小松葉月展

2019.4.1(月)〜7(日)
12:00〜19:00     最終日〜17:00
陶と古布による作品展示。

小松葉月さんは2017年多摩美大院工芸科陶芸専攻を修了した気鋭の作家です。

在学中の2014年に第17回岡本太郎現代芸術賞・特別賞を受賞するなど、特異な作風で注目を集めています。

今展では、1250度で焼成した陶土と仕立ての残り裂を組み合わせて「細胞の行列」というインスタレーションを。
細かく積み上げられた陶土にも、括られた布の表面にも、よく見るとニコニコマークのような顔があります。これが彼女のいう細胞の顔なのです。
これら細胞が赤になったり青になったり白くなったりしながら、これまた細胞でできた車に乗って行列しているーといえばよいでしょうか。
前展の翠さんの作った場が光の空間だとすると、葉月さんは有機体の蠢くがことく内蔵的空間を作り上げてきました。

さる方が、アートの本質が違和感だとすると素晴らしい展示だと翠さんの仕事を褒めてくれたのですが、ニコニコマークの細胞が満載の今展もその意味では充分非日常を味わっていただける空間になったと思います。

是非、この氾濫は体感していただきたいもの。

1991年生まれ  神奈川在住

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佐々木翠展「ミケランジェロの丸天井」

2019.3.18(月)〜24(日)12:00〜19:00

まずは作家のステートメントから。

今回は建築と彫刻をテーマとした。 彫刻家であるミケランジェロが残した建築は、デザインを超え誰もが共通に持つ深き心地 よさがある。
彫刻も同じに人を人以上に美しく、人々が気づかぬうちに受けている共通の 感覚を表現されている。感情のみ残るものがつくりたいとおもった。
佐々木翠

佐々木翠さんは1984年埼玉に生まれ、2013年に東京造形大学修士課程を修了後、母校恩師の板東優氏のアトリエがある帯広に移住、助手を勤めながら研鑽の日々を送られている。
2016年に当画廊で初個展、以後在住する帯広で折々に発表を重ねてきた。銀座で2度目となる今展は、画廊の中に家を建てたいという私の希望を受けての挑戦。
どんな風に受けてくれるのか楽しみにしていたところ、「ミケランジェロの丸天井」という思いがけない答えがかえってた。先年イタリアを旅行しミケランジェロの天蓋の下、時間を忘れるような至福の体験をしたという。
ストイックな石膏の白!存在の内と外!丸天井から降り注ぐ光の圧倒的な量!いつもと同じサイズの画廊空間が、異化あるいは銀化して翠さんのみずみずしい心に満たされている。
翠さんがミケランジェロの天蓋の下で感じたであろう至福の時を、私も追体験させてもらった1日だった。
折しも翠さん恩師板東さんの奥様であり版画家の里佳さんのお誕生日の今日、ご縁の方々とお腹も至福の時を送らせていただいた。
春の陽気に誘われて是非ご来廊をお勧めする次第である。

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日本画五人展ーモダンアート企画

2019.3.1(金)〜9(土)12:00〜19:00
日祭日〜18:00最終日〜17:00

大山菜々子(東京藝術大学修士1年)
沖 綾乃(武蔵野美術大学3年)
寺野 葉(武蔵野美術大学3年)
永田優美(多摩美術大学2年)
山下千里(筑波大学芸術専攻修士2年)

1990年代生まれの日本画専攻の美大生たちのグループ展である。
この時期は5美大展他、都内各所で卒展・修展が数多く開かれて、これから世に出る新しい才能が耳目を集める頃。
今展は、在学中から意欲的に発表し、しかも独自の世界観からすでに人気を博している五人をモダンアートの豊島さんが選抜しての展覧会である。

1997年といえばこの画廊がオープンした年であるが、その年生まれの画家もメンバーにいるという。
時の流れに何か厳粛な気持ちになりながら、若い方たちがこの道を志して努力している姿に思わず心が熱くなる。

その一歩に立ち会えたことに感謝しつつ、丁寧にご紹介していこうと思っている。

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旅する着物展ー春の銀座編

2019.2.23(土)〜28(火)12:00〜19:00
日曜〜18:00 最終日〜17:00

回を重ね旅を続ける着物たちーこの春も銀座にやってきた。
今年はひげ紬と縮緬や黒地の絣と鮮やかな緑の紬の組合せのリバーシブルコートが秀逸な出来栄え。
箪笥の中で休眠状態の着物や反物に、風を通して新たな命を吹き込むーそして毎日を彩るものに変えていく試み。

故郷秋田の西馬音内盆踊りでは、代々の嫁入り衣装の端切れを縫い合わせ端縫い衣装として踊りに用いるが、これもまた布の旅。最後まで大事に生かして楽しむ事が織り手や染め手へのリスペクトになると信じている。

着物として楽しむのが一番なのは言うまでもないが、解き放たれて一枚の布になった時思いがけない魅力を放つのも素材の賜物。春風をはらんでヒラヒラと裾を翻しながら銀座を歩いてほしい。

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直野恵子展

2019.2.12(火)〜17(日)12:00〜19:00
最終日〜17:00

1998年女子美大大学院日本画科修了後まもなく、当時出品していた創画会の村越由子・小林身和子との三人展が初めてのご縁。
直後の2001年に初個展。以来毎年コツコツ描きためた作品を発表し続けている。
初期作品は胡粉や岩絵具を細かなタッチで積み重ねた心象画ー抒情詩のような柔らかさが印象的だった。
その後回を重ねる度に岩絵具より墨が目立ちはじめ、生きる苦悶の跡が絵肌から見え隠れするようになった。
白い絵具に代えて、最近とみに透明感を増した墨が創り出す余白の「白」。
遊ぶように奏で、踊るように掃き、思索するように垂らす墨の跡を辿るひと時の旅。この一年の直野恵子が集約された空間は、まるで雲か霞の中にいるかのような浮遊感に満ちている。
これは是非現場で美味しいお茶とともに味わっていただきたい。

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第4回 つ抜けの会

2019.2.4(月)〜10(日)
12:00〜19:00 最終日は17:00まで

東京藝術大学出身の5名によるグループ展が4回目をむかえた。
釣り好きのメンバーが付けたグループ名は「つ抜け」。
九つまでつく「つ」を抜ける、ので「つ」抜けー 十からは大漁という釣り用語とのことだが、時折そのつ抜けの恩恵に預かり、カワハギの刺身だの一夜干しなどを頂戴する身になってからは親しい言葉となった。

年長の宮地睦明氏と小林正誠氏はデザイン科、小山松隆氏は油画科、川畑毅氏は日本画科、鈴木よしひろ氏は工芸科とそれぞれ専攻は違うが、釣果の報告をするようにそれぞれの近作を持ち寄って研鑚の場としている。

この先輩たちと年に一度展覧会をお伴していると、人生はますます楽しみに満ちたものと思えてくる。
この際、人生も「つ」抜けまで!

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異形プラスDOLL展

2019.1.25(金)〜2.2(土)12:00〜19:00
日曜〜18:00 最終日〜17:00

1.27(日)から2.2(土)まで東京交通会館B1ゴールドサロンで開催される第7回クラフトアート創作人形展に協賛して、銀座の4画廊でも人形ウィークを開催する事となった。
ご縁あって初回から審査員を務めさせて頂いている中で、柴田悦子賞を差し上げた人形作家さんを交え、当画廊屈指の異形を追求する作家たちとのコラボ展を企てた次第。
異形と人形ー人間を超えて異能の世界に遊ぶ空間となった。

大坪奈古
奥津直道
瓜南直子
木村浩之
近未来
佐々木英俊
西村亨
長谷川裕子
伴清一郎IMG_4602 IMG_4603 IMG_4613 IMG_4614 IMG_4615 IMG_4616 IMG_4619 IMG_4621 IMG_4622 IMG_4604 IMG_4606 IMG_4605 IMG_4607 IMG_4608 IMG_4609 IMG_4610 IMG_4611 IMG_4612 IMG_4618

多摩美術大学日本画科 第13回堀文子教室同窓展

2019.1.13(日)〜19(土)12:00〜19:00
日祭〜18:00 最終日〜17:00

2019年の年頭の展覧会は恒例となった堀文子教室の同窓展。
昨年100歳を迎えた先生の長寿を寿ぎつつ、それぞれの絵画始めとする趣向である。
思い返せば先生の87歳のお誕生日に皆でお祝いする席を持った折、このメンバーで展覧会をと堀先生が鶴の一声を。

何か問題があったらすぐやめます!とキリッと仰った先生のお声が今も耳に残るが、以来13年弛まず続けてこられたのも先生が長寿でいてくださったからこそ。

多摩美大で堀クラスを共に受け持ってくれていた中野嘉之先生も特別参加して下さるようになり、益々厚みのある展覧会となった。

世代や画家としてのキャリアなど抜きに、先生のもと研鑽を積んだ者同士が交われるという有り難さもさることながら、「画家はそれぞれの道を歩み、自分の絵を描くだけです」と馴れることを嫌った先生の言葉を思い起こし、また一人旅に戻っていくーのが大事な事なのだと最近は思う。
年に一回、自分を振り返る一里塚。そんな道標がもう13個も立っている。

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モダンアートプロデュース 銀座MOGA2018

2018.12.17(月)〜23(日)12:00〜19:00
最終日は〜17:00

井上知美/沖綾乃/織部梓/北本晶子/きもとりえこ/こみや梢子/中島華映/永田優美/細川成美/宮崎優/むらまつちひろ/もんちほし

モダンアートの豊島氏が注目し育てている上記の若手女性画家12人が競作する美人画展である。
豊島プロデュースの今展は昨年まで奥野ビルで開催されていたが、今年は事情があり急遽お供する事となった次第。
何せ今をときめく注目画家達が揃うとあって朝からお集まりの面々で大わらわー無事抽選も終わりほっと一息。

聞けばまだ美大在学中や卒業して間もない方々も含め、初々しい顔ぶれでついママ気分発動!守ってやらねばモードに入ったのだが、よく考えるとこの若さで堂々大人と渡り合っている逞しい精神力の持ち主たちー先は長いけど幸先いいスタートが名伯楽・豊島氏の元で出来た事を祝い、研鑽を期待したい。

まずは画像のご紹介を!23日まで。
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X’ mas art festa 立尾美寿紀展

2018.12.7日(金)〜15(土)12:00〜19:00
日曜日〜18:00 最終日〜17:00

いよいよ始まった銀座ギャラリーズ主催のX’ mas art festa2018。
今年の柴田悦子画廊のエントリーは、当画廊2回目の個展となる立尾美寿紀ーたちおみずきー。具象とも抽象ともつかないクールな作風ながら、ダイナミックな力感も併せ持つ本格派だ。
2001年に多摩美大大学院修了後は、主にコンクールをメインに大作に挑戦し続け、縦5メートルの作品や「グループ風展」での横7メートルの作品などで圧巻の存在感を示し続けてきた。
今展では、百合の形態を様々に展開する中に、実在と不在、光と闇、生と死、など対立する概念を同画面で成立させようと奮闘した。
特に、「音」をテーマにその揺らぎや残響が画面から感じられるようにと、百合のシルエットを繰りかえし、そして反転させた。
見えるものの中に不在を、見えないものの中に実在を感じさせるのはまさに「芸術」のなせる技。胡粉の代わりのベビーパウダーの白が、頼りなくその境界線を揺蕩っている。
まずは初日の幕が開いたー。IMG_3997 IMG_3985 IMG_3986 IMG_3987 IMG_3988 IMG_3989 IMG_3990 IMG_3991 IMG_3992-1 IMG_3992 IMG_3993

山田りえ展

2018.11.27(火)〜12.5(水)12:00〜19:00
日曜〜18:00 最終日〜17:00

開廊の翌年からほぼ毎年個展開催、もう20回超えのご縁となった山田りえ。
その間、デパート展やグループ展などにも出品し、着々と画家としてのキャリアを積み上げている。
金箔地に華やかな花を描いて日本画の王道を行く、と見えて実はシュールな世界が大好きなりえ画伯。
今回は「不二月月図」と題して月が21個もある不思議な風景画を描いてきた。在住する小田原付近から見えるサイズの富士も樹林の奥に鎮座している。金箔の虚空に流れる雲が実に美しいーにもかかわらず月が21個。
乱視で月がだぶって見えることから、別の天体のように風景を描くことを発想したという。
花を描いているのではなく、花を成り立たせているエネルギーを描いているという彼女の持つ独自性をこれら作品群から是非読み取ってほしい。

1983年多摩美大日本画科加山又造教室卒

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馬場京子展

2018.11.19(月)〜25(日)12:00〜19:00
祝日は18:00 最終日は17:00まで

神戸生まれで京都在住の洋画家・馬場京子さんとのご縁は、3年前に遡る。
親しくされていたギャラリーニケのご主人が急逝され、予定していた個展が開催出来ず困っていらしたのだ。
共通の友人である画家さんのご紹介もあり、2年前に当画廊で初個展。日本の神話や物語を馬場京子流に解釈して描いた作品は支持体が法然院の床板ということもあり、強烈な印象だった。
聞けば京都では生田耕作氏の奥様に見出され、そのご縁の画廊で発表されていたとのこと。植物や動物などと合体した女性のエロティシズムを描きながら、あまり媚びた所のない画風。
今展では板ではなく漆喰の地に、版画やアクリル、岩絵具など様々なメディアを駆使した幻想的な女性像を描いた。
少女時代を過ごした神戸・山手の家はまさしく山中にあり、虫愛づる姫君に育ったらしい。自然のいきものの生理を女性像に託し、それらの化身として描いているようにみえる。
幻想的とはいうものの湿った情とは無縁の乾いた観察眼が彼女の真骨頂であろう。是非このワンダーランドへ!

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第四回歩みの会

218.11.12(月)〜18(日)12:00〜19:00
最終日は17:00

穎川麻美子
鈴木ちか子
辻村和美
中野昌子
早川圭子
柳田晃代
山中隆成(五十音順)

「歩みの会」は松尾敏男先生に師事し研鑽をかさねるメンバーによる日本画作品展である。
2013年、目黒区立美術館でグループ展を発足させ3回展まで続けてきたが、4回展となる今回は小品へのチャレンジという事で銀座へ。
多摩美大松尾敏男教室での教え子中心に院展でご縁の方も含め、才能ある若手が研鑽を積むグループということで注目してきた会である。出品画のような大作ばかりでなく、手に取るサイズの絵の勉強もし、世に問いたいという志には心から賛同するものだ。
修業中の画廊で、松尾先生はもとより物故巨匠の小品を見る機会に恵まれたが、大作に劣らぬ魅力を放つ掌中の珠の味に見惚れる事が多かった。
小さな画面に大作と同様の構成は難しいが、削いで省いて究極の珠を磨くなかに俳句に似た小品の妙味が醸成されるもの。
松尾先生の謦咳に触れ、そのDNAを受け継ぐこのメンバーの真摯な挑戦を是非ご覧いただきたくご紹介する次第である。

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LABO展ー30th 越畑喜代美 麒麟 平野俊一

2018.11.5(月)〜11(日)
12:00〜19:00最終日〜17:00

1989年、銀座7丁目にあった篁画廊で産声を上げた「LABO展」。その後8丁目金春通りにあったギャラリーイセヨシで回を重ね、当画廊が開廊した翌年の1998年以降はメンバーを現行の3人に絞り今日までつづけてきた。
3人は1984年多摩美大日本画科卒の同期。私の同級生でもある。それぞれ違う環境で歩みを進めるなか、年に一度普段できない絵の実験をしようとゆる〜く続けているうちに、画家としてのキャリアも深まってきた。
20代の彼等も30年過ぎるともう還暦に近いお年頃。人の事は言えないが、よくこの道を諦めずに今まで生きてきたものと感慨深い。
この10年ばかり信州上田にアトリエを構え、自然を間近に観察する機会を得た平野は、広大な野山のなかに人知れず咲く花々のダイナミズムを捉えようと奮戦し、屏風や大作に挑んできた。今回は下地に黒を使い、重厚で思索的な作風に。
また、麒麟は金箔地に大胆な構図の花を描き、切れ味のいい仕事振りが際立っているが、さらに洗練を加えて艶やかだ。
越畑はモダンな装飾性が際立つ画面から、線の一本にこだわるストイックな作風に舵を切り、今展では猫じゃらしを観察した上で究極に見えた形を作品化している。
「LABO」は実験の場であるとともに、今の立ち位置を知り未来の進路を探る場でもある。確実にこの場を生かし歩を進めてきた3人を長く見てきた一人として、次の一歩がさらに豊かな収穫をもたらすものであるよう祈ってやまない。

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中 千尋 展ー美しい女には物語がある

2018.10.29(月)〜11月4日(日)
12:00〜19:00   最終日は〜17:00

鏑木清方や伊東深水など、佳き時代の美人画に触発され、彼等と共にあった文学や歌舞音曲などにも親しみながら、独学で絹本着彩の日本画や水墨画を描いてきた中千尋。
5回目になる今展では、樋口一葉の作品から描き起こした「美しい女」たちの他、得意とする踊りの世界や、神話伝説などに想を得た物語を描いている。
特に「浦島」の乙姫、「三保」の天女の大作二点は鏑木清方が同題材の双幅を描いている事から、私淑する師へのオマージュと思われ、みずみずしい情感に溢れた見応えのある作品となっている。
また、美人画に挑戦するにあたって必須の素養と、習い始めた日本舞踊も花柳流の名取はおろか師範を許される腕前となり、数々の名曲を知悉しあらゆる所作や衣装などの約束事に通暁する粋人となった。
この間、美人画の制作にとどまらず、普及活動や研究に努め、美人画の詳細な解説、八王子芸者衆による八王子踊りの復活に多大の貢献をした事を記しておきたい。
会期中、11月3日1時から2時まで「唄って踊ってちんとんちゃん」と題して、盟友こうの紫さんの三味線で、花柳流師範・中太郎としてのスペシャルライブを開催し、作品と共にその背景となった踊りをご披露するという。
ご一報いただければ、どなたでも無料で日本の芸能と「美人画」から抜け出た美人を堪能できる趣向である。
是非ご観覧を。
筑波大学芸術専門学群卒業

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森田晴樹展

2018.10.22(月)〜28(日)
12:00〜19:00 最終日〜17:00

毎年恒例となった森田晴樹展。今年は盟友・三浦幸子さんがうしお画廊さんで展覧会をなさるのに会期を合わせて。

森田さんは1976年、京都芸大日本画科卒の大ベテラン。パンリアル展など京都発の歴史的な展覧会などにも参加され、独自の境地を示されている方である。
当画廊とは2004年から5回と区切って始めた「四士会」がご縁である。1988年池田一憲・斎藤隆・畠中光享という鬼才達が梅原猛先生の監修のもと「私の釈迦十大弟子展」を西武百貨店で開いたのだが、非常に衝撃的な作品群で私の中では棟方志功に匹敵するものと深く刻まれた展覧会だった。
そのメンバープラス森田晴樹が「四士会」である。以後、それぞれの作家の個展を続けさせていただいている中、一番若い森田さんとは毎年の仲となって今に至る。
亡き成城大学教授・美術評論家の田中日佐夫先生が、若い頃から森田さんを見ていて下さって「弛まぬよう」厳しく論評されていたのも懐かしい。
それはさて、白麻紙の二番という和紙の裏表から胡粉と墨で丹念に絵具を積み上げ、絶妙なグラデーションで花たちの精気をほの浮かばせるテクニックは辛抱という言葉以外に言い表す事が出来ない。胡粉の上澄みだけを使い、薄墨を何百回も重ねて出来る層は天使の羽で描いたかのようにあえやかだ。
静かな緊張と香気の漂う空間を是非味わいにいらしていただきたくご紹介する次第。

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中島綾美個展ー水脈ー

2018.10.15(月)〜21(日)
12:00〜19:00 最終日〜17:00

2017年武蔵野美術大学日本画科卒業の中島綾美さんの初個展のお供をする事となった。
中島さんは在学中から、「見参ーKENZAN」展や「アートのチカラ」展など、未来を嘱望される若手の有力なグループ展に選抜され、発表を楽しみに待たれている俊英である。
昨年のポーシャリ・ダス展の折に大学の教務補助をされていた関係で、初となる個展の伴走をいいつかった次第。
その後、卒展、五美大展や上記以外のデパート展などをクリアしつつ今展に向けての制作を続けてきたという。

いよいよ本日開幕となった初個展。162cmの大作他、小品も含めて19点展示された空間は、不思議な彩りに満ちた幻想の小宇宙となった。
彼女の生まれ育った山口で親しく馴染んできた様々な事象や思い出がモザイクのように織り込まれて構成されたDMの作品「水脈」,一見抽象のように見える画面の其処彼処、見上げた夜空や育つ稲穂、それらを繋ぐ水路が自宅のレースとも重なっていく。
和紙を染め、古びた本の一頁のように一つの物語が織り込まれた画面は、考え抜かれた末の美しい断片だ。
この古色を帯びた華やかな幻想を生み出す若手の登場を今日は両手を挙げて寿ぎたいと思う。

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原 誠二展

2018.10.8(月)〜14(日)12:00〜19:00
祝日〜18:00   最終日〜17:00

1983年多摩美大加山又造クラス卒業の原誠二さんは、コンクールや個展グループ展などを中心に精力的に発表を続けている日本画家。
当画廊では2012年から断続的に個展を開催、今回で4度目のお付き合いになる。
主題は一貫して自身の脳裏にある風景ー取材してる場所があるわけではない。あくまでも一筆が描き起こした一つの起点を手掛かりに広がっていく光景という。

それはこの宇宙のどこかにある、地球に似た星の風景ではないか、と思わせるリアリテイのある幻想だ。潮の満ちた海、海岸には赤い屋根の東屋があり、その上には厳しい山なみが続く。
空には赤い天体が二個、三個。
4メートルを越す長尺の作品ながら、一分の隙間もなく描きこまれた画面が醸し出す圧倒的なリアリテイに目が右往左往する。横構図だか、中国古典山水画の縦構図の迫力を思い起こし、しばしこの空間にに遊ばせてもらおうと雑念を放棄した。
他に花卉図など、やはり加山クラス男子の面目躍如たる作品も。

群馬大学非常勤講師   大原学園高崎校非常勤講師     群馬県高崎在住

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大竹正芳日本画展「NIPPONGER」

2018.9.25(火)〜30(日)
12:00〜19:00 最終日〜17:00

柴田悦子画廊では二年ぶり二回目となる本展。「NIPPONGER」と題して自身が今まで描いてきた日本画の枠を超えた挑戦をした。
1991年東京藝大日本画科卒後は、早くから百貨店を舞台に花鳥画を発表してきた。父は伊東深水直系の内弟子・大竹五洋。自身の名も深水が名付け親となれば美人画を描いていそうなものだが、今展の「鳥毛立女」まで主だった発表はしていない。
歴史好きが昂じて、城研究家として全国の城を巡るツアー講師をするなど幅広く活動、前展では現存しない安土城や恐竜など古生物を想像で描いた。
今展では、なんと漫画のコマで描く日本画にチャレンジ!聞けば幼少時よりの筋金入りの漫画ファンという。
鏑木清方や伊東深水が亡くなった1972年はマジンガーZが初めて海外に輸出された年とか。父から受け継いだ浮世絵のDNAと少年時代に耽溺した漫画の世界を自分なりに擦り合わせたかったとのこと。
本人をご存知の方には馴染み深い「城」「侍」「恐竜」「漫画」というアイコンが一体化した念願の世界だか、花鳥を描く日本画家大竹正芳を知る人には驚きの世界となるだろう。

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越畑喜代美展

お茶会風味ー秋のマヤー篇
2018.9.14(金)〜22(土)

おなじみ越畑喜代美の枯竹庵展覧会ー今年は沖縄北部・山原(やんばる)からもらい受けた愛猫二匹が主人公だという。沖縄方言では猫をマヤーと呼ぶらしい。このヤンバルマヤー達がどんな騒動を枯竹庵で繰り広げるのか、これは見てのお楽しみ。
最近、越畑は極薄の紙に薄々の墨で描く仕事に凝っているとの事。果たして無事に貼り込めるのか、これもまた案じながらも楽しみに待たれる事である。

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