前田正憲展 両忘

2018.3.14(水)〜20(火)
12:00〜19:00  日〜18:00最終日〜17:00

「生」と「死」をメインテーマに制作を続けきた前田正憲の新作展。
精緻な描写で蜘蛛の巣や髑髏、撃たれた鳥など濃密に漂う死の気配や対極の象徴・生花のみすみずしさを描いて来た前田が今展では大きな飛躍を試みた。
描写を捨てたーのである。
タイトルの「両忘」とは禅語で、大小、左右、善悪、自他、AとBなどあらゆる相対の両極から離れ忘れ去ってしまい、真実である一極について考える意との事。
一旦ゼロから考え直すことから掴む真実に至ろうと、あれ程執着した細密描写から離れ日本画の岩絵具からも離れ、墨一色のドローイングに徹した。
この仕事に至る伏線に、80年代美術シーンの再発見があったというが、古画や東洋画のもつシンプルな素材感を生かしつつ、自分の道は何処だろうかと腕を動かしたのだという。
絵とも書とも言えない境目を描く、、事で出てくる白と黒の世界。このはざまに「両忘」はある。

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平野俊一日本画展

那覇リウボウ7階美術サロン
2018.3.6(火)〜12(月)10:00〜20:30

氷点下の上田から気温26°の那覇へ。折々の花を描いて定評のある平野のIn The Gardenシリーズ沖縄編がいよいよ始まった。
溢れるように咲き誇る画廊内の花達ーもちろん入念にローズのパヒュームシャワーを絨毯に吹いてお客様をお待ちする。
平野画伯のライブペインティングもあり、目の前で出来上がる水彩作品を、みな驚きの眼差しで見守っていた。

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押元一敏展

2018.2.23(金)〜3.3(土)
12:00〜19:00
日〜18:00   最終日〜17:00

東京藝大デザイン科描画系出身で、現在は母校で准教授をつとめる押元一敏の展覧会。
近年アジアの遺跡を取材し、タイのアユタヤ王朝時代の石像などを描いていたのも記憶に新しいが、本展ではその後訪れたカンボジア・アンコールトムのバイヨン像を水墨で描いた新作をご紹介する。
また、forestシリーズは下地を版で起こし手彩色で仕上げる、という新シリーズ。同じ版の反復とそのバリエーションに描画系のデザイン意識が見えて興味深い。

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旅するきもの展

2018.2.17(土)〜21(水)

着物の着尺地を厳選し、着心地の良い洋服に仕立てました。
結城や大島など紬を中心に、貴重な布コレクションを持つ小林伸子さんによる新作展覧会です。
大島紬に蠟版で染めた「東海道五拾三次〜大磯図」などを使用したロングコートや、表が結城、裏が絣のリバーシブルコートなどユニークな作品を是非身に纏ってその着心地を試して下さい。IMG_0402

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つぬけの会

2018.2.5(月)〜11(日)
12:00〜19:00 最終日〜17:00

東京藝術大学OBかつ太公望という5人のグループ展が今日から。
宮地睦明氏は1972年工芸科ビジュアルデザイン専攻卒業後、デザイナーとして長く活躍したのち、お茶の水美術学院の院長に就任、その後創作活動に入り、墨彩画をよくしていた。本展への参加を機に絹本に岩彩という本格の日本画へと舵を切り、意欲的に魚や花を描いている。

また、小林正誠氏は1969年工芸科ビジュアルデザイン専攻卒業、旺盛に国内外に出展しつつ受験界のカリスマとして敏腕を振るった。今展では藝大OB釣り部リーダーとして皮剥の食事前と食後の姿を描いている。

小山松隆氏は1969年油画科卒、大学院では版画を専攻し、研究室で助手を務めたのち国内外のコンクールや個展を中心に発表、近年は墨のドローイングに意欲的に取り組んでいる。

川畑毅氏は1977年に大学院日本画専攻を修了、国内の美術コンクールをはじめ海外での出展に意欲的に取り組み、特にスペインのミロスを取材した作品を数多く描き、独自の境地を開いている。

鈴木よしひろ氏は1984年工芸科鍛金専攻を卒業後、86年大学院形成デザイン修了
くもん出版社のペーパークラフトシリーズ他、著書多数。幅広い分野で活躍する。また、釣りの他蝶の採集などでも同好のお仲間が多いと聞く。ペーパークラフトで作る林床の風景は彼ならでは。

以上、簡単に「つぬけ」のメンバーのご紹介を。
ちなみに「つぬけ」とは一つから九つまでは「つ」がつくが十以上にはつかないところから大漁の意を指すという。

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池田美弥子展ーそらのもの

2018.1.25(木)~2.3(土)12:00~19:00
日曜~18:00 最終日~17:00

1987年武蔵野美術大学日本画科卒業の池田美弥子が本格の屏風絵に挑んだ展覧会を開催する。
かねてより鳥瞰の構図を得意とし、近年は学習院大学の佐野みどり先生のもとで絵巻物などの研究に余念のなかった池田が、練りに練った画想を四曲一隻の屏風絵にしたもの。
テーマはーそらのもの。DMに認めた文章は以下の通りである。

そらのものと思われるもの
月に太陽、雲や空、空を飛べるものたち
他には、松や椰子の実、屋根のとんがり、らせん階段、猫の尻尾。
それから、秋の山と、それから…
これらそらのものたちと愛誦する俳句から画想を得た作品が皆さまをお待ちする
また、屏風絵の画題は「逢魔が時」
この作品には以下のコメントが用意された。
夏が始まった日の夕方、塒(ねぐら)に帰る鳥たちと一緒に、ソラノモノがやってきた。
ほとんどのモノは夜露と共に消えてしまったが、屋根や松、椰子に紛れて残ったモノ があった。
それらは、さるすべりが咲くと、黄金色のしべと呼応して街を熱くした。
秋には風に乗って飛びながら木々を赤く染め、冬には枝の先に止まってひゅーと音を 出した。
春、芽吹きと共にあたりに漂い出し、6月、梅の実に吸い込まれると、次第に熟し て、地に落ちた。
夏が始まると、また、西日と共にやって来て、季節を進める。
時々、靴の先っぽや、自転車のサドルのあたりに居て、どこかへ行こうと合図する。
さて、この逢魔が刻を、どうやり過ごそうか・・・
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直野恵子展

2018.1.17(水)〜22日(月)
12:00〜19:00日曜〜18:00
最終日〜17:00
これもまた小正月恒例となった感のある直野恵子展が今日から。
直野恵子は1995年に女子美大日本画科を卒業すると、創画会など団体展などに出品しながら個展を主な発表の場として自己の世界を深めてきた。
近年は墨色の仕事に全神経を集中させ、脳内の詩的躍動を唯一の手がかりとして制作を進めている。
今展では100号3点に、滲みや掠れを含んだ墨と水の戯れを描き、かそけくも緊張感に富んだ美しい画面を表出させた。
難点はインスタ映えしないところで、カメラでは捉えきれない絵の前の澄んだ空気を是非ご覧に入れたいと願うや切。

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多摩美術大学日本画科 第12回 堀文子教室同窓展

2018.1.8(月)〜14日(日)   12:00〜19:00
日祭〜18:00   最終日〜17:00

初春恒例となった同窓展である。
白寿記念の展覧会を神奈川県立近代美術館 葉山で開催中の堀文子先生。
多摩美大で教え子を初めて持たれたのは1974年。創画会と名称が変わった年で名実ともに油の乗りきった制作をなさっていた頃だ。
教室では絵の事はもちろん行儀作法や宴会での配慮の仕方、諸事万端行き届かない学生を何とか人並みにしてやろうと奮戦していらした先生の姿が思われる。
最初の卒業生が50歳を越える頃に、先生から堀教室と名を冠した展覧会をしても良いとお許しが出た。
以来12年、87歳の先生は99歳に、最後の卒業生も50代となった。それぞれの作品に人生が刻まれている、自分を生きるだけです、と最後の講評に残された言葉にまたしても粛然と向かい合う新年である。

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木村浩之・白井由美 2人展

2017.12.18(月)~26(火)12:00~19:00
日祭日~18:00  最終日~17:00

今年最後の展覧会は昨年に続き木村浩之と白井由美の2人展である。
昨年末の展覧会が終了して間もない今年新春の国技館でNHK・BS相撲中継の解説をした木村浩之を覚えている方も多いと思うが、今年も本場所のみならず巡業まで密着して取材を重ね、野天や月の下での取組を描くなど、シュールなほどに想像の羽を広げて神事としての相撲を若い関取の日常の日々を通して生き生きと描いている。
一方で、白井由美は今年5月に出産、子育てと大きな生活の変化を受け入れながら制作を続行。この2人展に向けて絹本着彩の精密な仕事を集中的に行った。
木村が漆喰の下地に油絵を思わせる強いマチエールの仕事になっていくのと対極に、白井の表現は余白を意識した細い線を絹布に滑らせる飾り気のない方向に向かっている。
黙々と相撲を取り続ける力士の「褻」に目を向けて描く木村と、日々の生活に寄り添う花や猫、あるいはパンやお菓子など身近にあるものへの限りない愛おしみをさりげなく描く白井ー二人が新たな家族を得て充実した日々を送った事はこれら作品の中に紛れもなく記されている。

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X’mas Art Festa 2017 板東里佳展ーDeep in the puddle

2017.12.8(金)~16日(土)12:00~19:00
日曜~18:00 最終日~17:00

在住するニューヨークの乾いた空気、生まれ育った日本の情感、二都を行き来しながら双方がもつ魅力を石版に描いて制作を続けてきた板東里佳。
ブルックリンのアトリエにプレス機と石を残して日本に帰国中、絹本墨彩の魅力に取り憑かれ研鑽した成果を本展で披露
する。
木漏れ日や雪景に映る影などを精緻に描いてきたリトグラフの技術を存分に活かしながら、絹に筆を下すー後戻りの出来ない緊張感と余白への意識が柔らかいグレーの諧調となって水紋の姿を浮かび上がらせていく。
描写からもう一つ奥の心象へ、彼女の追求はまだまだ止みそうにない。


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言絵絵言 ことええこと ー詩(ことば)に絵を、絵に詩を書(描)き継ぐ試みー

2017.11.27(月)〜12月3日(日)
12:00〜19:00 最終日〜17:00まで

鼎談12月2日15:00〜
江尻潔×タカユキオバナ×田野倉康一

画賛とも違う、コラボとも言えない、詩と絵のぶつかり合いを一年余にわたって続けて来た詩人3人、画家3人の作品が今日初めて披露された。
以下、本展を発案・企画した黒須信雄氏のリリースである。

詩(ことば)と絵画は、それぞれ自律的な表現形式として成立しながらも、一方で古来深く共鳴し合ってきました。尤もそれは多く共振・共鳴であり、それぞれの独立性・自律性が破られることはありませんでした。(従来の画讃や詩画集のような共作に於いても基本的にはその原則は破られていないと考えます。)では、それらを実際的に混合させてみたらどのような事態が顕われるでしょうか。「詩でも絵でもなく詩でも絵でもある」何か新たな自律的形式が生成されるでしょうか。それとも、<表現形式>そのものの解体が生じるでしょうか。それとも、それらとは全く異なる事態が起きるのでしょうか。今回の試みは、その未知なる事態を垣間見るための取りあえずの一歩と云うべきものです。
実際の制作は、<言>の担当者が詩(ことば)を<絵>の担当者ひとりずつに1点(1編)ずつ計3点制作し、同様に<絵>の担当者が<言>の担当者ひとりずつに絵を1点ずつ計3点制作し、互いに作品を交換し、<言>には絵を、<絵>には<言>を描き(書き)込み、<言絵絵言(ことええこと)>として完成させる形を採りました。
ことばと絵画、各作家の意識と意識、その融合が齎すものを感じて頂ければと思います。
参加作家
<言> 江尻潔   タカユキオバナ  田野倉康一
<絵> 黒須信雄  駒形克哉  斉藤祝子
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渡辺薫展ー間ー

2017.11.20(月)~26(日)12:00~19:00
最終日は17:00まで

多摩美大日本画科加山又造クラスのゴールデンエイジともいうべき世代のカラリスト・渡辺薫の個展が今日から。
刷毛跡の全く見えないフラットな画面、エレガントかつポップな色面の構成で独自の世界を作り上げてきた渡辺薫が、今展では「間」をテーマに書を取り込んだ作品を世に問う。
一見、相反する絵と書の「間」に麗しいマリアージュが生まれ、フラットな画面を書が動かして行くような瑞々しい作品たちである。
類まれな色感を持つ画家の、新たな挑戦を是非ご覧いただきたい。

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日本画で描く猫展

2017.11.13(月)~19(日)
12:00~19:00 最終日は17:00まで

猪熊佳子 亀井三千代 北村さゆり
越畑喜代美 白井由美 鈴木強 武井好之
竹内淳子 辻村和美 土屋聡 能島千晴
馬場京子 平野俊一 藤井美加子 佛淵静子
松谷千夏子 丸山友紀 三浦幸子
山下まゆみ 山田りえ 八幡幸子

佐藤美術館で先行して開かれている夏目漱石生誕150年記念企画「吾輩の猫展」の関連展として、出品者をはじめ当画廊所縁の画家に日本画での「猫」を依頼した。
画室での制作の夜、あるいは無聊をかこつ日々の友ー漱石先生のみならずかの百間先生までも虜にする魔性のいきものー猫。
明清の画家から本邦では栖鳳・雅邦・又造などその魅力を伝える名品は数多い。
今展では「吾輩は猫展」の趣旨に則り、若手から実力派までの日本画家に腕を競ってもらった。
各画家の個性が際立った展示、比較しながら存分に愛でていたたきたい。
尚、低反射フィルム「モスマイト」を貼った作品と貼らない作品も隣り合っているので、その違いも是非見比べてみてほしい。

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會田佳惠子展

2017.11.6(月)~12(日)12:00~19:00
最終日~17:00

1984年和光大学芸術学科を卒業した後、多摩美大大学院日本画科を修了した會田佳惠子。
卒業後はグループ展LABOの初期メンバーとして参加したり、2人展や個展を開催するなど自分の歩調でそのキャリアを進めていたが、出産や家庭の事情でまとまった制作が困難になった。
筆が持てない時期も、短時間でできる粘土での立体制作などは続け、創作欲は満たしていたというが、物心ついた頃から
絵筆に自分の心情を託して孤独な日々を癒していたという會田にとって、その間はさぞ心身のバランスを保つ事が難しかったに違いない。

十数年の時を経て封印していた軛を解き放ち、おずおずとしかし確信に満ちて画業を再開した今展、作品には詩情が溢れ迸るようなエネルギーはようやくその着地点を見つけた。
風が逆巻く草原に不安げに佇む少女はかつての會田の自画像だろうか、きれいな花を見つけて歩いているうちに、必ず迷子になって泣いていたという幼年期の記憶やその目に焼き付けた美しいものたちが、五十代になった今次々と絵となって紡ぎだされている。
拙くはあるが、決して甘くはない。無垢な心のまま大人として生きてきた日々がけっして無駄ではなかったと思わせて余りある作品たちである。

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LABO展ー29th 麒麟 越畑喜代美 平野俊一

2017.10.30(月)~10.5(日)

1984年多摩美大日本画科卒の同級生が平成の幕開けとともに立ち上げたグループ展。
世はバブル期の幻影のただ中にあり、銀座のタクシー乗り場には溢れんばかりの人が並んでいた。世界ではベルリンの壁が壊され、東西の融和が図られようとしていた頃、LABO展は銀座で産声を上げた。
以来、途切れる事なく回を重ね最初の3回は7丁目の画廊篁、以後は8丁目金春通りのギャラリーイセヨシ、平成9年からは独立開業した柴田悦子画廊でその歩を進めることになる。
それぞれに個展を開催しつつ、LABO展では命名のとおり実験作を問う機会とし、その成果を翌年の発表に反映してきた。

今展では、麒麟が心境著しく深め、自分の個性を日本画表現に自然に溶け込ませ
る意欲作を描き、平野俊一は信州上田にアトリエを構えた事により、風景画に新境地を開いた。越畑喜代美は墨彩から線描の妙味に目覚め、猫の簡潔でユニークな動態を発表している。
是非、29年の進化ぶりをご覧頂きたい。

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松本華子展

2017.10.23(月)~29(日)

松本華子な作品を初めて見たのは、はて一体どのくらい前だったのか。
恐ろしく鮮烈な印象で、新しい才能がここにあると楽しみに拝見していたものだった。
その後、結婚育児と環境が変わり制作から離れていると聞くにつけ、女の一大事とはいえなんと残念な事よ、と秘かに思っていたところ、この度久々に仕事を紹介できる事となった。
10年余の時間を経て、今の松本華子が何を考え何に心を占領され何を育んでいるか、是非ご一覧頂きたい。

暫く個展のブランクがあったので簡単な経歴も添付させて頂く

松本華子略歴
1968 東京生まれ
1994 武蔵野美術大学大学院日本画コース修了
第34回安井賞展(有楽町マリオン)
1995 個展(フタバ画廊)
1997 第一回新生展(新生堂)
1999 個展(新生堂)
第四回菅楯彦大賞展(倉吉美術館 大阪高島屋)
橋の会(日本橋高島屋)全5回
2000 個展(RADIO HOUSE GALLERY NY )
第二回豊橋トリエンナーレ(豊橋市美術博物館)
2003 奈良万葉日本画大賞展(奈良県立万葉文化館)
2011 人物表現~佐藤美術館収蔵作品、寄贈作品による(佐藤美術館)
他 、個展、グループ展多数

1993 春季創画展春季展賞
1998 文化庁芸術インターンシップ国内研修員

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黒田さかえ個展ーまだ見ぬ君へー

2017.10.16(月)〜22(日)
12:00〜19:00 最終日〜17:00
嵯峨美術大学洋画専攻科修了、生まれ育った京都の西陣で今も「さかえはんワールド」的ファンタジーを紡ぎ続けている。今展はなんと6年ぶりの東京展。益々ヒートアップして登場と相成った。
人生も半世紀過ぎてから習い始めたバレエ(ボールではない)の世界そのまま、見果てぬ夢のそのまた夢を追いかけているような揺るぎない世界こそ、さかえはんの住む世界。
世俗の遠く及ばない、キラキラしたファンタジーに遊ぶ少女たちの姿のなかにこそ人生の真価があるのかも、と思えるから不思議。
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奥津直道展

2017.10. 9(月)~15(日)

奥津直道のアニキたちが5年ぶりに帰って来た。
東京工芸大学デザイン科に学んだ奥津は日本画科出身の画家の影響下に、ほぼ独学でその技法を学び、個展やグループ展で発表を続けている。
今展では、全国各地のお祭に取材し「男伊達」を競うアニキ達を時に格好良く、時にセクシーに、時にコミカルに描きその魅力を伝えている。
さらに数年前からデッサンのクラスに通い、実際の人物から汲み取った飾り気のない肖像にも挑戦するなど、幻想の「男伊達」にリアリティを加味するため奮戦中だ。
繊細な少年さながらの奥津が、勇壮な「男伊達」を描く時、憧れを超越した強力な意思を発露し、一種爽やかな境地に着地していくのが実に面白い。

1976年 小田原生まれ

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Poushali Dasポウシャリ・ダス展

2017.10.2(月)~6(金)12:00~19:00

この7日にインドに帰国するPoushali Das。武蔵野美術大学日本画科の招聘研究員としての滞在を終え、その成果をお披露目する展覧会である。

担当教授としてPoushali Dasを指導してこられた内田あぐり先生が以下の紹介文を寄せて下さったので引用させていただく。

ポウシャリ・ダスは1974年インドのコルカタに生まれ、西ベンガル州を中心として活躍する画家です。今年の4月から9月まで武蔵野美術大学日本画科の招聘研究員として日本画を研究するために滞在しました。彼女はインドでウォッシュ古典技法という方法で絹や紙に顔料を用いて、プリミティブで神秘的な絵画世界を描いています。かつて横山大観が西ベンガルで広めた日本画の技法は、インドでウォッシュ技法として浸透し、現在は少数ですがインドの画家たちに受け継がれています。ポウシャリが日本で描いた珠玉の小さな日本画を是非見にいらして頂ければ嬉しく思います。
武蔵野美術大学日本画科教授内田あぐり

ポウシャリが卒業した国立ウィシュワパラディ総合大学はタゴール大学と言われるほど所縁の深いところと聞く。その芸術学部絵画科からマハラジャ・サヤジラオ総合大学に進みMFAを取得し、国内のみならずロンドンのイギリス王立芸術大学院での展覧会に出品するなど、旺盛に活躍している彼女が、ウォッシュ技法の故郷・日本でどんな風に自分の世界を深めたのか、実に興味深いところ。

岡倉天心とタゴールの友誼から、インドに滞在した横山大観と菱田春草一行は、親族に画家の多かったタゴール家で朦朧体のワークショップをしたのだという。
もともと西洋画の技法を何とか日本画で表現しようと試みて朦朧体と呼ばれた様式を生み出した訳だか、それがウォッシュ技法としてインドに残り、ポウシャリの作風の根幹を成しているというのは壮大な話だ。
そのポウシャリが離日するに当たって用意した作品は、ブッタのその後を描いた絵巻風のものや通学した武蔵野の風景、
京都や奈良で触発された花鳥の小品たち。ことに108のピースに描かれた様々な意匠は、日本の伝統様式とインドの細密画が一体化したようなミラクルな世界だ。
境界を越えて、さらに進化を続けるポウシャリの前途を今は祈ろう。

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米山のぶ子展「装いの藍」

2017.9.25(月曜)~10.1(日曜)
12:00~19:00 最終日は17:00まで

灰汁発酵建の藍に魅せられて32年。山梨の山村で染色の制作を続ける作家の銀座初個展。
かつては油画で青を基調とした絵を描いていた作家が、移住した地で藍に出会い、その美しさに導かれるように染色を始めたのだという。
以下は、米山のぶ子のコメント

自然のいとなみが創り育てた
藍の色、ジャパンブルー
幾度も染め重ね、現れる絞りの花模様。
古来より伝わる技法を用いて、
言い尽くせぬその美しさを
追い求めております。

全国阿波藍染色作家協会会員
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