飛ぶ蝶という趣向で。すっきりと細面の英利子さんならではの華やかで品のよい着こなしに、加山家の美意識を見る思いが。
また、コレクターの久保田氏夫妻も着物好きな方がた。夫人は画廊回りの際には必ず季節の着物を吟味してご登場、お好みは銀座もとじのテイスト。今日は琉球絣の藍の濃淡が美しい一重にうこんの織り帯という、これまた今の季節ならではの爽やかな組み合わせ。久保田夫人のおっとりとしたお人柄そのものの着こなしもまた素敵。
ご幼少の頃からお母様についてお茶お花全般の心得を学ばれた安住画伯、お着物も板についた堂々の夫人ぶりだが、今展中はマダム系で。
また、知的な雰囲気のシャンソン歌手・若林さんも交えて画廊内はまさに百花撩乱。さしもの日展大御所土屋禮一画伯、加藤晋画伯、武大人など男性群もやや照れ気味?
昨日は、画伯の郷里の母校・古川女子高の東京支部の方々が後輩のためにわざわざ。会期の一日前が、宮城県の芸術選奨新人賞の受賞式だった画伯。見事故郷に錦を飾ってご立派。お父様が同郷の能島浜江画伯も、かねて懇意の間柄。今日はその画像も合わせて。

 

 

安住ファミリーの御紹介

一日の睡眠時間がほぼニ、三時間というハードな日々をクリアしながら絵を描き、主婦業をこなし、お絵描き教室で教え、そして時々はお酒まで呑む画伯はある意味スーパーレディだが、その画伯を支えるご家族を御紹介。
まずはダーリン林茂夫氏こそその筆頭。自らも武蔵美出身の画家であり。手広く絵画教室を経営するナイスガイ。画伯の画業をよく理解し、二人三脚でこれまでの日々を一緒に戦ってこられた。寡黙にやさしく微笑む姿は、画家の夫の鏡。まだまだラブラブ感ただようお二人には学生時代から育んだ信頼の絆が強く結ばれている。
また、そのお二人のご長女・沙綾ちゃんは去年芸大の音楽科に合格。そのご学友と一緒に楽しそうに今日は来廊。はつらつとした彼女の様子に、はるか彼方の青春を思い起こす悦子。ちょうど揃って来て下さっていた、画伯のお姉様たちと久々の一族集合の図。
前日には林氏のお姉様ご夫婦が南アルプス市からわざわざ。毎回来てくれて激励してくれるご兄弟もまたありがたし。この力強い応援団こそ画伯の頑張りの泉であろう。

安住小百合展始まる

DMのブルーポピーさながら、青のスーツを召した初日の安住小百合画伯。その華やかな様子を早速!
円窓のシリーズも14作目となった今展。令嬢紫苑ちゃんを描いた一作目から牡丹、桜、椿、ハイビスカス、紫陽花、芥子などを描き継ぎ、今年はブルーポピー、百合、鉄線、野バラの四点の円窓20号Sを描き上げた。いづれ一堂に展観する時にはまばゆいばかりの空間になるだろうが、今はまだその途上。作品たちが格天井に出世する日を夢みつつ、機を織り続けているといったところか。
また、また前回に引き続き、風炉先屏風も。扇面散らしの桜尽くしという豪華さ。あでやかな金と漆黒が背景というだけで充分ゴージャスだが、色んな種類の桜、さくら、サクラである。覗き込んだらもう帰れない闇にも似て妖艶このうえない。
黒が一段と深みを増したことによってその上に描かれた花の密度も濃く感じるのか、花の艶麗さによって、背後の空間に奥行きを思うのか。絵空事ではない、実在感をずしりと感じさせつつ安住画伯の「花」は匂い立つ。
その香に誘われたか、京都の生駒画伯の御登場。折り佳くニューヨークの吉永さんのお姉様ご夫妻が、イタリア人のアーティスト・マリオ氏をご案内して来てくれていたので、英語・イタリア語・スペイン語が飛び交う花園に。ちなみにマリオ氏は写真家であるが、お父様はローマ近郊にお城を持つという。五部屋は泊まれるそうなので、ゆっくりお城に滞在したいかたは是非。また花園にいっそうの華やぎを添えてくれたのが財部りこちゃんと、可愛らしいお友達。
夕方には恒例のいとこ会のメンバーが集まって下さりにぎやかに初日を寿いだ。画伯ご主人の林氏は山梨生まれ、仲良しのお身内に囲まれ銀座の夜を楽しまれたよう。一連隊お見送りしたあとは、画伯の多摩美ーズ同級生の皆様が揃ってご歓談。お料理の達人マダムのご用意下さった各種佳肴は絶品につき、ワインが進んだことはいうまでもない。

織田有紀子画伯最終日

旦那のドクターみっちゃんと愛犬アズキを富士見に残し、優雅なホテル暮らしの日々も今日でおしまい。生まれて初めて描いたという軸装作品とともに過ごした10日間は、いつもとはまた違う緊張感に包まれていたように思う。一筆一筆が効果的な運びになる様考え抜いてかいた作品群は、ヒギンズ教授の指導よろしきを得てレイディに生まれ変わったイライザのよう。かつての野生を奥に秘めつつマイフェアレディは華麗に舞う、、。
日展にも昨年から復帰、画伯世界が、多くの方の目に触れるよう色んな可能性に挑戦すると意欲を語る。
昨日は、泉屋博古館の川口氏のご来廊。山種美術館時代に御縁のあった春彦氏と久方ぶりに出会ったとあって、話が尽きないご様子。牧ちゃんは幼なじみの美恵子さんとご一緒に、また横尾画伯は織田画伯の予備校同期とあって、忙しい中駆け付けてくれた。
最終日の今日は、田沢女史がまつりちゃんとともに。テントウ虫の模様のシャツをきて花の下でハイ、ポーズ。また搬出の時間には、昔からのお馴染み・加藤晋画伯と池田真弓画伯が登場、数寄和の社員の方を手伝いかたがた、軸の巻き方講習なども。
もうこの勢いは誰も止められないー織田画伯の軸装作品への熱い思い入れは、今後更に多くの作品を生み出していくだろう。皆様、楽しみにお待ちあれ!

大きいちゃんチーム

身長168cmか、年々背が伸びている感の織田画伯。今年は体質改善の成果かさらにほっそりしたのでモデル体形に磨きがかかっている。
今日お越しの皆様も、それぞれ大きい。同級生の麒麟画伯と武大人は大きいちゃん仲間として、ギャラリーコク-ンの上沢女史も堂々の170cmコース。並ぶとほぼ一直線なのがすごい。このラインでブロックされたらさぞや鉄壁。
本江氏も現役草野球ピッチャーらしく、ほっそりした体ながら長身。右画像の数寄和・岸田氏にいたっては190cmは下らないだろう。
大きいちゃんチームが揃うと、画廊の天井が低く見えて困るが、よくしたもので大きいちゃんと小ちゃいちゃんは仲がいいらしく割とバランスがとれている。
久々揃ってお目見えのいもきん・れもん小黒夫妻もそんなお二人。仲良しのご夫妻、ネットで見た織田画伯の作品の変化に驚かれたとか、丹念に見て下さった。
その変化に大きく寄与してくれた方が岸田氏。表装の場合の紙や絵の具使いのアドバイスを細かくして下さったという。絵だけでは成り立たない掛け軸の場合、表具師さんとの意思疎通が大切。この関係は大観と寺内遊心堂との関わりを持ち出すまでもない。感謝!
左は銀子ちゃんのパリ時代のご友人・花井氏が初登場。いままで噂でしか知らない五つ星の友。さぞやおいしいもので出来ていると思われるお体。ぜひ今度はお食事でも。

青山画伯の入籍パーティ

青山浩之・美子両画伯が長い交際期間を経て、ついに入籍。いつも一緒の二人なので、取り立ててお祝い事はしないという。いわば今日は押し掛けパ-ティだったのだが、卓上イッパイに画伯たち手作りの御馳走を用意して待っていてくれた。
大先輩の仲山計介画伯が発起人、近所の仲良し湘南組の加藤・新恵画伯夫妻が世話役という万全の態勢のもと、青山家のアトリエに集合。近隣は静かな住宅地につき、さぞや蛮声が響きわたったことだろうが、計介さんの出動とあれば只ではすまない。案の定、白いズボンに赤ワインをたっぷりこぼした計介さんは、以後パンツ一丁の男々しい(?)姿で。昔なつかしいビデオを引っぱりだして10年前の若々しい画伯たちの姿にめくるめいた。
当然、終電など皆忘れあとはおぼろ。青山夫妻のお祝い押し掛け宴会は、夫妻の長~い歳月をたどるかのように延々と続くのであった。

画伯を囲む先生たち

日本では先生と呼ばれる便利な称号があるが、今日ご紹介する方たちは、由緒正しい先生。
まず、精神科のドクター山下先生。学生時代からの画伯のご友人にしてよき理解者である。今日は可愛いナースさんとご一緒に。
また、国文学者の島内景二教授は、源氏と伊勢物語と大吟醸をこよなく愛するお方。画伯のお父上の装幀によるご本を出されている。月刊美術の下川氏と同席され、花と文学について興味深い話をしていかれた。
もう一人の先生は画伯の煎茶道の先生。おめでた中のお嬢様をともなって。おり佳くこの夏出産予定のコバッチ身和子画伯も旦那様とご一緒にいらしているところだったので、おめでたの連鎖があるよう記念のショット。つつがなくご両方とも身二つになるようまずはご祈念。

閑話休題ーある日

突然、閑話休題というのもなんだが、捨てるには惜しい話題を少し。
文京区の水道にある高橋工房で開かれている手ぬぐい展に、山田りえ画伯が描いた樋口一葉女史の作品に因んだ千代紙の原画と手ぬぐいが一緒に展示された。
ギャラリーとなっているのは丹精して造作した長屋。高橋工房社長の高橋さんの愛と気合にはいつも敬服するが、今回の展示もまたさすが。ひゃあひゃあいいながら手ぬぐい巡りをしていたら、入り口に品の良い夫人が。なんと一葉女史・妹邦さんの孫に当たる方だという。このところ一葉世界に耽溺していた悦子、その面影を伝える方に唐突にお目にかかり感無量。日本橋葭町育ちの高橋さんと子供の頃のくらしのあれこれを話している夫人の佇まいに明治の薫りを聞いた。
また、夜は二胡と揚琴の夕べーヨーヨーマ率いる『シルクロードアンサンブル』にも参加している許可氏の二胡はモンゴルの草原にも蘇州の柳にも通う風のように。かんのん劇場と題したホールは実は禅堂。普門禅菴の見城和尚が支配人である。いつものように開け放したお堂でしばしシルクロードの夢を見た。
また、居酒屋研究家にして俳人の吉田類氏も登場。類氏が出演する「居酒屋放浪記」というテレビ番組の大ファンであるWEB大里氏と三巴で朝までコース。本当に路地裏が似合う方ではある。


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