越畑喜代美展 野の傍編 social distance

2021.4.20(月)〜27日(火)
12:00〜19:00 最終日は、17:00まで

銀座一丁目桜通りの八重桜が思ったより早く散ってしまったが、ちょうど24年前の花盛りの頃オープンした画廊。
明日が24歳の誕生日です。

越畑喜代美は往時を知る画家の1人ー逆にいうと個展を始めてまもなかった越畑画伯のほぼ全行程を知る証言者とも。

今年はコロナまん延防止条令、あるいは緊急事態宣言発令かという緊迫した情勢のため、例年通りのお茶会風味は取りやめ粛々と余白たっぷりの空間でひととき和んでいただくつもり。

最近は墨と遊んで水の流れを楽しむ風であったが、その中で拓本のような表現に興を覚えたらしく、自ら版を彫り自在に野の花たちと交歓している。

道端で楚々としかし逞しく毎年の営みを繰り返す名もなき(名はあるが)草の花。その隣には越畑喜代美が愛誦する万葉の詩が拓本となってさりげなく添えられているのだ。

あまりにもさりげなく、物申さない作品なのでー野の花のようにー忙しい方には向かないが、一旦足を止めてその世界を覗き込むと、そこには豊穣な宇宙が広がっている。これは是非実見で、とお薦めする次第です。

第六回つ抜けの会

2021.4.12(月)〜4.18(日)
12:00〜19:00  最終日は17:00まで

釣り好きで、東京藝術大学出身の5作家による展覧会。

小山松 隆 (洋画)
川畑 毅 (日本画)
小林 正誠 (洋画)
鈴木 よしひろ(イラスト)
宮地 睦明(墨彩)

つ抜け、とは釣り用語で、釣果を数えるのに1〜9までは「ひとつ」〜「ここのつ」と「つ」がつくが、10になると「つ」がなくなることから10匹目を「つ抜け」という。

今年でもう6回となる今展、コロナ禍にもめげずに集結してくださった。太公望たちらしい珍味を用意しての宴会はさすがに遠慮して、作品と釣果のお話だけでよしとしよう。

中川雅登 日本画展

2021.4.1(木)〜10(土)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

山野草を微妙繊細な線で描く中川雅登の3年ぶりとなる日本画展。
豊橋在住のため、東京との自在な往来が制限され、何かと不自由な日常であったが絵の中の山野草は凛とした品位を保ち、楚々としたその魅力を伝える。

画家が描く花を選ぶ時には、何か相性というようなものがあるらしく、牡丹や薔薇のような豪華な花が得意な人もいれば、すみれやタンポポの可憐を描きたい人もいる。素材も技法もそれぞれの花に合わせて様々にある中、中川は鉄線描にこだわり先年までは柔らかな絹にその跡を記していた。
さて、今年は如何にと作品の並ぶ会場を見渡すと、俄然深みを増した色調になっている。聞けば和紙に金泥・プラチナ泥を用い余白に意識を向けた、のだとか。

男子(女子も)三日会わざれば刮目してみよ
という。3年も会わなければ言わずもがな。ひたすら刮目して首を垂れるのみである。

大山菜々子展 わたしのものではなくなっていくきみへ

3.22(月)〜27(土)
12:00〜19:00 最終日〜17:00

昨春、東京藝大大学院日本画研究分野を修了し、そのまますぐ当画廊で初個展という歩みを記した大山菜々子。

在学中よりその独特の画風ー主に美少年を描くーが注目され人気を醸していたが、その後も作品発表の機会に恵まれ次々と新作を発表している。

2回目の個展となる今展では久々の50号「わたしのものではなくなったきみへ」をはじめ、北斎の「蛸と海女」へのオマージュ•「きみのすべてになりたかった」など意欲作10余点の他、膨大なスケッチから選りすぐりのドローイングを発表する。

また以下のアカウントで毎日リアルタイム実況があるのでお楽しみに。

大山菜々子のTwitterアカウント(@nanako_oyama)にて会期中は毎日夕方頃に会場のようと作品解説などを動画配信しております。

瀬戸内界隈展 in Tokyo  ー間違えなさんなー

2021.3.15(月)〜20(土)
12:00〜19:00 最終日は17:00

第一会場 柴田悦子画廊
第二会場 ギャラリー枝香庵 Flat

2月末から3月上旬の、2展覧会が急遽5月と9月に延期する事となり、本展直前まで予約制常設展とのんびり構えていた画廊に、瀬戸内界隈展の面々が熱いハートとともに乗り込んで来た!

昨年6月予定の東京展がコロナ禍のなか、やはり延期を余儀なくされ、万全を期しての会期だったのにまたしても緊急事態宣言下。

でも、夜明けは近いーまだ夜は真っ暗だが、桜の開花とともに少し前向き気分の銀座ー換気と消毒に努めながらお客様をお迎えする事に。

元気印の因島•ギャラリー政吉親分こと、岡野陽一画伯のもと、広島御縁の面々が東京に結集。因島の合宿展でお酒を手に語り合った夢がようやく実現したのだ。
上京叶わなかった地元メンバーの不在は作品の存在感でカバー。

枝香庵さんとの並木通りを繋いだスタンプラリーも楽しい。春の日差しを浴びながら傑作スタンプを集めて因島に来ればもれなく瀬戸内界隈Tシャツがもらえるとか。取り急ぎ初日のお知らせまで。

白井由美展

2021.2.1(月)〜2.7(日)12:00〜19:00
最終日〜17:00
2020年5月に予定していた個展を、大事をとってこの会期に延期。ところが、またもや一月初旬から7日までの緊急事態宣言。なんたる事!と天を仰いだが、今回は延期せず決行(!)と相成った。

まずは白井由美の挨拶からー
日々の中で目にする果実や草花から、季節の移り変わりを教えてもらえることに感謝しています。
当たり前のことがとても大切なこと、様々なことがあっても時節には草木が芽吹き、花は咲き実ります。
私はその姿が美しいと思い描いております。ご高覧頂けましたら幸いです。

2005年 多摩美大大学院日本画専攻修了

白井由美は絹本日本画技法を独学で習得、シンプルな空間に花や実を象徴的に描く。静謐な自然の囁きに耳を傾け、聴く人にしか聞こえない何事かを絵に写しとっているのだろう。
遅々とはしているが、果敢に絵画の王道に挑んでいる白井に今回は拍手を送りたい。

 

第六回 あゆみの会

2021.1.25(月)〜1.31(日)
12:00〜19:00 最終日17:00

「あゆみの会」は故松尾敏男先生の薫陶を受けた若手画家の研究会である。
大作を出品する展覧会として発足したが、小品の勉強もしなければとの意向で銀座に場を移した経緯がある。

今回は諸般の事情で辻村和美と中野昌子二人展となったが、それぞれに精度の高い絵で臨んできたので、二人展ならではの拮抗した緊張感溢れる空間となった。

特に辻村の鴉連作、中野の40年分のスケッチを一堂に集めて描いた「お喋りな春」など研究会ならではの力作に注目したい。

緊急事態宣言下の展覧会で、まことに心苦しいが、お近くにおついでがある折には是非!

旅する着物展ー市松の世界

1.18(月)〜23(土)12:00〜19:00

着物地を自在にアレンジして今様の見せ方を提案する「旅する着物」展。

新春版では、鬼滅の刃などで話題の市松模様を特集してご紹介します。
江戸歌舞伎の役者・佐野川市松が愛用した柄である「市松模様」は、柄が途切れない事から繁栄の印とされ長く親しまれてきました。

今展では、その様々なバリエーションが着物柄にどう反映され、使われてきたかをご紹介するとともに、現代においてもその意匠が生かされ、さらに魅力的なモードに転換されていく提案をいたします。

裁断され再構築された着物の布は、肉体を入れることで飛躍的に魅力的になります。是非風をはらむ絹の軽さを体験してみてくださいね。

尚、旅する着物展にコラボして、東京藝大陶芸専攻卒、益子で活躍する成良由記子さんが市松の陶製ブローチをたくさん作ってくださいました。合わせてご覧ください。

第15回 多摩美大堀文子教室同窓展

2021.1.10(日)〜16(土)
12:00〜19:00
日祝〜18:00 最終日〜17:00

2021年・年頭恒例の同窓展がコロナ緊急事態宣言のなか今日から。

15年前、堀文子先生の一言で始まった本展ー今年はや三周忌という。
先生の遺された筆や紙などを少しずつ分け合って先生を偲びつつ、一年の計を語り合う筈だったが、この度は密回避のため初日の集まりはなしとなった。

とはいえ、全国から同窓の方々の作品が続々と届けられ、どんな時でも描いていくという覚悟を改めて見せてもらうとこちらも鼓舞される。
堀文子先生は常々「絵描きは自分の運命を描くだけです。それしか道はありません。」と言われていた。
コロナ禍時代の運命ー新春早々に向き合わされたこの事態が、何を奪い何を与えるのか、創作者たちの手元を注視していきたい。

昨年度は大変お世話になりました。

。山あり谷ありの一年を支えて下さり、励ましていただいた全ての皆様に心からの御礼を申し上げます。

明ける年の幸を祈りつつ
20210年歳晩
柴田悦子

尚、今春は1月10日(日)からの
恒例の多摩美大日本画科堀文子同窓展を幕開けといたします。

銀座MOGA2020

2020.12.21(月)〜26(土)12:00〜19:00
最終日は17:00まで

年末恒例の銀座MOGA展が今日から
めっきり寒さが増した銀座の街に美少女たちが降臨した。
今年のメンバーは、

安藤しづか
いの上さや香
井上知美
いろはあやの
丑山 雨
大山菜々子
川村千紘
後藤まどか
白谷愛理沙
高久 梓
竹田涼乃
寺野 葉
中島華映
むらまつちひろ
山下千里

7月には「真夏の超絶美人画」と謳った銀座MOGA展。真冬のMOGAは寒空に幸せを運ぶ天使たちー等身大の美少女を是非ご覧いただきたい。

馬場伸子 日本画展

2020.12.11(金)〜19(土)12:00〜19:00

いよいよ、年末恒例のアートイベント・銀座の21画廊が参加するX’mas Art Festaが今日から。
柴田悦子画廊では初登場の馬場伸子の屏風大作を含んだ作品を紹介する。
まずは、画家のコメントを。

日本や中国に古来からある絵画に強く魅了されています。
自然と古典を師として、自分なりに追求し、自分の中に蓄積させたものを私の絵画として表現し、絵の内容を深化させていきたい。
季節感を大事にして、移ろう光、風で揺れる花びらや葉や枝、花の薫り、落ちた花びら、雨の気配、土の匂い等を感じ、花を通じて生命の暖かさ、豊かさ、凜とした強さを出せるよう、品格のある絵を求めていきたい。
それが私の願いです。
馬場伸子

馬場さんは現在長崎・佐世保在住。東京学芸大学教育学部で伊藤彬先生から日本画を学び、院修後は横浜美術館や多摩美大生涯学習の講師などをしながら作品を描き貯めていた。アートフェア東京などで閑々居さんのブースで発表し、大変な話題を呼んでいたことも記憶に新しい。事情があって郷里に戻ってからも、営々と描き繋いできた新作屏風を発表したいと意欲を持っていらしたので、今回この機にご紹介する事とした次第。

古画研究に裏打ちされた絹本の色彩の美しさと、帰郷なさってからの徹底した自然観察がしのばれる花卉図の数々を是非この機に鑑賞されたい。

 

源 由紀子展 「幕」

2020.11.30(月)〜12.6(日)
12:00〜19:00   最終日17:00まで

1996年に多摩美大2部絵画学科日本画卒の源由紀子。主に個展やグループ展・公募展などで作品発表してきた。
今年は50歳の節目との事で、当画廊デビューを志したとか。もちろん、折々の発表の場に立ち合い見せてもらった記憶は鮮明で、力量も感性も不足なし。楽しみにしていた。
今展ではテーマを「幕」とした。なぜ幕なのかを尋ねると以下のような返答があったので以下に記す。

昨年からは想像もできなかった現在は、幕が閉じるのか上がるのか、次に何かが起こる幕間なのか。循環と流れを花の姿から再構築し、表現したいと願った作品を展示する    源由紀子

画廊中に咲き誇る蘭の花々。五本の絹本軸層の燃えるような赤に圧倒される。コロナ禍の中でコツコツ描き貯めた作品たちの異様な迫力に押されつつ身を置くと、命の煌めきをいかに画家が愛おしく思っているのか、ひしひしと伝わり胸に迫る。
このバイタリティと繊細な美意識こそが画家の宝だ。祈りに似た何かを形にする現場に、今まさに立ち会っていると襟を正すような気持ちでいる。
是非、実見を。

渡辺 薫展

2020.11.23(月)〜29(日)
12:00〜19:00  最終日は17:00まで

今年4月13日から予定していた渡辺薫展。4月8日に東京に緊急事態宣言が出されてやむなく延期を余儀なくされたのだったが、何とか年内に開催しようとこの時期に。
秋を迎える頃には少し落ち着くかと思いきや、またしても感染拡大のタイミングとなったが、個展決行の気持ちにもう揺るぎはない。

ただ、春に予定していた内容から時とともに心が動き、絵と書のコラボという形から絵巻物風にしようと形態を変えてきた。
1982年多摩美術大学日本画科大学院卒
のベテランが、10年ほど前から書の手習を始め、3年前の個展で初めて絵に書を組み合わせた試みを。
今展で臨書した書家は、紀貫之・八大山人・懐素という超大物ばかり。カラリストの渡辺薫にしては色数を極端に抑え書にフォーカスして巻物風に仕上げてきた。
紙の上に紙を重ね、下の墨色を薄く浮かばせながら字の粗密を楽しみ、平面的な構成の絵と絡ませていくー春の構想から一歩も二歩も進めた画家渾身の作品たちのなんと清々しいことか。

長尾英代 日本画展

2020.11.16(月)〜22日(日)
12:00〜19:00  最終日〜17:00

1996年武蔵野美大院日本画卒の長尾英代。佐藤美術館の奨学生の一人でもあり、在学中からその存在感は揺るぎなかった。その後個展を中心に発表を続けるなかで今回のテーマとなる「物語」に出会う。
自身の成長に従って奥行を変える物語ーそのイメージの豊穣さを絵筆に託す事は、自分を描くことに他ならない。おおらかな画風はそのままに、賢治の煌めくような詩性に感応したリリカルな表現は見事! 22日日曜日まで必見です。

以下は、画家のコメント

昔読んだ物語を、時間が経ってから読むと印象が変わる事がある。
宮澤賢治の「やまなし」を改めて読んだ時、以前は印象深く記憶に残っていた5月の章より12月の章が心に沁みて、描いてみたいと思った。
今回の展示は、様々な物語から受け取ったイメージを膨らませて制作してみた。

長尾英代

猫百態展

2020.11.9(月)〜14(土)12:00〜19:00

3年前佐藤美術館と連携した「日本画による猫展」を開催、世の中の猫ファンの層の厚さを実感したものだったが、今回は銀座ギャラリーズ企画・アフタヌーンギャラリーズと連動。銀座1〜8丁目の参加15画廊による多彩な展覧会をSound
ARTMで体験する「Walk with U」など
多彩な催しや銀座を代表するbar15店舗とコラボの企画も。

中央区あげての秋祭りー中央区まるごとミュージアムも開催中とあって、賑やかな銀座に負けじと集めた猫百態。画廊にご縁の画家さん達による猫祭りとなりました。
出品している画家さんのお顔と描かれたもの猫が似ているように思うのは私の勘違いでしょうか?孤独な制作の日々を慰め、あるいは翻弄する猫達のさまざまな姿態を是非ご覧くださいね。

織田梓/亀井三千代/麒麟/越畑喜代美/小林由里/白井由美/原田梨花/諏訪敦/武井好之/竹内淳子/立尾美寿紀/辻村和美/野口友美/平野俊一/佛淵静子/松谷千夏子/三浦幸子/八幡幸子/山田りえ

LABO32nd Go To Art -Social distance in art-

202.11.2(月)〜8(日)  12:00〜19:00
祭日〜18:00   最終日〜17:00

越畑喜代美・麒麟・平野俊一

上記3名によるグループ展が32回目を迎える。ご存知、多摩美大堀文子クラスの1984年同級のメンバーである。

それぞれに個展やデパート展などで活躍しながら毎年続けてきた。というよりもむしろ、このグループ展を起点としてそれぞれが次の一年の準備をし、自作の練磨をしてきた、というべきか。

ともあれ、越畑喜代美はこのところ研鑽を積んでいる墨遊びをさらに純化させる事に夢中だし、麒麟の金箔地はますます輝きを増して花々は艶やか、平野俊一の蓄光塗料の研究は野山を飛び出して都市の夜景にまで及んできた。

今展の会期中には銀座ギャラリーズによるイベント・アフタヌーンギャラリーのイベントも重なり、ギャラリーツアーや特典付きのスタンプラリーなども。
詳しくはhttp://afternoon.ginza-galleries.com
11.6(金)〜14(土)

 

森田晴樹展

2020.10.26(月)〜11月1日(日)
12:00〜19:00   最終日〜17:00

大阪・寝屋川の画仙人ー森田晴樹のコメントから

新型コロナウィルス
先がまったく読めない世界

前期高齢者で、基礎疾患の有る私にはちょっと怖いです。
でも展覧会は開くことにしました。
なにがあっても
前へ進まなければ次が見えないから
花咲爺 晴樹

黙っているとちょっと怖い森田さん。長い付き合いなので、初めてご紹介する人の時には「ボタンを押すと話すよ」と教えてあげる。
そのボタンとは絵のこと。訥々と、だが親切に語り出す口調に嫌味はなく、聞く人の心に届く。
毎日、絵と向き合う日々と聞く。病を得てからは更に研ぎ澄まされてきた。一枚の絵にかける熱量が、墨の花の光背となって立ち上ってくる。毎年繰り返されるこの営為ーしかも年を重ねるごとに格調高くなるのは見事。

薄墨の重なりが見えないように点を打つとカラ刷毛でぼかし、営々と積み重ねて作る墨色と胡粉の上澄、純金と純銀泥だけで描きあげるストイックな世界の果てに彼がなにを見ようとしているのか、是非見分に来て欲しい。

京都市立芸術大学日本画専攻卒

山田りえ 日本画展

2020.10.12(月)〜18日(日)

開廊の翌年からほぼ毎年個展を開催してきた画家の一人である山田りえ。昨年は多忙を極め一年あいだを空けたが、コロナ禍にもめげず無事初日を迎えることができた。

DMに掲出の「武蔵野図」からして黒箔にレースのような地模様を施すなど、りえ様式の不穏な気配が漂っていたが、今展では久々のりえスペシャル・ザ・ヌードをご披露する。

落下する女の恍惚の表情、コトを終えた男の余裕、挑発する女のポーズ。そして何より「HAND」と題された指先の描写が秀逸。

かつて画廊で画家たちのためのヌードデッサン会を催していた時期があったのだが(現在休会中)、モデルはその時によくお願いしていたベリーダンサーの方。しなやかで魅力的な肢体のモデルさんを、りえ風にど真ん中から描いた力作たちが画廊中に異様なパワーを放っている。

タブーなく自分を解き放って、好きな事に没頭した、という潔さに満ちた今
展。花の蜜に誘われる蝶の気分になるのもよし、空間に浮遊するのもよし、コロナ禍の閉塞感をしばし忘れるエロスの園はここにある。

 

永江俊昭 陶展

2020.9.28(月)〜10月4日(日)
12:00〜19:00  最終日は17:00まで

関連イベント
9月30日 (要予約)
高橋さわこ氏(フラワーコーディネイター)による苔玉・苔盆栽ワークショップ

10月3日(土)、4日(日) 要実費
六本木・一億 植田愛さんのお菓子とコーヒーを楽しむ午後

作陶35周年の節目であり、還暦記念の陶展が今日から。

丹波山中に登窯を作り、自ら職人と称して唐津や朝鮮唐津、祥瑞染付や錆絵金彩、黄瀬戸、焼締、三島、粉引などあらゆる技法に挑戦してきた永江の35年間が
狭い画廊空間を濃密に満たしている今展。

そもそもロックやブルースに耽溺するギター青年が、なぜ陶芸の門を叩いたのか、35年前のミラクルな回心ー古陶の美しさに導かれて近隣にあった滴水美術館の陶工養成所からそのキャリアは始まるー以後、美術館の名品を師とし、茶人や料亭、骨董仲間に揉まれながら制作を続けてきた。

その傍ら、八重山民謡の後冨底周二に師事し、日本最南端・波照間島まで通い続ける日々を送っている。残念な事に師は昨年亡くなったが、その魂を継ぐべく唄三線の道も弛む事なく続け、窯の火入れの前には渾身の唄を捧げるのだとか。

今年はコロナ禍のため、石垣島で予定していた還暦記念ライブも断念せざるを得ない状況だったため、怪我の功名というべきか、今展に向けて十全の準備が整った。いつもの三線のライブができない代わりに、色々な方のお力添えで器を楽しむ様々な催しが出来ることとなった事にも感謝したい。

初日の今日は、画廊近くの鼎泰豊で祝杯。35周年と還暦おめでとう!


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