中川雅登展

二年ぶりの東京個展となった今展、豊橋からワンボックス車で作品とともにやってきた中川雅登(まさと)は早速余震の洗礼を受けた。
個展前の画家は、作品が会期に間に合うかぎりぎりの崖っぷちを渡っているため、アトリエの外に疎くなりがちであるが、中川もまた東京の状況は来てから認識したもよう。
自粛に傾きがちなこの世相にあって中川がすごいのは、毎日デパートの屋上から山野草の鉢を買って来てスケッチに余念がないことだ。画廊にあっても日々描くことのペースを変えず、晴れても曇ってもちいさな花びらの形に感心し、葉脈を追いかけている。
 目を壁に転じれば、そこには二年の歳月をかけて蒐集した草花の繊細な作品の園。山川草木悉皆仏性とはよくいったもので、草の花の造形の可憐さはまさに神のわざである。
豊橋の自宅におよそ600鉢もの山野草を育て、その数は家人の制止がなければまだ増えそうな勢いと聞く。 まだ弱冠43歳ー心やさしい大男の挑戦はまだまだ続く。

越畑喜代美展ー再び春へ

春一番といえば風だが、たんぽぽの綿毛とともにやってくるのがみそそな世界。ようやく水温む、とか、長閑とかいう言葉と季節が一緒になった感じの今日この頃、毎度っ!という声とともに始まったさわやか朝搬入ーこのぎりぎり感がいいのよねっっっっっ!と、独り言。
しかもメインのちび巻物が届いてないぞ!きゃあきゃあ騒ぐわりには手が進まない女どもに目もくれず、淡々と作業を進める子犬便・タッチャンにまずは感謝。
なんとかならなかった事はない、と呪文のように繰り返しながら、われらB型チームが存続できるのはA型様とO型様のおかげです。
それはさて超ミニサイズの大作・みそそな巻物は机の上に鎮座ましましているが、これを繙いた人は必ず「欲しい~!」と叫ぶ。題して「御猫日日図」。画伯愛用のトルクメン族のアンティーク絨緞の上に置かれた中国の文机(しかも酒臭い)の前に座れば、宗次郎の曲とともに悠久の時間が流れはじめる、筈。岩瀬家の御猫様たちの、しどけなくも愛らしい姿態を余すところなく伝えるの図は、右から左への時間軸を得てさらに縦横無尽なものとなった。もう一度もう一度とご開帳をおねだりしたくなるこの超ミニ大作は是非実見でご覧を。
明石と大分からのお客様とともにひょっこりひょうたん島の人形制作者・片岡昌氏をお迎えしたの図も。

押元一敏展 -KA・RA・DA-

例年なら桜の開花予想のニュースが聞かれる頃なのに、東北の被災は原発の不安と相まってますます深刻化している。

とはいえ、被災地ですら復興に立ち上がろうとしている時である。銀座まで灯が消えたようになっているのはいかがなものかと、貧者の一灯をともしているところ。
佛淵静子に続き、今日から始まった押元一敏もまた常に変わらぬ灯火を絵に点している。中世のキリスト教絵画や日本の仏像に啓発されたという押元の人体のフォルムは、ますますその洗練を加え極限に近づいているようだ。
女性の姿形を借りながら、その曲線は限りなく自然と相似して来ている。豊かな女性への憧憬は象徴に高められ、黒と黄土に塗り分けられた平面として静かにしかも意思的にここにある。
存在するものを、掴みたい現したいという押元の意思が、千年眠っていたかのような像に結集したのである。あこがれとも情緒とも決別した、ごろんとそこにある「本質」に迫る仕事といえよう。

地震ーそして佛淵静子展IV

Webサイトリニューアルをにらみながら、昨秋よりすっかりご無沙汰していた悦子の部屋。すっとばした画家さんの記録は夏休みの宿題のごとく粛々とやるにしても、この度襲った地震に関しては発信せずばなるまいとようやく思い立ちました。
画廊は平常通り営業しております。お茶等の用意もありますので、何かありましたらお立ち寄り下さい。また画廊掲示板に近況など書き込んで下さると、それぞれの情報が伝わると思いますので閲覧の方は出来るだけご協力お願いします。
さる11日、渡辺夏子展のさなかに画廊で大きな揺れを感じ、画家お客様とともにビルの外に避難。近くの三角ビルが大きく揺れるのを目の当たりにして大変なことになったと呆然とするも、たまたま居合わせた立野ただし氏が画廊内トイレに散乱したこもごもを掃除してくれるなど、力強いご協力を得た。幸い絵も食器類もことごこく無事。深夜11時には地下鉄が復旧したので帰宅もかなった。翌日も最終日にあたる翌々日もご来廊のお客様あり、こもごも情報交換やら無事を確認し合うやら。
日曜の入れ替えで渡辺夏子展を終了させたのち、佛淵静子が町田より搬入。色々情報が錯綜するなか今日初日の画像を皆様にお目にかける。まずは緊急のご報告まで。

武井好之展ー沖縄百景・那覇リウボウII

本土が軒並み炎暑記録を更新するなか、沖縄はゆうゆうと32°をキープし涼しい顔。昨年の沖縄百景に続く第二弾となった、沖縄は那覇りうぼう美術サロンでの今展で武井好之は一年の歳月をかけて取材した二十数点を発表した。
知る人ぞ知る地から、日常の生活の場までその筆は休むことなく描き続ける。その迫力は海の青に集約して現れているが、それぞれの景に島への敬愛が満ちているため見る人の心になにがしかの郷愁を呼び起こすようだ。
「子供の頃、浜のこの辺までくると裸足で海にかけたのよ」と石垣島からの人がいう。道の向こうにわずかに見える海に人は駈けるーまるで希望と置き換えてもいいような心のはずみをそこに見て。
武井好之がここまで打ち込んで描こうとしているものが何なのか、「百景」を描き終えるまでその道筋を楽しみに伴走してみようと思っている。

 


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