線と余白とその間vol.2 -それぞれの結界

2021.7.5(月)〜11(日)  12:00〜19:00
最終日は17:00

初日18:30よりトークセッション
椎野晃史✖️田野倉康一

足立正平
立尾美寿紀
直野恵子
佛淵静子

「線と余白」だけでなく「その間」までタイトルにした上、それぞれの結界という副題をつけた悦子画廊史上最長の展覧会名。

昨年の立ち上げの折には、ちょうどコロナ緊急事態宣言が施行となり途中で延期の措置となった。挫けずに7月再展示し
この年に事情で参加出来なかった直野恵子を加えてこの度はフルメンバーでの2回展である。
予告編でお伝えした各作家のコメントのうち、立尾美寿紀がコメントを書き替えてきたので、こちらに再録する。

薔薇は散りぎわ香る」ということを床に落ちたおしべや花弁を見て思い出した。
そういえば朝から良い匂いがしていた。
花殻を捨て花器を洗い終え部屋に戻ると、さっきより濃く薔薇の残香が漂っていた。
この匂いは不在の中に存在を強く意識させ可視化された。
それは黒薔薇が白薔薇へと色が抜けてと浄化する姿だった。

菊花は花弁に見えるひとつひとつが花でそれらが集まって大輪の菊になっている。
この構造からひとつの花は個人や家族のようであり、集合体はエスニーとなる。
「菊」という字がお米を掬う動作から出来ていることも、
花のうねりが群衆の伸ばした手に見えることも掬うが救うにつながった。
エスニーとエスニーは複雑に絡み合い中身の無い中空構造を造っている。

紙の裏から描く空間と表から描く空間があり、幾度となく捲り返しながら描いていると、
表と裏のその間にもう一つ空間が存在する気がしてくる。
裏から染み込んだ表から見る景色、更に表から合わせて描き加える景色の関係が出来てくることで
この第三のアモルフな空間が生まれ育つ気がする。
造形を深めるほど描けば描くほど引き込まれて中空へつながっていくのではないか。

母の郷里の富山県に「あわさい」という方言があり、間や関係という意味だけではなく、
入りにくい狭間、分かち難い境界、微妙な人間関係などの含みがこの柔らかい発音にある。

「花が生きている」とは何処までか。
そのひと花ひと花に合わせて考え、思考の末に行き着く空間を描きたい。
表と裏のあわさいに見えなかったものの存在の手触りを空間を解きほぐしながら確かめたいのだと思う。
(立尾美寿紀)

こだわり抜いた展覧会名を裏切らぬよう、各自が「線と余白とその間」に攻め入って考え、自分の結界を示した作品は、初日に学芸員・椎野晃史氏と詩人•田野倉康一氏によって新たな解釈と言葉を与えられ客体化された。

同世代の切磋琢磨が、さらに豊かな表現を生んでいくよう願ってやまない。

 

征矢剛展 コンナユメヲミタ

2021.6.28(月)〜7.4(日)
12:00〜19:00 最終日〜17:00

金属造形作家の征矢剛展が今日から。
92年多摩美大彫刻科出身の征矢は、金属の昆虫をモチーフにランプやスピーカーアンプを数多く制作してきた。
今展のタイミングで月刊美術最新号「ムシとアートの相似系2」に取り上げてもらっているので是非ご覧を。

さて、ーコンナユメヲミターである。近年の個展で一点ずつお披露目していた少年とムシの物語が一気に膨らんだようで個展前一か月で5点制作という加速ぶり。

蛍の甲羅を背負った蛍少年、望遠鏡で空を見る瑠璃星天牛(ルリボシカミキリ)少年、ゾウムシを供に旅に出る少年、蟷螂と共に狩りにいく少年、菖蒲華(あやめはなさく)と題した揚羽少女などなど、メルヘンというにはリアリティに富んだ作品が並んだ。

昆虫達はその多様性と精緻さで人智を遥かに超える存在だが、征矢はさらに少年達のロマンと幻想をカタチにして進化させていく。

合わせておしりにブルートゥースレシーバーのついたヴァイオリン虫が奏でる美しい音色を堪能されたい。

7-5より 線と余白とその間 ーそれぞれの結界

線と余白とその間 ーそれぞれの結界

2021.7.5(月)〜7.11(日)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

足立正平
立尾美寿紀
直野恵子
佛淵静子

C.jpeg足立正平
「謝肉祭・象(太乙による)」34×34cm

余白について問われる機会が増えた。
やれ空間だ、奥行きだ、いや元々余白などない等々、どれも「そうだよな」と思う意見で考える程に分からなくなる。
確かにそうなのではあるが、自分の意識はどうも余白よりは、そこに書かれる線自体が先行しているようだ。同じ線であっても質の違いによって周りの余白の見え方が変わってくる。それは同じ面積の白が柔らかく広い空間に見えたり緊張感の張り詰めた空間に見えたり。。何も手を加えていない同じ紙の地であるにも関わらず、、してみると、どういう意識を持って書かれたかが、余白への影響を及ぼしているのは間違いない。
意先筆後、しっかりした「意」を持って制作を続けたい。

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立尾美寿紀
「浄化する薔薇」 53.0×33.3cm

ーー第三のアモルフな空間
裏彩色の技法で筆を入れていると、紙の裏から描く仕事は山道を後ろ向きに登るような感覚だ。麓を見ながら大半進み、たまに振り返って道を確かめる。紙を表に返し裏の仕事に合わせていくと障害物なく頂上は見え爽快だけれどズレや違和感を覚える時がある。裏の効果がほんの少し行きすぎていたり、届いていなかったりする。この時、裏と表の間に第三の空間が存在がある気がしてくる。表裏が関係し合うことで空間がクロスオーバーして出来るようだ。これを失くすよう微調整して行くのが基本だけれど、逆説的に、強調して拡げて行けないだろうかという興味が湧いた。またこれも余白の概念につながるのではないか。他者や新しい考えのために空ける余地、余裕。余りがあるという考え方。
関係することで初めて見えてくるアモルフな空間。潜んでいた隠されていたものが在る空間。妄想を進めると底のないポケットのようで怖い。きっと遠心状に引き込まれたり弾き出されたりする中空があるのだろう。これは「あわさい」(入りにくい隙間、分かち難い境界、微妙な関係を表す方言)の感覚を表象したい考えとも一致した。
技法と精神がつながった気がする。

ーー薔薇の変容
同じ頃「薔薇」という課題を頂いた。
仏教の十牛図と錬金術の薔薇園について考えはじめた折、薔薇が散り際に強く薫ることを目の当たりにした。この経験が黒薔薇が白薔薇へと浄化する変容の状況の可視化へつながっている。
見えるけれど無いものと見えないけれど在るもの。実在と不在。現実とイメージ、そのあわさい。花という現し身、依代の写生を繰り返しながら詩歌や文学、植物学等と深く結びつけて思考して行きたい。

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直野恵子
「顔彩によるドローイング 2021 NO.1」 32.1×22㎝

私にとっての理想の余白とは、見る人が心を遊ばせられる空間である。

楽に呼吸をする様に、余白と描いてある線や形との間を行き来し、会話をする様に、作品を楽しめる事が理想であり、見る人の心の置き所が、余白にある事が理想と言える。

また、余白の持つ空間としては、奥行きのある空間を好ましく思う。

私にとって線とは、思いを乗せて描くもので、特に水墨画の線は、熱量と冷静さを持って、迷いなく描いてゆきたいと思っている。

今回の『風に踊る』は、「人生には色々あるが、それでも美しい」という思いを込めて描いた作品である。

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佛淵静子
「花と少女の間」 53.0×33.3cm

顕微鏡でどれだけ拡大してみても、線と余白の間には、線の分子と余白の分子が隣接しているだけだと思っていたけれど、最近はそうでもないのかなと思うようになりました。

お風呂に入った時に、最初の内は自分の周りにはお湯だけなのだけれど、しばらくすると体がふやけて、自分とお湯の間にもう一層、自分なのかお湯なのかわからないゾーンが生まれます。100%自分とは言えない、100%お湯とも言えないこの層は、線と余白の間かも知れないなと思いました。

人物画の人物の周り、線のすぐ外側には、その人が空気にふやけた、あるいは空気がその人を浸食した層があって、人物と空気の分子が混ざり合っているこの「間」を部分を、いつか上手に描けるようになったら、生きて動いている人の現象をそのまま形にできるのかも知れないです。

薫風献上ー文人画の風 Ⅲ

2021.6.14(月)〜20(日)
12:00〜19:00
最終日は17:00まで

今回、一連の文人画の研究を指導して下さった先生から寄せられた一文から。

<文人画の風Ⅲ
中国の唐宋元の文人画に倣うことから始めた「文人画の風―薫風献上」のシーズン3。今回は「日本の文人画」をお手本に各作家が趣向をこらした扇が勢ぞろい。池大雅、与謝蕪村はもちろん、初期文人画の祇園南海、彭城百川あり、さらには江戸後期個性派の浦上玉堂、田能村竹田まで。中国文人への激しい憧れのゆえに熱い個性的筆墨表現を創り上げた江戸文人画に倣った現代の扇面の中に吹く風は、きっと豊潤な芳せを多く含んでいるに違いない。筆墨の妙、ここに極まれり!
(不忍しのぶ/アートディレクター)

宋元•明清からいよいよ江戸の文人画へ研究の旅はいよいよ大詰めの会となった。

中島綾美展 渚の魔物たち

2021.5.28(金)〜6.5(土)12:00〜19:00
日曜〜18:00  最終日〜17:00

銀座の夜会イベント
初日5.28(金) 16:00〜20:00

銀座ギャラリーズのイベント・銀座の夜会に合わせて本日から中島綾美の個展。

緊急事態宣言下のため、20画廊の参加となった今回、時節柄お酒ご法度とあって例年のような宴は出来なかったが、アートスタンプラリーという企画がなかなか。
来廊の皆さま、パンフレット持参でそれぞれの画廊で工夫を凝らしたスタンプを押して巡回して下さった。

さて、中島綾美展である。
スタンプ帳も兼ねたパンフレットにご紹介したご紹介文をまず。

羊皮紙の古文書を彷彿とさせる絵肌、太古の記憶のような幻想的な世界観を独自に展開する中島綾美。
1993年山口県生まれ。2017年武蔵野美術大学造形学部日本画学科卒業。

卒業後、日本画研究室の教務補助をしながら描き、2018年に当画廊で初個展。2019年に八犬堂ギャラリー、2020年にはgallery hydrangeaで個展、着々と興味深い展覧会を重ねてきた。

本来であれば2020年末に予定していた個展だったが、コロナ禍の影響で延期し、時を見計らっていたのだったが、またもやこの度のタイミングに腹を括っての開催となった次第。

コロナ禍の中での制作は厳しく、悩みながら筆を進めてきたと言うが、展示した作品には見事に通底した強いメッセージがあり、自己の内面を見つめつつ深い思索を重ねた時間がテーマとともに作品を魅力的に彩っている。

海に堆積した様々な漂流物を拾い集め、それらが重ねた時を思い、人類の歴史にまで目を凝らして紡ぎあげた幻想。
雲肌麻紙に染料で古色をつけ、漂流してきたものたちの物語を描いていくー途方もない試みがここにある。

一枚には本当の羊皮紙が使われた。潮に晒されて白骨になった古代魚の絵に「真白の理想郷」と名付けた詩性。

昏い海の狭間から時とともに渚に流れ着くものたちー魔物と呼ぶ今展の一連のシリーズには、27歳ならではの新鮮な発想力のみならず27歳とは思えない達観が仄見え、眺めているうちに足下の砂に攫われていくような感覚に捉われていくのである。

山田りえ 日本画展

2021.5.14(金)〜22(土)
12:00〜19:00   日曜〜18:00
最終日〜17:00迄

DMの文章からー

絢爛の金箔花卉図で知られる山田りえがもう一つの世界「人物」に挑むsession2。
描かれた彼らの視線の先にあるものは何か。
多摩美大在学中の頃からずっと取り組んでいた人物表現への情熱が、時を経て今間歇泉のように。

畳大の大画面に大胆なポーズをとる女たち。また最近描くようになった男たち。自分をトランスジェンダーとはいわないけど、性別を特に分けて考えた事はないという山田りえ。そういえば花も同じようなスタンスで生命の秘密を描いてるのだというから一貫している。

美人画とも美男画とも違う、いわば人間画ーエロティックでありながらなにものにも媚びない自由な気分がここにある。

休廊のお知らせ

東京都の新型コロナ緊急事態宣言を受け
以下の期間を休業いたします。
4月27日(火曜)〜5月11日(火曜)
この間開催予定の展覧会は、次の通り延期いたしますのでご了承の程よろしくお願いいたします。

山田りえ展
5月14日(金曜)〜22日(土曜)
12:00〜19:00  日祝〜18:00
最終日〜17:00

越畑喜代美展 野の傍編 social distance

2021.4.20(月)〜27日(火)
12:00〜19:00 最終日は、17:00まで

銀座一丁目桜通りの八重桜が思ったより早く散ってしまったが、ちょうど24年前の花盛りの頃オープンした画廊。
明日が24歳の誕生日です。

越畑喜代美は往時を知る画家の1人ー逆にいうと個展を始めてまもなかった越畑画伯のほぼ全行程を知る証言者とも。

今年はコロナまん延防止条令、あるいは緊急事態宣言発令かという緊迫した情勢のため、例年通りのお茶会風味は取りやめ粛々と余白たっぷりの空間でひととき和んでいただくつもり。

最近は墨と遊んで水の流れを楽しむ風であったが、その中で拓本のような表現に興を覚えたらしく、自ら版を彫り自在に野の花たちと交歓している。

道端で楚々としかし逞しく毎年の営みを繰り返す名もなき(名はあるが)草の花。その隣には越畑喜代美が愛誦する万葉の詩が拓本となってさりげなく添えられているのだ。

あまりにもさりげなく、物申さない作品なのでー野の花のようにー忙しい方には向かないが、一旦足を止めてその世界を覗き込むと、そこには豊穣な宇宙が広がっている。これは是非実見で、とお薦めする次第です。

第六回つ抜けの会

2021.4.12(月)〜4.18(日)
12:00〜19:00  最終日は17:00まで

釣り好きで、東京藝術大学出身の5作家による展覧会。

小山松 隆 (洋画)
川畑 毅 (日本画)
小林 正誠 (洋画)
鈴木 よしひろ(イラスト)
宮地 睦明(墨彩)

つ抜け、とは釣り用語で、釣果を数えるのに1〜9までは「ひとつ」〜「ここのつ」と「つ」がつくが、10になると「つ」がなくなることから10匹目を「つ抜け」という。

今年でもう6回となる今展、コロナ禍にもめげずに集結してくださった。太公望たちらしい珍味を用意しての宴会はさすがに遠慮して、作品と釣果のお話だけでよしとしよう。

中川雅登 日本画展

2021.4.1(木)〜10(土)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

山野草を微妙繊細な線で描く中川雅登の3年ぶりとなる日本画展。
豊橋在住のため、東京との自在な往来が制限され、何かと不自由な日常であったが絵の中の山野草は凛とした品位を保ち、楚々としたその魅力を伝える。

画家が描く花を選ぶ時には、何か相性というようなものがあるらしく、牡丹や薔薇のような豪華な花が得意な人もいれば、すみれやタンポポの可憐を描きたい人もいる。素材も技法もそれぞれの花に合わせて様々にある中、中川は鉄線描にこだわり先年までは柔らかな絹にその跡を記していた。
さて、今年は如何にと作品の並ぶ会場を見渡すと、俄然深みを増した色調になっている。聞けば和紙に金泥・プラチナ泥を用い余白に意識を向けた、のだとか。

男子(女子も)三日会わざれば刮目してみよ
という。3年も会わなければ言わずもがな。ひたすら刮目して首を垂れるのみである。

大山菜々子展 わたしのものではなくなっていくきみへ

3.22(月)〜27(土)
12:00〜19:00 最終日〜17:00

昨春、東京藝大大学院日本画研究分野を修了し、そのまますぐ当画廊で初個展という歩みを記した大山菜々子。

在学中よりその独特の画風ー主に美少年を描くーが注目され人気を醸していたが、その後も作品発表の機会に恵まれ次々と新作を発表している。

2回目の個展となる今展では久々の50号「わたしのものではなくなったきみへ」をはじめ、北斎の「蛸と海女」へのオマージュ•「きみのすべてになりたかった」など意欲作10余点の他、膨大なスケッチから選りすぐりのドローイングを発表する。

また以下のアカウントで毎日リアルタイム実況があるのでお楽しみに。

大山菜々子のTwitterアカウント(@nanako_oyama)にて会期中は毎日夕方頃に会場のようと作品解説などを動画配信しております。

瀬戸内界隈展 in Tokyo  ー間違えなさんなー

2021.3.15(月)〜20(土)
12:00〜19:00 最終日は17:00

第一会場 柴田悦子画廊
第二会場 ギャラリー枝香庵 Flat

2月末から3月上旬の、2展覧会が急遽5月と9月に延期する事となり、本展直前まで予約制常設展とのんびり構えていた画廊に、瀬戸内界隈展の面々が熱いハートとともに乗り込んで来た!

昨年6月予定の東京展がコロナ禍のなか、やはり延期を余儀なくされ、万全を期しての会期だったのにまたしても緊急事態宣言下。

でも、夜明けは近いーまだ夜は真っ暗だが、桜の開花とともに少し前向き気分の銀座ー換気と消毒に努めながらお客様をお迎えする事に。

元気印の因島•ギャラリー政吉親分こと、岡野陽一画伯のもと、広島御縁の面々が東京に結集。因島の合宿展でお酒を手に語り合った夢がようやく実現したのだ。
上京叶わなかった地元メンバーの不在は作品の存在感でカバー。

枝香庵さんとの並木通りを繋いだスタンプラリーも楽しい。春の日差しを浴びながら傑作スタンプを集めて因島に来ればもれなく瀬戸内界隈Tシャツがもらえるとか。取り急ぎ初日のお知らせまで。

白井由美展

2021.2.1(月)〜2.7(日)12:00〜19:00
最終日〜17:00
2020年5月に予定していた個展を、大事をとってこの会期に延期。ところが、またもや一月初旬から7日までの緊急事態宣言。なんたる事!と天を仰いだが、今回は延期せず決行(!)と相成った。

まずは白井由美の挨拶からー
日々の中で目にする果実や草花から、季節の移り変わりを教えてもらえることに感謝しています。
当たり前のことがとても大切なこと、様々なことがあっても時節には草木が芽吹き、花は咲き実ります。
私はその姿が美しいと思い描いております。ご高覧頂けましたら幸いです。

2005年 多摩美大大学院日本画専攻修了

白井由美は絹本日本画技法を独学で習得、シンプルな空間に花や実を象徴的に描く。静謐な自然の囁きに耳を傾け、聴く人にしか聞こえない何事かを絵に写しとっているのだろう。
遅々とはしているが、果敢に絵画の王道に挑んでいる白井に今回は拍手を送りたい。

 

第六回 あゆみの会

2021.1.25(月)〜1.31(日)
12:00〜19:00 最終日17:00

「あゆみの会」は故松尾敏男先生の薫陶を受けた若手画家の研究会である。
大作を出品する展覧会として発足したが、小品の勉強もしなければとの意向で銀座に場を移した経緯がある。

今回は諸般の事情で辻村和美と中野昌子二人展となったが、それぞれに精度の高い絵で臨んできたので、二人展ならではの拮抗した緊張感溢れる空間となった。

特に辻村の鴉連作、中野の40年分のスケッチを一堂に集めて描いた「お喋りな春」など研究会ならではの力作に注目したい。

緊急事態宣言下の展覧会で、まことに心苦しいが、お近くにおついでがある折には是非!

旅する着物展ー市松の世界

1.18(月)〜23(土)12:00〜19:00

着物地を自在にアレンジして今様の見せ方を提案する「旅する着物」展。

新春版では、鬼滅の刃などで話題の市松模様を特集してご紹介します。
江戸歌舞伎の役者・佐野川市松が愛用した柄である「市松模様」は、柄が途切れない事から繁栄の印とされ長く親しまれてきました。

今展では、その様々なバリエーションが着物柄にどう反映され、使われてきたかをご紹介するとともに、現代においてもその意匠が生かされ、さらに魅力的なモードに転換されていく提案をいたします。

裁断され再構築された着物の布は、肉体を入れることで飛躍的に魅力的になります。是非風をはらむ絹の軽さを体験してみてくださいね。

尚、旅する着物展にコラボして、東京藝大陶芸専攻卒、益子で活躍する成良由記子さんが市松の陶製ブローチをたくさん作ってくださいました。合わせてご覧ください。

第15回 多摩美大堀文子教室同窓展

2021.1.10(日)〜16(土)
12:00〜19:00
日祝〜18:00 最終日〜17:00

2021年・年頭恒例の同窓展がコロナ緊急事態宣言のなか今日から。

15年前、堀文子先生の一言で始まった本展ー今年はや三周忌という。
先生の遺された筆や紙などを少しずつ分け合って先生を偲びつつ、一年の計を語り合う筈だったが、この度は密回避のため初日の集まりはなしとなった。

とはいえ、全国から同窓の方々の作品が続々と届けられ、どんな時でも描いていくという覚悟を改めて見せてもらうとこちらも鼓舞される。
堀文子先生は常々「絵描きは自分の運命を描くだけです。それしか道はありません。」と言われていた。
コロナ禍時代の運命ー新春早々に向き合わされたこの事態が、何を奪い何を与えるのか、創作者たちの手元を注視していきたい。

昨年度は大変お世話になりました。

。山あり谷ありの一年を支えて下さり、励ましていただいた全ての皆様に心からの御礼を申し上げます。

明ける年の幸を祈りつつ
20210年歳晩
柴田悦子

尚、今春は1月10日(日)からの
恒例の多摩美大日本画科堀文子同窓展を幕開けといたします。

銀座MOGA2020

2020.12.21(月)〜26(土)12:00〜19:00
最終日は17:00まで

年末恒例の銀座MOGA展が今日から
めっきり寒さが増した銀座の街に美少女たちが降臨した。
今年のメンバーは、

安藤しづか
いの上さや香
井上知美
いろはあやの
丑山 雨
大山菜々子
川村千紘
後藤まどか
白谷愛理沙
高久 梓
竹田涼乃
寺野 葉
中島華映
むらまつちひろ
山下千里

7月には「真夏の超絶美人画」と謳った銀座MOGA展。真冬のMOGAは寒空に幸せを運ぶ天使たちー等身大の美少女を是非ご覧いただきたい。

馬場伸子 日本画展

2020.12.11(金)〜19(土)12:00〜19:00

いよいよ、年末恒例のアートイベント・銀座の21画廊が参加するX’mas Art Festaが今日から。
柴田悦子画廊では初登場の馬場伸子の屏風大作を含んだ作品を紹介する。
まずは、画家のコメントを。

日本や中国に古来からある絵画に強く魅了されています。
自然と古典を師として、自分なりに追求し、自分の中に蓄積させたものを私の絵画として表現し、絵の内容を深化させていきたい。
季節感を大事にして、移ろう光、風で揺れる花びらや葉や枝、花の薫り、落ちた花びら、雨の気配、土の匂い等を感じ、花を通じて生命の暖かさ、豊かさ、凜とした強さを出せるよう、品格のある絵を求めていきたい。
それが私の願いです。
馬場伸子

馬場さんは現在長崎・佐世保在住。東京学芸大学教育学部で伊藤彬先生から日本画を学び、院修後は横浜美術館や多摩美大生涯学習の講師などをしながら作品を描き貯めていた。アートフェア東京などで閑々居さんのブースで発表し、大変な話題を呼んでいたことも記憶に新しい。事情があって郷里に戻ってからも、営々と描き繋いできた新作屏風を発表したいと意欲を持っていらしたので、今回この機にご紹介する事とした次第。

古画研究に裏打ちされた絹本の色彩の美しさと、帰郷なさってからの徹底した自然観察がしのばれる花卉図の数々を是非この機に鑑賞されたい。

 

源 由紀子展 「幕」

2020.11.30(月)〜12.6(日)
12:00〜19:00   最終日17:00まで

1996年に多摩美大2部絵画学科日本画卒の源由紀子。主に個展やグループ展・公募展などで作品発表してきた。
今年は50歳の節目との事で、当画廊デビューを志したとか。もちろん、折々の発表の場に立ち合い見せてもらった記憶は鮮明で、力量も感性も不足なし。楽しみにしていた。
今展ではテーマを「幕」とした。なぜ幕なのかを尋ねると以下のような返答があったので以下に記す。

昨年からは想像もできなかった現在は、幕が閉じるのか上がるのか、次に何かが起こる幕間なのか。循環と流れを花の姿から再構築し、表現したいと願った作品を展示する    源由紀子

画廊中に咲き誇る蘭の花々。五本の絹本軸層の燃えるような赤に圧倒される。コロナ禍の中でコツコツ描き貯めた作品たちの異様な迫力に押されつつ身を置くと、命の煌めきをいかに画家が愛おしく思っているのか、ひしひしと伝わり胸に迫る。
このバイタリティと繊細な美意識こそが画家の宝だ。祈りに似た何かを形にする現場に、今まさに立ち会っていると襟を正すような気持ちでいる。
是非、実見を。


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